シマノには一般的な機械式変速の他に、電動で変速を行うコンポがあります。
発売当初はハイエンドグレードのデュラエースにしか導入されておらず、プロ専用のようなイメージでしたが、アルテグラに導入されたことでホビーライダーにも広まりを見せています。
今回はユーザーさんのインプレ情報なども交え、電動式コンポ「アルテグラDI2」をご紹介します。
電動式コンポ「DI2」はシマノでも上位グレードのみ
ロードバイクのコンポとは、動力と変速機構に関わるパーツとブレーキの総称で、バラバラに製造、販売されていたものを、シマノがセットとして一社提供したのが始まりです。
シマノはさらにコンポをグレード分けして、プロレーサーから初心者まで幅広い層が使用できる環境も整え今日に至ります。
現在6つの正規グレードがあり、目に見える違いは価格、重量、リアの変速数などですが、上位グレードにしかない仕様、機能もあります。
その中の1つが今回お伝えする電動式コンポ「DI2」であり、最上位の「デュラエース」とセカンドグレードの「アルテグラ」にのみ用意されています。
多段化されたロードバイクの醍醐味の1つでもあるシフトチェンジを電動で行うというもので、多くのメリットがあります。
その快適さは、あるインプレ情報の「もう機械式には戻れない」という言葉に集約されており、機械式とは異次元の仕様であるという評価をされています。
のちほどお伝えしますが、アルテグラDI2であればデュラエースに比べかなりコストを抑えての電動化が可能ですので、一考の価値があると思います。
シマノの機械式変速とDI2におけるシフトチェンジ方法の違い
今回はシマノの電動式コンポ「アルテグラDI2」をご紹介していきますが、まずはシフトチェンジの仕組みからご説明します。
シマノの機械式変速は、デュアルコントロールレバーと前後のディレイラー(変速機)がワイヤーで結ばれており、引っ張ることでシフトアップ、解放することでシフトダウンを行います。
デュアルコントロールレバーの操作は、左右共にブレーキレバーを中央側に倒すとチェーンが大きいスプロケットに移動し、シフトレバーを中央側に倒すと小さいスプロケットに移動します。
このように機械式変速は、コントロールレバーで直接ディレイラーを操作するということになりますので、インプレ情報ではレバーのアクションが大きく力がいることをデメリットとして捉えているものも多くあります。
一方、アルテグラDI2などの電動式はデュアルコントロールレバーとディレイラーは電線で繋がっており、レバーから送られる電子信号でモーターを内蔵したディレイラーがシフトチェンジを行います。
機械式と違いレバーは電子信号を送る役目であり、ワイヤーを引くことがないので、ボタン操作の小さなアクションで簡単にシフトチェンジが行えます。
アルテグラDI2とデュラエースDI2では電動化の費用に大きな差がある
前項ではシフトチェンジの仕組みをご説明しましたが、電動式のメリットはこの仕組みによるところが大きくなります。
ただ、まずその前に筆者がデュラエースではなく、なぜアルテグラDI2をおすすめするかについてお話しします。
コンポを電動式にするということは、シマノではリア11速のコンポで運用するという意味でもあります。
そのため、現在使用しているコンポが11速ではない場合、電動化には11速コンポに丸ごと交換する必要があります。
DI2に必要なパーツはコントロールレバーと前後のディレイラー、そしてバッテリーやジャンクションなど電動化するためのパーツです。
これに11速用のクランクセットやスプロケット、チェーンなどを加えますと、電動化に掛かる費用はデュラエースなら35~40万円になります。
仮に現状が11速コンポでクランクなどが継続使用できるとしても、デュラエースであれば25万円前後の費用が必要になります。
一方アルテグラであればコンポ一式で18~19万円、電動化だけなら13万円前後に抑えられます。
しかも、デュラエースとアルテグラは多くのインプレ情報が伝えていますが、この価格ほどの性能差はないと言われてますので、コスパの高さは断然アルテグラということになりますので、おすすめしたいわけです。
インプレ情報に見るシマノ・アルテグラDI2のメリット①高い操作性
それではここから、実際のユーザーさんのインプレ情報なども交え、シマノ・アルテグラDI2のメリットをお伝えしていきます。
まずレバーのアクションが小さいことをメリットとしているインプレ情報が多いです。
機械式変速ではワイヤーを引いたり解放したりするためにレバーとディレイラー間の抵抗が大きく、レバー操作にも大きな力が必要になります。
そのため、レバーをしっかりと握る必要があるので、ハンドルを握っている位置によっては非常に変速がしにくい状況もありますし、手の小さい方などは通常のブラケットポジションからでも届きにくいものです。
しかし、DI2は指がギリギリでもボタンに届きさえすれば問題ないですし、ブラケットの部分に機械式の機構を入れる必要がない分コンパクトな形状なので、握りやすいというメリットもあります。
また、上ハンドルや下ハンドルを握っている際はレバーまでの距離が遠いので、機械式の場合はシフトチェンジをあきらめるということも少なくありません。
しかし、DI2は上ハンドルや下ハンドルからも操作できるシフトスイッチ(別売り)を取り付けることができますので、どこからでも操作が可能になります。
インプレ情報に見るシマノ・アルテグラDI2のメリット②トラブルの少なさ
前項に引き続きユーザーさんのインプレ情報から、シマノ・アルテグラDI2のメリットをお伝えします。
アルテグラDI2はチェーンが落ちてしまう可能性を防ぐために、自動でトリム操作を行う仕組みになっています。
例えばフロントアウター、リアがローという組み合わせから、フロントをインナーにチェンジしますと極端な斜め掛けになるので、チェーンとディレイラ―のケージが擦れ、音が鳴ることがあります。
これを防ぐために、シフトチェンジ手前の擦れない位置までチェーンを動かすことを、トリム操作といいます。
しかし、これは微妙なレバータッチなので上手くいかないこともあり、不用意な場合ですとシフトチェンジされてしまい、ディレイラーの調整不足やギアの精度次第ではチェーンが内側に落ちてしまいます。
しかし、DI2は自動でトリム操作を行ってからシフトチェンジに移行する2段階方式なので、チェーン落ちの可能性が非常に低くなります。
また、機械式はワイヤーが伸びますので定期的に交換や調整が必要であり、特にフレーム内装式の場合、交換などは非常に面倒な作業になります。
しかし、DI2は電線ですので伸びることもないですし、チェーン伸びの補正に対応するのもスイッチをマニュアルにしたがって数回押すだけで、3分も掛かりません。
このような、トラブルの少なさやメンテナンスの簡易性もアルテグラDI2の大きなメリットと言えます。
シマノ・アルテグラDI2のインプレ情報にはデメリットを伝えるものもある
前項まではアルテグラDI2のメリットについてお話ししましたが、デメリットもお伝えしておかなければなりません。
デュラエースに比べればリーズナブルではありますが、決して安い買いものというわけではないので、価格がひとつネックにはなります。
また、コンポを電動式にしてもロードバイクのスピードに変化はありませんので、速く走るためのカスタムではないことは頭に入れておきたいところです。
これは、機械式でも同じことなのですが、スピードが上がらないという不満を伝えるインプレ情報も少なからずありますので、特筆させていただきます。
そして、これは当たり前のことなので注意事項ということですが、DI2はバッテリーが切れれば変速ができなくなります。
シマノの公表ではフル充電で700Kmの走行が可能としていますので、頻度にもよりますが数日に1度充電できる環境ならば問題はないかと思います。
しかし、宿泊なども伴う長距離となると少し不安も出てきますので、できればモバイルバッテリーから充電が可能な、内装型の充電器にするのがおすすめです。
アルテグラDI2は走りの楽しみを増幅させてくれる!
アルテグラDI2は、変速の快適さやメンテナンスの簡易性向上ということから、ロードバイクで走る楽しみを増やしてくれる機能かと思います。
しかも、デュラエースの半分以下の費用で導入できるというリーズナブルさもありますので、ホビーライダーには嬉しいところです。
デメリットがないとまでは言い切れませんが、それを補って余りあるメリットが実際のユーザーさんからのインプレ情報から伝わってきますので、一考の価値はあるはずです。