車道を自転車が走るのは邪魔?一体どこを走ればいいの?

「車道を自転車が走っていて邪魔」と感じたことのある車の運転手はいると思います。
しかし一方で、「歩道を自転車が走っていて邪魔」と思ったことのある歩行者もいるでしょう。

自転車は一体どこを走るのが正しいのでしょうか。

ここでは自転車の走るべき道や道路交通法についてご紹介します。

自転車は一体どこを走るのが正しいのでしょうか。

ここでは自転車の走るべき道や道路交通法についてご紹介します。

自転車が車道を走るのは邪魔?法律では?

車道を走る自転車は邪魔と言われがちですが、法律ではどうなっているのでしょうか。

普通自転車の歩道通行可能要件が明確化されるなど、自転車に関する道路交通法が改正されて8年以上が経ちました。
自転車は車道を走行しなければならないという原則が、世の中にだいぶ浸透したように思います。

しかし、歩道を通行できる例外的な場合については、曖昧な方が多いと思われるので、歩道通行可能要件について改めて整理してみましょう。

道路交通法上、自転車の通行について以下のような規定があります。

①自転車は車道の走行が原則、歩道の走行は例外
②車道は左側を通行
③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
④次の場合、例外として歩道通行が可能
・道路標識などで指定された場合
・運転者が13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人の場合
・車道または交通の状況からみてやむを得ない場合

これらの規定のうち、④で挙げられた場合が歩道通行可能要件にあたります。

要件のうち問題となるのは「やむを得ない場合」の判断です。
抽象的な文言ですから、どのような場合に「やむを得ない」と言えるかは、状況によって変わり、当然判断する人の主観によっても変わってくるでしょう。

車道を走る自転車が邪魔と言われてしまう理由

車道を走る自転車が邪魔と言われがちな理由はどんなことがあるのでしょうか。

自転車は、道路交通法上「軽車両」と定義されるだけあり、種類によってはかなりのスピードが出ます。
いわゆるママチャリであれば、平均時速はおよそ15㎞/hですが、競技用の自転車であるロードバイクの場合、平均時速はおよそ30㎞/hにもなります。

また、舗装された道でのトップスピードに至っては、一般人ですら時速40㎞/h程と、自動車並みの速さを出すことができます。

さて、実際に見られる事例を紹介します。

時速30㎞/hという原動機付自転車(いわゆる原付)並みのスピードで走っていたスポーツバイクが、片側3車線道路の第2車線の真ん中を走行し、信号待ちで停車中の自動車を追い抜き前に出たというケースです。

これは法律違反の有無に関わらず、マナーが悪い行為と言えるでしょう。
このようなマナーの悪い行いによって、車道を走る自転車は邪魔だと言われることがあるのです。

法律に照らしてみても、この場合は車道の左側通行というルールに違反します。

邪魔にならないためにはどこを走るべき?

自転車はどこを走れば邪魔にならないのでしょう?

道路の車道の脇に設けられた自転車専用レーンを見ることが多くなりました。
自転車専用レーンには、【自転車が走る部分を縁石などによって物理的に分離しているもの】と【車道をペイントで色分けすることで視覚的に分離しているもの】があります。

ここで気を付けるべきは後者の場合です。

自転車専用レーンには、自転車専用通行帯と自転車優先通行帯とがあります。
文字通り、前者は【専用】というだけあり、自転車のみが通行できる通行帯です。
後者は、【優先】ですので、自転車が優先されるだけで、自動車の走行もできる通行帯です。

しかし、優先と言っても、自転車がたくさん走っていればそのスペースに自動車が入り込むことの危険性は明白です。
さらに、視覚的に明確に色分けされた自転車専用レーンには、自動車はなかなか入りにくいものです。

よって、自転車専用レーンを通行すれば、自動車や歩行者などの邪魔にならずに済むと言えます。
自転車専用レーンがなければ、先述した最低限の交通規則や一般的なマナーを遵守した走行をすべきでしょう。

邪魔であると思われない通行が、自転車利用者の安全にもつながります。
なお、専用か優先かの区別は、車道のペイントによる色分けの有無に関わらず、自転車専用といった標示の有無や標識の存在の有無によってなされます。

明記や標識がなければ、たとえ色分けがなされていても、それは優先通行帯です。

自転車の走行場所、車道外側線に拘らなくていい?①

自転車の走行は、車道外側線にこだわる必要はないのでしょうか。

自転車は、車道の左側通行というルールは先述の通りですが、具体的にどこを走ればよいのでしょう。
車道外側線と路側帯についてご説明します。

車道外側線とは、車道の左側にある白線を指し、路側帯とは、歩道のない車道の車道外側線の外側部分を指します。

軽車両は路側帯を走行できますが、自動車の走行は認められていません。
ただし、自動車であっても路側帯に停車や駐車をすることは可能です。

自転車が路側帯を走行する場合、歩行者の通行の邪魔をしてはならないため、注意が必要です。
また、軽車両が通行できる路側帯は、車道の左側部分に設けられた路側帯に限られ、逆走することはできません。

歩道がある車道を走行する場合には、車道外側線の外側を走らなければならないと思われがちですが、この場合の車道外側線は、車道の左端の目安に過ぎないため、白線の外側と内側のいずれを走行しても問題ありません。

もちろん、白線の内側を走る場合には、車道の左側を走行しなければなりません。
歩道がある車道を走行する場合に、車道外側線の内側を走るか、外側を走るかは、状況に応じて判断すればよいでしょう。

自転車の走行場所、車道外側線に拘らなくていい?②

歩道がなく、車道外側線の標示もない場合があります。

この場合、自転車はどこを走行すればよいのでしょうか。
この場合は、原則通り車道の左側を通行します。

また、白線の表示は、実線1本の他にもいくつかあります。
まず、白線が実線と破線の2本で表示されている場合は、駐停車禁止路側帯の標示となり、自転車は問題なく通行できます。

お次に、白線が実線2本で表示されている場合は、歩行者用路側帯の標示となり、自転車が路側帯を通行することはできないため、白線の内側を走ることになります。
車両通行帯の標示の場合には、第1行帯の中央を通行することも可能ですが、左側通行のほうが安全でしょう。

自転車専用通行帯がある場合には、そこを走行し、追い越しの際は、車道の左側からこれを行います。

以上のように、自転車は必ずしも常に白線の内側を走行しなければならないわけではありません。

歩道のない車道を走行する場合に、白線の内側と外側のいずれも走行してもよい場合は、どちらを走るかは状況に応じて判断すればよいでしょう。

例えば、内側の方が整備が行き届いているならば内側を、逆であれば外側を走行すれば、より安全であると言えます。
ただし、歩行者の邪魔にならないように気をつけましょう。

自転車事故には気を付けて

自転車が関係する交通事故の多発や、自転車利用のマナーの悪さなどを踏まえて、道路交通法は改正を重ねてきました。

ここ何年かの主要な改正点は、先述したものと重複する点もありますが、以下の通りです。

①自転車は車道の走行が原則、歩道の走行は例外
②車道は左側を通行
③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
④安全ルールを守る
安全ルール
・飲酒運転の禁止
・二人乗りの禁止
・並進の禁止
・夜間はライトを点灯
・交差点での一時停止と安全確認
・信号を守る
⑤子供はヘルメットを着用
⑥運転中の携帯電話の使用、ヘッドホン等の使用禁止

また、平成27年6月1日には、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習に関する規定が施行されています。

これは、一定の危険な違反行為をして2回以上摘発された自転車運転者は、公安委員会の命令を受けてから3か月以内に指定された期間内に講習を受けなければいけないというものです。

一定の危険な違反行為としては、信号無視、歩道での徐行違反、交差点優先車の通行の邪魔をする行為や、酒酔い運転などが挙げられます。

自転車は、大変便利で身近な乗り物ですが、種類によって速度の差がかなり大きく、悪質な運転は重大事故を引き起こしかねません。

利用には、十分な注意が必要と言えるでしょう。

ルールを守って自転車に乗ろう

いかがでしたか?
自転車で右側通行をしている方は、いらっしゃるのではないでしょうか。

ルール違反の走行は、他人の迷惑になるだけでなく、思わぬ事故にも繋がります。

安全に生活するために、きちんとルールを守って自転車に乗りましょう。