この記事では、シマノのデュラエースグレードのカセットスプロケットと、シマノの他のグレードのカセットスプロケットを比較します。
比較する項目は、カセットスプロケットの素材、重量、ギア比構成のラインナップ、価格です。
そして、最後の章ではデュラエースのカセットスプロケットを、カンパニョーロとスラムの最上級グレードのカセットスプロケットと比較をします。
シマノのカセットスプロケットの構造についておさらいしよう!
冒頭でお伝えしたとおり、シマノのデュラエースグレードのカセットスプロケットと、他グレードのカセットスプロケットを比較します。
この本題に移る前に、この章ではカセットスプロケットの基本的な構造について解説します。
カセットスプロケットは、旧来のスプロケット(ボスフリー)とは異なり、分解が可能です。
そのため、カセットスプロケットの清掃が簡単になる、ギアの組み換えが可能であるといったメリットがあります。
11スピードのカセットスプロケットの場合、トップ側6枚までのカセットスプロケットは1枚ずつ分解が可能です。
ロー側5枚のカセットスプロケットは、2枚と3枚のカセットスプロケットに分解できますが、それ以上は分解できません。
また、ボスフリーにはスプロケット側にフリー機構が内蔵されていましたが、カセットスプロケットではハブ側にフリー機構が取り付けられています。
そのため、フリー機構に問題が発生した場合は、ボスフリーではスプロケット全体の交換が必要でしたが、カセットスプロケットではフリーボディの交換のみで問題を解決できます。
シマノのデュラエースのカセットスプロケットはスチール&チタン製!
カセットスプロケットの基本的な構造が理解できたら、本題のデュラエースのカセットスプロケットと他グレードのカセットスプロケットの比較に移ります。
まずは使用されている素材に注目します。
シマノのデュラエース以外のカセットスプロケットの素材はスチール製です。
一方、デュラエースのカセットスプロケットでは、ロー側5枚のカセットスプロケットの素材はチタン製です。
カセットスプロケットをチタン製にすることで、スチール製のカセットスプロケットと比較して重量が軽減されます。
ロー側5枚のみがチタン製であるのは、ロー側のカセットスプロケットは物理的に大きく素材の重さがカセットスプロケットの重量に大きな影響を及ぼすためと思われます。
また、ロー側のカセットスプロケット2枚と3枚を束ねているスパイダーアームも、デュラエースのカセットスプロケットと他のグレードのカセットスプロケットに違いがあります。
デュラエースのカセットスプロケットに使用されているスパイダーアームは、CFRPとアルミ製です。
チタン製カセットスプロケットとスパイダーアームにより、デュラエースのロー側のカセットスプロケットは他グレードのロー側のカセットスプロケットより軽量性に優れます。
デュラエースのカセットスプロケットはシマノで最軽量!
前章の最後で、カセットスプロケットの「軽量性」について触れましたが、この章ではデュラエースのカセットスプロケットの重量を、シマノの他グレードのカセットスプロケットと比較します。
最初に、現在主流であるオールラウンドに使用されるギア構成の、最小11T最大28Tのカセットスプロケットの重量を比較します。
シマノの公式によると最小11T最大28Tのカセットスプロケットの重量は、デュラエースは193g、アルテグラは251g、105は284gです。
デュラエースのカセットスプロケットが当然最軽量であり、アルテグラとの重量差は58g、105との重量差は91gでした。
続いて、最小11T最大30Tのカセットスプロケットの重量を比較します。
シマノの公式では、デュラエースは211g、アルテグラは269g、105は304gです。
デュラエースのカセットスプロケットとの重量差は、アルテグラで58g、105で93gです。
あまり使用頻度は高くありませんが、最小12T最大25Tのカセットスプロケットの重量も比較します。
シマノの公式で、デュラエースは189g、アルテグラは243g、105は269gでした。
デュラエースのカセットスプロケットとの重量差は、アルテグラで54g、105で80gです。
これら3つの例から、全体としてデュラエースのカセットスプロケットは、アルテグラと比較して57gほど軽く、105と比較して88gほど軽いと結論できます。
カセットスプロケットのギア比の構成をチェック!
先の章においては、デュラエースのカセットスプロケットとシマノの他のグレードのカセットスプロケットの重量を比較するため、ギア構成が同じカセットスプロケットを比較しました。
比較対象となったカセットスプロケットのギア構成は3種類でしたが、シマノのカセットスプロケットのラインナップにはこの3種類のギア構成以外のカセットスプロケットもあります。
この章では、そのカセットスプロケットのギア構成とそのラインナップを、デュラエースのカセットスプロケットとシマノの他のグレードのカセットスプロケットで比較します。
デュラエースのカセットスプロケットのギア構成は5種類用意されており、それぞれ最小11T最大25T、最小11T最大28T、最小11T最大30T、最小12T最大25T、最小12T最大28Tといったラインナップです。
先の章からも分かるように、この内の最小11T最大28T、最小11T最大30T、最小12T最大25Tの3種類はアルテグラおよび105のカセットスプロケットにもラインナップされています。
逆に、最小12T最大28Tのギア構成のカセットスプロケットは、デュラエースのみにしかありません。
アルテグラでは、最小12T最大28Tのギア構成の代わりに、最小14T最大28Tのギア構成のスプロケットがラインナップされています。
また、非常に軽いギアである32Tは、デュラエースのカセットスプロケットにはラインナップされていません。
デュラエースのカセットスプロケットの価格はシマノのなかで断トツに高価!
デュラエースはシマノのコンポーネントの最上級グレードであり、それに恥じない性能を誇っています。
そして、価格もそれに見合ってシマノのコンポーネントの内でもっとも高価です。
それは当然カセットスプロケットにも当てはまります。
そこで、この章ではデュラエースのカセットスプロケットとシマノの他のグレードのカセットスプロケットの価格を比較します。
なお、先の章と同じく、比較対象はギア構成が同じ3種類のカセットスプロケットとします。
一般的な最小11T最大28Tのカセットスプロケットの価格は、デュラエースが26,504円、アルテグラが8,123円、105が4,845円です。
続いて最小11T最大30Tのカセットスプロケットの価格は、デュラエースが27,393円、アルテグラが8,795円、105が5,082円です。
最小12T最大25Tのカセットスプロケットの価格は、デュラエースが25,259円、アルテグラが8,123円、105が4,845円です。
平均すると、デュラエースのスプロケットはアルテグラと比較して18,038円高く、105と比較して21,461円高いといった結果になります。
つまり、カセットスプロケットの価格を比較すると、デュラエースのカセットスプロケットの価格は他のグレードのカセットスプロケットより大幅に高価であるといえます。
カンパニョーロおよびスラムのカセットスプロケットと比較!
最後の章では、大手コンポーネントメーカーである、カンパニョーロとスラムの最上級グレードのカセットスプロケットを、シマノのデュラエースのカセットスプロケットと比較します。
カンパニョーロの最上級グレードのカセットスプロケットは「スーパーレコード」です。
カセットスプロケットの素材はシマノのデュラエースと同じく、ロー側のカセットスプロケットにチタンを使用していますが、こちらはロー側6枚がチタン製です。
重量は、最小11T最大25Tのギア比構成のカセットスプロケットで177gです。
なお、デュラエースのカセットスプロケットの重量は同じギア比構成で175gであり、ほぼ同等の重量です。
スーパーレコードのカセットスプロケットの価格は52,000円で、デュラエースのカセットスプロケットのおよそ倍の価格です。
スラムの最上級グレードのカセットスプロケットは「レッド」です。
カセットスプロケットの素材はスチールおよびアルミです。
デュラエースのカセットスプロケットとの大きな違いは、レッドのカセットスプロケットはトップとロー以外はスチール削り出しの中空構造となっていることです。
重量は、最小11T最大25Tのギア比構成のカセットスプロケットで151gと、デュラエースのカセットスプロケットより20g近く軽量です。
レッドのカセットスプロケットの価格は42,000円で、デュラエースのカセットスプロケットより2万円近く高額です。
カセットスプロケットだけグレードを落とすものアリ!?
デュラエースのカセットスプロケットは素材や重量の観点から、他のカセットスプロケットと差別化が図られていることがわかります。
しかし、価格もそれ相応に高価であり、アルテグラと比較しても3倍以上の価格設定です。
そこで、デュラエースのコンポーネントをなるべく安価にそろえたいと考えている方には、カセットスプロケットをデュラエース以外のグレードにすることを提案します。