ロードバイクに乗っていると、やはり定期的なメンテナンスは付きものです。
毎回自転車ショップに持ち込み整備をしてもらえば済むのですが、自分である程度整備できたら自転車に対しての幅が広がります。
自分で出来たら構造も把握出来るようになり、緊急事態にも対応出来るようになってきます。
自分のロードバイクを自分でメンテナンスをすることでさらに愛着が湧いてきます。
そこで今回はロードバイクメンテナンスの中でも少し難しく感じる、「クランク」その中でも近年一般的になってきた、シマノのホローテック2クランクの外し方について主にお話ししていきたいと思います。
ロードバイクのクランク。その基本的な構造
まず、ここではロードバイクの基本的な構造のお話をしたいと思います。
皆さんが周知の通り、クランクは左右に付いており右側のクランクにギアが付いているのが一般的です。
クランクの種類には大きく3つあり
・ワンピースクランク
・ツーピースクランク
・スリーピースクランク
に分類されます。
ロードバイクでは主に、ツーピースクランクとスリーピースクランクが採用されています。
現在のシマノのクランク規格で、近年のメジャーなクランクであるホローテック2はツーピースクランクに分類されます。
過去のクランクは、BBと呼ばれるパーツにシャフトが付いており、クランクを両側からはめ込む構造が主流でした。
それがホローテック2では、クランクとシャフトが一体型になり、そのシャフトが中空加工されているという構造が採用されました。
基本構造は、右クランク(チェーンリング側)とクランクシャフトが一体となっており、それをBBへ挿入し、左クランクを出てきたシャフトにはめ込むという構造です。
従来品に比べ、BBのベアリング幅が広く取れるようになり、安定性と剛性が格段に増しました。
今までのクランクより、高負荷をかけてもたわみが無く、ダイレクトに力が伝わるようになったのです。
また、外し方も従来より簡単になり、さらに軽量化もされており、まさに現在のクランクの完成系と言っても過言では無いクランクとなっています。
ここまで進化してきたクランクというパーツですが、クランクにはニーズに合わせて、サイズや種類が色々あるのです。
ロードバイクのクランクには様々なサイズが存在している
前記の通りシマノのロードバイク用クランクには、使用する人に合わられるように様々なクランクサイズ(クランク長)が用意されています。
グレードによってクランク長のラインナップは異なりますが、65mmから180mmまで2.5mm刻みに異なる長さのクランクが販売されています。
その中でも、完成車に付属しているクランクは日本人の身長の平均に合わせ、170mmのクランク長が付属している場合が多く見受けられます。
しかし、一人一人身長も足の長さも違うため、全ての人に170mmのクランクが合うとは限りません。
では、ここで諸説ありますが、サイズの選定方法の公式をご紹介します。
クランク長を導きだす公式は、股下x1.25+65となっています。
股下が85cmの人の場合は、171.25が公式から出るため、170mmか172.5mmが適正というようになります。
諸説というのは、クランク長に関しては様々な論争が繰り広げられており、人によって長め派と短め派が存在するためです。
一般的に知られているのは、タイムトライアル等には短いクランク長、ヒルクライムには長めのクランク長と言われています。
まずタイムトライアルの場合はクランク長を短くし、サドルを上げて前傾姿勢を深くして空力を高めるという理由です。
ヒルクライムの場合は、長めのクランクでトルクをかけやすくするという理由です。
クランク長の選び方一つでもなかなか難しく奥が深いので、購入の際はショップに相談してみるのもオススメです。
では次に、そのクランクを自分で整備するための外し方を見ていきましょう。
ロードバイクのクランクの外し方その1。必要な工具編
ロードバイクの整備は難しいイメージがあると思いますが、毎回ショップに持っていくのも大変という方も多いかと思います。
自分自身で少しでも整備出来れば、緊急時にも役に立ちますし自分のスキルアップにもなります。
今回はロードバイクのクランクの外し方をホローテック2を参考にお話していきます。
まずは使用する工具をご紹介しましょう。
・5mmアーレンキー
・トルクレンチ
・クランク取り付け工具
・BBカップ取り付け工具(BBを取り外す場合)
・精密ドライバーなどの細い工具
以上の工具があればホローテック2クランクであれば取り外しが出来ます。
様々なメーカーから各工具はリリースされています。
ロードバイクを扱うショップで相談して購入するのが間違いないです。
アーレンキーに関しては、100円均一の物やあまりにも安価な物は精度が低く、ネジを痛めてしまう可能性があるので控えた方がいいでしょう。
近年のロードバイクは、カーボン素材の物もかなり増えており、ネジの締め具合にかなりシビアなパーツも多々あるため、トルクレンチも一つあると重宝します。
では次に、この工具を使ってのクランクの外し方をご紹介していきます。
ロードバイクのクランクの外し方その2。外し方編
工具が揃ったら、実際にロードバイクのクランクを外してみましょう。
外し方を順を追ってご紹介していきます。
まず左クランクにあるボルトを5mmのアーレンキーで緩めます。
2カ所ありますので、片方を一度に緩めるのではなく、均等に交互に緩めましょう。
アーレンキーの注意点としては、ご存知だとは思いますが、ネジ穴がなめないようしっかり工具を入れて回してください。
次にクランク取り付けボルト(クランクの中心にある黒いキャップ状の物)をクランク取り付け工具を使い、外します。
クランク取り付けボルトが外れたら、次はクランク脱落防止のための爪が最初のボルトの隙間にありますので、精密ドライバーのような細い工具を使い引き上げておきます。
脱落防止の爪を解除した状態にすると、左クランクが外せます。
次に右クランクを外しますが、その前にチェーンを内側に外しておいた方がスムーズに右クランクが外せます。
チェーンを内側に外したら、右クランクを外します。
右クランクはシャフトと一体になっていますので引き抜く感じで外します。
これでクランクセットが全て外れます。
実際そこまで難しい作業ではない事が分かると思います。
さて、クランクの外し方に関してお話ししましたが、次はクランクの回転を支えるBB(ボトムブラケット)についても見ていきましょう。
クランクの外し方番外編。BBの事も知っておこう
クランクの相棒とも言えるBB(ボトムブラケット)ですが、非常に重要なパーツとなっています。
まずBBが無いと、クランクを付ける事も、回転させる事も出来ないのです。
このBBと言うパーツ、実は様々な規格があります。
近年カーボンフレームの普及でフレームの造形が多様化されており、各メーカーが独自の規格に仕上げている場合が多いため様々な規格となっています。
シマノのホローテック2として販売されている規格は、基本的なJIS規格で68ミリとなっています。
ではこのBBとは何か。
BBとは簡単に言うと、クランクを回転させるためのベアリングでフレームに対して取り付ける物となります。
取り付け方法は大きく2種類で、ロードバイクのフレームにBB取り付けのためのネジ山が切ってある場合は、ねじ込み式のBBです。
フレームネジ山が無い場合は、圧入式となっています。
外し方として、ねじ込み式の場合は、BBカップ取り付け工具にて外せます。
外し方は、左側からBBカップ取り付け工具をBBにあるギザギザの溝にはめて、正ネジ(左回り)に回します。
ある程度緩んだら手で回します。
外れたら右側も同様に外しますが、右は逆ネジですので注意しましょう。
ここもある程度緩んだら、手で回し外して完了です。
圧入式に関しては、外す事も可能ですが一度圧入したものを外してもう一度圧入するのは、メーカーもショップも推奨はしていません。
穴が広がってしまい、きちんと圧入にならない危険性があるためです。
圧入式のBB交換等は、一度ショップに確認してみた方がいいでしょう。
そんなBBですが、クランクの回転の抵抗を減らすために、このBBに非常にこだわる方も多いそうです。
BBの事も少しお話しましたが、最後にクランクの外し方の他に取り付け方をまとめていきます。
ロードバイクのクランクとBB。外し方以外に取り付け方編
先程、ロードバイクのクランクの外し方をご説明しました。
外す場合はこれ以上の作業はありません。
次は取り付けてみましょう。
まずBBをBBカップ取り付け工具で取り付けます。
外した際の逆の手順で、右からBBを入れ、締め付けます。
そして、左側を取り付けます。
BBを取り付けたら、次はクランクです。
まず、右クランクを取り付けます。
BBに入り左側にシャフトが出てきたら、左クランクを入れます。
そこで脱落防止の爪を落とし、黒のクランク取り付けボルトを取り付けます。
次に左クランクの六角ボルトを締めるのですが、規定のトルクが左クランクに記載されていますのでトルクレンチを用いて規定のトルクで締め込みます。
ここでも片方を締めず、均等に交互を締めます。
最後にチェーンを戻し、完成となります。
ボルトを締め込む際、トルクのかけ過ぎや弱すぎを防ぐためにトルクレンチをオススメします。
非常に難しいイメージがあるクランクの取り外しですが、意外と簡単に出来てしまうのです。
ロードバイクのクランクの外し方は意外と簡単
いかがでしたでしょうか。
ロードバイクのクランク周りの外し方や取り付け方についてお話してきましたが、案外簡単な手順だと言う事がお分かり頂けたと思います。
自分でセルフメンテナンスが出来るようになると、異常や異音が発生した際も対処出来る場合があります。
失敗してしまう事もあるかもしれません。
しかし、それを次に生かしながらメンテナンスを誰もが覚えていくのです。
快適なロードバイクライフの第一歩であるセルフメンテナンス。
今日からクランクも外して整備してみてはいかがでしょうか。
新たなスキルが身に付くはずです。