自転車屋さんのサイズ表示でよく見かけるのは、27インチというような「インチ」表示です。
でも、ロードバイク等のスポーツバイクになると、700cといったように「c」になります。
この違いって一体何なんでしょうか?
今さら聞けない、でも何となく分かっていないって人も多いはず。
今回は、その「インチ」と「c」の違いを徹底解明していきます。
27インチの自転車とは?
「インチ」でサイズを表示している自転車の多くはシティサイクルですので、この「インチ」を見かけることはよくあるのではないでしょうか?
シティサイクルとは、街中で使用される目的で作られた自転車のことです。
子供用自転車から、ママチャリまで種類は豊富です。
それらの自転車が、店頭で売られる時は必ず「インチ」でサイズが表示されています。
まずは、そのシティサイクルによく使用されている「インチ」についてご説明していきましょう。
「インチ」とは主にイングランド式の表示方法で、自転車のタイヤのリムの径を表しています。
1インチ2.5cmですので、27インチとは、67.5センチ径のリムのタイヤの自転車ということになります。
売場の中でも、27インチは比較的大きなサイズの自転車です。
この27インチの自転車の適応身長は、一応150cm以上とされています。
次では、700cの自転車とは何かをご説明します。
700cの自転車とは?
ママチャリはインチとお伝えしましたが、ロードバイクのサイズ表示でよく見かけるのは、700cや650cといった「c」です。
27インチがイギリス表示であるのに対して、700cとはフランスの表示方法です。
フランスは、メートル法のため「c」はmmのことを表しています。
700cとは、リムではなく、タイヤの径が70cmということを示しているのです。
では、なぜ、ロードバイクの表示のほとんどが、フランス表示なのでしょうか?
イギリスもフランスも、イタリア・スペイン・ベルギーといった、周辺のヨーロッパ諸国と同じく、自転車先進国だということに変わりはありません。
しかし、決定的に違うのは、レース環境と言われています。
イギリスとフランスを比べると、フランスのほうが、ツールドフランスといった世界的有名なロードレースが圧倒的に開催されています。
そのような環境の違いにより、80年代に入ると、ロードバイク殆んどが、フランス表示になってしまったようです。
現在流通しているほとんどのロードバイクは、700cのタイヤを履いています。
ロードバイクは、シティサイクルのように、タイヤのサイズでは選びません。
フレームのサイズが細かく分かれているので、身長や股下の長さによってフレームのサイズで選ぶのです。
最近では、フレームだけを小さくしても対応しきれない小柄な女性の為に、650cのタイヤのロードバイクも人気が出ています。
27インチと700cのタイヤは同じサイズ?
27インチ、700cとも、実は自転車のサイズではなく、タイヤやリムの径の大きさを示すことだということが分かりました。
では、実際、この2つのサイズは同じなんでしょうか?
27インチ⇒675mm(リムの径)
700c⇒700mm(タイヤの径)
これをリムの径で統一して比べてみると
27インチ⇒630mm
700c⇒622mm
リムの径が8mmも違っていました。
たかが8mmの違いと思う方もいるかもしれませんが、チューブに空気を入れてタイヤを履かせると、さらに差が広がります。
通常、シティサイクルのタイヤは、パンクしにくいように太めのものを使用しています。
それに対して、逆にロードバイクは速く走ることを目的としているので、細いタイヤを採用しています。
このようにタイヤの厚みも異なるので、更に差が出てしまいます。
そこで、違いが出ないように27インチと700cを、共にごく一般的なタイヤを履いた場合のタイヤの外周を比べてみましょう。
27インチ⇒694mm
700c⇒668mm
その差は26mmも違ってくるのです。
同じサイズかと思っていた方もいるかと思いますが、厳密には違いがあるのです。
他にもあるタイヤの違い
実は、タイヤの大きさだけでなく、27インチと700cでは、バルブの形も違っています。
自転車のバルブには、主にイギリス・フランス・アメリカと3種類あります。
イギリス式は、27インチのタイヤを履くシティサイクルなどに用いられています。
イギリス式バルブは扱い方法が簡単で、また、安価であるという理由から、車いすなどにも利用されているなど、世間一般的に広く普及しているバルブです。
それに対して、700cのタイヤのバルブはフランス式です。
フランス式のバルブは圧力調整が簡単で、バルブ自体も軽量でコンパクト設計です。
その為、細いタイヤに高圧の空気を入れて走るロードバイクは、フランス式のバルブが使用されています。
通常の空気入れでは対応できないので、フランス式の特殊な空気入れが必要です。
ちなみにアメリカ式のバルブは、大きくて丈夫のため、タイヤの太いMTBやオートバイに用いられています。
バルブの形状が違うと、リムのバルブ穴の大きさも異なってます。
700cと27インチのタイヤを交換して自転車に使えるのか
シンプルに答えると、残念ながらNOです。
そもそも、タイヤの大きさが違うので、リムを組み直してもらう必要が出てきますので、コストがかかります。
また、バルブ穴の変更も必要となってきます。
でも、可能性としては、大きいほうの27インチを700cに履かすと、収まる場合もあるでしょう。
逆に、小さいほうの700cに27インチをはめ込むのは、ほぼ不可能です。
もし、上手くリムに収まったとしたら、次の課題は、そのタイヤが自転車のフレームに収まるのか、です。
もしかすると、27インチのフレームに、700cのタイヤをはめ込むことはできるかも知れません。
ただ、上手くフレームに収まっても、ブレーキがタイヤに合わないと、ブレーキの交換が不可欠となるので注意が必要です。
タイヤのサイズが違うだけで、他の様々な調整も必要となってきますので、簡単に交換できるとは言い難くなっています。
ママチャリをクロスバイクにカスタマイズ?
27インチのシティサイクルをロードバイクとまではいきませんが、クロスバイクのようにカスタマイズ化する人はいます。
趣味であったり、通勤通学自転車をより快適に速く走れるようにだったりと、理由は様々です。
それでは、どんなカスタマイズの方法があるのでしょうか?
まず、最初に誰もが注目するのはタイヤです。
27インチの自転車に、700cのタイヤを履かせようとします。
でも、ちょっと待ってください。
先に述べましたが、タイヤの変換は、かなりのコストが必要となります。
リムを組み直したり、ブレーキの交換が必要となったりもします。
まずは、もっと簡単なカスタマイズはいかがでしょうか。
例えば、自転車の軽量化などです。
不要なものを取り外しましょう。
前かご・泥除け・チェーンカバーなどが候補に挙げられ、これ全てを取り外すだけで、かなりの軽量化が実現します。
ただし、不便さが増し、シティサイクル本来の「いつでも、どこでも」という機能は失われますので、自転車の使用目的を考えながら、取り外すことをご提案します。
不要な物を取り外したら、次は、交換できる物を交換しましょう。
ペダルを軽量なものに取り換えるなんていかがでしょうか。
また、ステムを少し長いものに、シートポストをロング化することにより、少し前傾姿勢になります。
これだけでも、カッコいい自転車に変わるのではないでしょうか。
ママチャリとロードバイクの違いと同じ
いかがだったでしょうか?
27インチと700cって何が違うんだろう?って思った方の大半が、自転車のカスタマイズに興味のある方だと思います。
ママチャリとロードバイクは、F1と自家用車ぐらい違うものですので、そもそも同じ土俵では比べないですよね。
それと同じように、タイヤ1つも、サイズだけでなく様々な違いがあることがお分かり頂けたと思います。
その上で、自転車をカスタマイズすると、自転車の構造を知るきっかけにもつながりますので是非挑戦してみてください。