ロードバイクのブレーキは、身の安全に直結する重要なパーツです。
ブレーキが確実に動作する状態を保つためには、ユーザーがブレーキのメンテナンス方法を知っておく必要があります。
そこで、この記事ではシマノ105のブレーキキャリパーを例に、メンテナンスの基本となるロードバイク用ブレーキの取り付け方について詳しく解説します。
シマノ105のブレーキキャリパーの取り付けに使う道具は?
この記事では、シマノ105グレードのブレーキキャリパーの取り付け方を詳しく解説します。
現行のシマノ105のブレーキキャリパーは、1軸のボルトで固定する通常のモデルと2軸のボルトで固定するダイレクトマウントモデルの2種類があります。
しかし、ロードバイクの多くは1軸のボルトでブレーキキャリパーを固定しています。
そのため、この記事では1軸のボルトで固定するタイプのブレーキキャリパーの取り付け方について解説します。
以下よりブレーキキャリパーの取り付けに使用する工具を箇条書きで記します。
・5mmアーレンキー 1本
・4mmアーレンキー 1本
・2mmアーレンキー 1本
・ワイヤーカッター
・ウエス(ぼろ布)
それぞれの工具について簡単に解説します。
5mmアーレンキーは本体の固定に、4mmアーレンキーはブレーキシューの固定に使用します。
2mmアーレンキーはセンタリング調整ボルトを回すために使用します。
なお、組み付け用のグリスを用意する必要はありません。
なぜなら、出荷時の状態で適切な量のグリスが塗布された状態にあるためです。
シマノ105のブレーキキャリパーの取り付け!「固定」編
それでは、シマノ105のブレーキキャリパーの取り付けについて、実際の作業手順の解説に移ります。
最初に、フレームにブレーキキャリパーを固定します。
取り付けの前に、ブレーキキャリパーのセンタリング調整ボルトを標準の位置に戻します。
センタリング調整ボルトの標準の位置は、ブレーキキャリパーを正面から見た際に、センタリング調整ボルトの頭がブレーキキャリパーのアームの影に隠れず完全に見える位置です。
センタリング調整ボルトを標準の位置にしたら、ブレーキキャリパーの取り付け用の軸にセットされている固定ボルトを外します。
その状態で、ブレーキキャリパーを正面からフレームにセットします。
そして、ブレーキキャリパーの裏側から、5mmアーレンキーを使用して固定ボルトを取り付けてブレーキキャリパーを仮止めします。
なお、仮止めの程度はブレーキキャリパーがグラグラの状態で留めておきます。
片手でブレーキアーチを握り、左右からブレーキシューをリムに押し付けた状態で固定ボルトを8から10N・mで本締めし、ブレーキキャリパーを完全に固定します。
向きに注意!ブレーキシューの位置を調整しよう!
シマノ105のブレーキキャリパーをフレームに取り付けたら、ブレーキシューの位置を調整します。
ブレーキシューの位置の調整には4mmのアーレンキーを使用します。
まずは、ブレーキシューの向きをチェックします。
ブレーキシューホルダーのヒレのような部分が下を向いているのが正しい向きです。
また、ブレーキシューが正しく取り付けられた状態では、ブレーキシューホルダーに設けられているブレーキシューのゴムを固定するボルトの位置が、ホイールの進行方向に対して後側にきます。
この向きを間違えた場合、ブレーキシューの制動力が十分発揮されない可能性があるため、十分に注意してください。
向きを合わせたらブレーキシューの上下位置を合わせます。
ブレーキアーチを左右から握りブレーキシューをリムに押し当て、ブレーキシューの位置を調整します。
この際、ブレーキシューの上端がリムの上端より1mmほど下に押し当てられるようにします。
ブレーキシューの上下位置を調整したら、その状態で仮止めします。
ブレーキシュー取り付けの際には「トーイン」を設定しよう!
前章では、シマノ105のブレーキキャリパーのブレーキシューの向きと位置の調整方法を解説しました。
この章では、ブレーキシューの「トーイン」の設定についてお話しします。
「トーイン」とはリムに対するブレーキシューの当たり角度を、カタカナの「ハ」状になるように調整することをいいます。
このトーインを設定してブレーキシューを取り付けると、ブレーキ操作がスムーズになり、なおかつブレーキの音鳴りを防止する効果があります。
前章で仮止めしたブレーキシューの固定ボルトを軽く緩め、ブレーキシューを手で動かせる程度にします。
そして、ブレーキシューの先端を少しリム側に向け、その状態で再び仮止めします。
なお、ブレーキシュー先端を極端に内向きにはせず、ブレーキシューの後端に対して先端が0.5mm内側にある程度にしてください。
ブレーキシューの向き、上下位置、トーインの調整ができたら、ブレーキシューの固定ボルトを5から7N・mで本締めしてブレーキシューを完全に固定します。
ブレーキシューの固定ボルトを本締めする際には、固定ボルトの回転につられてブレーキシューの位置まで動かないように注意してください。
シマノ105のブレーキキャリパーの取り付け!「ワイヤーの固定」編
ブレーキシューの取り付けが終わったら、ブレーキワイヤーをブレーキキャリパーに固定します。
作業の前に、ブレーキキャリパーのケーブルアジャスターを初期位置に戻します。
同じく、ブレーキ解放レバーを閉じた状態にします。
なお、旧モデルのシマノ105のブレーキキャリパーは、ブレーキ解放レバーが中途半端な位置でも止まってしまうため、ブレーキ解放レバーが完全に閉じた状態になっているかよく注意してください。
また、ブレーキワイヤーの端のタイコがブレーキレバーの所定の位置に正しく納まっていることもチェックしてください。
それらに問題がなければ、ブレーキワイヤーの固定に移ります。
ブレーキシューの取り付けと同じように、ブレーキアーチを左右から握ります。
次に、ブレーキシューとリムの間隔が左右それぞれ、1.5mmから2mmになる状態にして保持します。
ブレーキワイヤーがブレーキキャリパーの所定の位置にあるのを確認したら、4mmのアーレンキーを使って固定ボルトを6から8N・mで締め、ブレーキワイヤーを固定します。
シマノ105のブレーキキャリパー取り付けの総仕上げ!「調整」編
最後の章では、シマノ105のブレーキキャリパー取り付けの仕上げとして、ブレーキキャリパーの調整方法を解説します。
まずは、左右のブレーキシューとリムの間隔を均等にします。
2mmのアーレンキーを使ってセンタリング調整ボルトを回します。
センタリング調整ボルトを時計回りに回すと、ブレーキアーチは向かって右にずれ、反時計回りに回すと向かって左にずれます。
左右のブレーキシューとリムの間隔を均等にしたら、ケーブルアジャスターを回してブレーキシューとリムの間隔を再び調整します。
ケーブルアジャスターを時計回りに回すとブレーキシューとリムの間隔が広がり、逆に回すとブレーキシューとリムの間隔が狭まります。
先の章で述べたように、ケーブルアジャスターを回して左右ブレーキシューとリムの間隔が1.5mmから2mmになるようにします。
そして、ブレーキレバーを引いてみて、ブレーキシューをリムに押し当てた際にブレーキレバーがハンドルから遠すぎなければブレーキシューとリムの間隔は適切です。
これにて、シマノ105のブレーキキャリパー取り付けの解説は終了です。
最後に、作業が完了したらブレーキが確実に制動するかチェックしましょう。
ブレーキの最終チェックは念入りに!
この記事では、シマノ105のブレーキキャリパーを例に、ロードバイク用ブレーキキャリパーの取り付け方を解説しました。
ブレーキキャリパーの取り付けはそれほど難しい作業ではありません。
しかし、最初に述べたようにブレーキは身の安全に直結するパーツです。
作業後のチェックはとくに念入りに行いましょう。