ロードバイクのチェーンは消耗品であり、定期的な交換が必要です。
シマノユーザーの場合は、多くの方は交換用チェーンとしてシマノ純正品を購入するかと思われますが、初心者の方にとってはチェーンの種類が多すぎて混乱が生じるかもしれません。
そこで、この記事ではシマノのチェーンのラインナップについて、そのチェーンはどのコンポーネントに使えるのか、そして、そのチェーンの特徴は何か、ということについて解説します。
チェーンの基本のおさらい!チェーンはリア変速段数によって幅が違う
この記事では、現在のシマノのロードバイク用チェーンのラインナップについて、それぞれのチェーンに対応するコンポーネントと、そのチェーンの特徴を解説します。
本題に入る前に、ロードバイクのチェーンとリアの変速段数の関係について触れておきます。
ロードバイクのコンポーネントは、モデルチェンジを重ねるにつれてリアの変速段数が増加しました。
リアの変速段数が増加すれば、当然スプロケットの幅も広がります。
そのため、もともと120mmだったフレームのエンド幅は、8段変速が登場した時点で130mmまで拡大しました。
しかし、8段から11段へリアの変速段数が増加する過程では、フレームのエンド幅は130mmのままです。
これは、スプロケットの歯の厚みを薄くすることで、スプロケットの幅を大きく変更せずリアの変速数を増やすようにしたためです。
スプロケットの歯の厚みが薄くなれば当然チェーンも薄くなり、その変速段数専用の寸法で設計されるようになりました。
そのため、シマノのチェーンのラインナップでは、ロードバイクのリア変速段数によって使用可能なチェーンが決まっています。
チェーンラインナップのトップモデル!シマノ「CN-HG901」
それでは、シマノのロードバイク用チェーンのラインナップについて解説します。
シマノは現在、リア11段変速用のチェーンを3種類ラインナップしています。
そのなかで、トップグレードのチェーンが「CN-HG901」です。
シマノのチェーンでは、ロードバイク用とMTB用の区別はありません。
そのため、この「CN-HG901」がデュラエースおよびXTRのグレードにあたります。
このチェーンには、アウターリンクからローラーピンにいたるまで、全ての部品にシルテック加工がなされています。
シルテックとは、チェーンの表面をフッ素加工によって超低摩擦表面処理する技術です。
シルテック加工されたチェーンは、さまざまな過酷な環境においてもなめらかな動作が長期間持続します。
そのため、従来のチェーンと比較した場合、摩擦抵抗やノイズの低減、泥はね性能や耐磨耗性など全ての面で性能が向上しています。
重量は114リンクで247gで、11段変速用チェーンのなかで最も軽量です。
販売価格は、通常価格で5500円前後、実売価格では4000円前後です。
チェーンラインナップのセカンドグレードモデル!シマノ「CN-HG701」
シマノのリア11段変速用チェーンラインナップでセカンドグレードのモデルが、「CN-HG701」です。
この「CN-HG701」は、アルテグラおよびDEORA XTグレードにあたるチェーンです。
上位モデルの「CN-HG901」との違いは、シルテック加工されたパーツの数と重量です。
「CN-HG901」では、アウターリンクからローラーにいたるまで全てにシルテック加工が施されていました。
しかし、「CN-HG701」ではローラー部分はシルテック加工されていません。
「CN-HG701」でシルテック加工が施されるのは、アウターおよびインナーリンクとリンクピンです。
また、「CN-HG901」では穴あき加工がされていたリンクピンは、「CN-HG701」では通常タイプのリンクピンが使用されています。
そのため、「CN-HG901」と比較して「CN-HG701」は重量が10g増加し、114リンクで257gです。
販売価格は、通常価格で5000円前後で、実売価格は3000円前後です。
コスパモデルのサードグレード!シマノ「CN-HG601」
シマノのリア11段変速用チェーンラインナップのサードグレードが、「CN-HG601」です。
「CN-HG601」はロードバイク用コンポーネントのグレードでいえば105にあたります。
セカンドグレードの「CN-HG701」とサードグレードの「CN-HG601」の差は、ここでもシルテック加工される部品の違いです。
サードグレードの「CN-HG601」では、シルテック加工が施されるのはアウターリンクのみです。
なお、「CN-HG601」の重量は、セカンドグレードの「CN-HG701」と変わらず114リンクで257gです。
販売価格は、通常価格で4000円前後で、実売価格は2500円程度です。
この「CN-HG601」は、シルテック率は低いものの、価格が安いというメリットがあります。
チェーンは使用を続けると伸びが発生し、力の伝達効率が低下します。
そのため、良好な性能を保ち続けるには、こまめなチェーンの交換を必要とします。
その際、価格の高いチェーンでは交換を躊躇してしまいます。
しかし、手ごろな価格のチェーンであれば気兼ねなく交換ができるため、結果としてフレッシュなチェーンで良好な性能を得られます。
シマノのリア10段変速チェーンのラインナップは2種類!ティアグラの場合は要注意!
シマノのリア10段変速用のチェーンは、「CN-6701」および「CN-HG54」がラインナップされています。
「CN-6701」は旧来のリア10段変速用コンポーネントに対応するチェーンで、グレードはアルテグラです。
しかし、現在シマノは旧来のリア10段変速用のチェーンはこの「CN-6701」しかラインナップしておらず、グレードにあまり意味はありません。
このチェーンの特徴として、アウターおよびインナーリンクに肉抜きが施されています。
価格は、実売価格で3000円前後です。
しかし、このチェーンは10段変速用チェーンですが、現行の10段変速のコンポーネントであるティアグラには使用できません。
それは、現行の4700系のティアグラは11段変速をベースにスプロケットが設計されているためです。
そのため、4700系のティアグラの交換用チェーンは、「CN-HG54」を使用する必要があります。
この「CN-HG54」は、通常価格で2500円前後、実売価格では2000円前後で購入できます。
リア9段と8段変速用のシマノチェーンにはグレードはなし
最後の章では、シマノのリア9段変速用チェーンおよびリア8段変速用チェーンについて解説します。
シマノのリア9段変速用のチェーンは、「CN-HG93」および「CN-HG53」がラインナップされています。
これらのチェーンは、シマノの現行の9段変速コンポーネントのソラで使用可能です。
「CN-HG93」と「CN-HG53」の違いは表面処理に差があり、「CN-HG93」の方が明るい銀色をしています。
しかし、表面処理による性能の差は微々たるものでしょう。
価格は、両方とも通常価格で3000円前後です。
シマノがリア8段変速用にラインナップしているチェーンは、「CN-HG71」です。
このチェーンは、6段から8段までのコンポーネントに使用可能です。
ロードバイクのみならず、外装式のギアを備えたシティサイクルのチェーンとしても使用可能です。
なお、シマノのラインナップで8段変速までに対応するチェーンは「CN-HG71」のみです。
販売価格は、通常価格で3000円前後、実売価格で2000円前後です。
現行ティアグラのチェーン選びは要注意!
シマノのチェーンはリア11段から8段変速まで、それぞれ専用設計のチェーンがラインナップされています。
基本的には、リアの変速段数に合わせ、その変速段数に対応するチェーンを選べば失敗はしません。
しかし、現行のティアグラのコンポーネントの場合、10段変速用チェーンの「CN-6701」は使用できないため注意が必要です。