現在のロードバイクのコンポはリア11速が主流であり、統計を取ったわけではないですが、圧倒的に多い事は確かです。
しかし、世界のトップシェアメーカーであるシマノには11速以外にも、8速、9速、10速のコンポもあり、長年変わらずラインナップが継続されています。
そこで今回は、リアの変速段数の違いやコンポのグレード差について考えていきます。
シマノのロードバイク用コンポのグレードごとの位置づけ
シマノのロードバイク用コンポには、リアの変速段数が8速のクラリスから、11速のデュラエースまで6つのグレードがあります。
グレードのパーツの集まりがグループセットとなり、完成車に一式で導入されることが多くなります。
シマノのコンポは変速が増えるにしたがって価格が上がり、性能やデザインに差がついてきます。
特に11速のコンポはレースモデルと位置づけ、最上位モデルの「デュラエース」はプロの使用を前提に開発、製造されています。
そのデュラエースと同じパッケージで開発されるのがセカンドグレードの「アルテグラ」であり、素材や製造工程を見直すことで価格を抑え、上位グレードのユーザー層を拡大する狙いがあります。
そして、そこに扱いやすさや汎用性を加味し、さらにもう一段工夫を凝らしてコストを抑えたのが「105」になります。
対して10速「ティアグラ」や、9速「ソラ」、8速「クラリス」の各コンポは、価格の安さを売りに、ロードバイクの裾野を広げるコンポと言えます。
イメージとしては、機能や仕様は上位モデルと変わりませんが、性能やデザイン性に劣る分、価格が下がるという感じです。
それでも近年デザインは改善されており、ロゴが入ってなければどのグレードか見分けがつかないパーツもあります。
シマノの9速、10速のコンポと11速のコンポでは走りの質がどう違う?
シマノのコンポですが、リアの変速段数でグレードが決まっているように見えますが、上位グレードも9速、10速の時代を経て現在の11速に収まっているので、イコールとは言えない部分もあります。
しかし、変速段数はスペックの違いが分かりやすいのいで、グレード分けの1つの大きな要素になっています。
では変速段数の数で何が変わるのかと言えば、細かいスピードコントロールになります。
変速段数が多くなればギア間の差が小さくなり、急な加減速は無くなりますので、ペダルに込める力を一定に保ったままで走ることができます。
一定の力でペダルを漕ぐことができれば、無駄な力を使わずに済みますので、楽に走ることができます。
しかし、変速段数が少ないとギア間の差が大きくなり、ペダルに込める力が強くなったり弱くなったりの繰り返しになるので、余計な力を消耗することになります。
そのため、この差が顕著になってくるのは、長距離やアップダウンの多い山道などを走る場合になります。
舗装された平坦な道で、同じギアを使い続ける分には、9速や10速、11速だってそれほど大きな違いはありません。
したがって、この変速段数というのは用途や乗り方によって選択すればよいことになり、平坦路がメインであるならば9速、10速でも何の問題もありません。
9速、10速のコンポは快適性が少し足らない!
前項でもお話ししましたが、8速、9速、10速のコンポは、見た目のスペックで変速段数が少ないから下位グレードという認識がされています。
しかし、大きいのはそこではなく、使ってみての性能差がグレード分けの決定打になっています。
コンポは自転車を前に動かす機構に関係するパーツとブレーキの総称で、主に快適性や安全性に大きく関わってきます。
例えばフロント変速は、シフトレバーやスイッチを押すことでワイヤーが動き、そこに繋がっているディレイラー(変速機)がチェーンを保持した状態で、クランクの先端に付属しているチェーンリング(フロントギア)間を動くという仕組みです。
コンポはこういった連動性がありますので、それぞれの性能が高いとスムーズに、カチッと変速が決まります。
ところが、性能が低くなってしまうと、レバーやスイッチを押すのに大きな力が必要になったり、チェーンリングが振動して変速にタイムラグが生まれたりします。
しかし、あくまでもこれは快適さの問題であり、9速や10速のコンポが変速してくれない、壊れやすいということはありません。
特にシマノほどの世界に認められたメーカーであれば、どのグレードであっても調整さえしていれば、普通に変速することに何の支障もありません。
シマノの9速、10速コンポのブレーキの制動力は?
シマノのブレーキにおいては、9速や10速と11速に関しては差が大きいと言わざるを得ません。
まずラインナップですが、10速以下のコンポにはキャリパーブレーキしか用意されていませんが、11速用コンポにはディスクブレーキやダイレクトマウントブレーキも用意されています。
それが必要かどうかは別として、仕様の違いがあるのは明らかです。
同じ土俵で比較ができるキャリパーブレーキですが、「最低でも105以上」というのがロードバイク乗りの中では定説とも言えます。
上位グレードは最新モデルになった段階で、さらにダイレクトに「ガツン」と効く仕様になりましたので、制動力の差が歴然となりました。
下位グレードのブレーキも、乾いた平坦路をそれほど速くないスピードで走る分には問題ありませんが、筆者の経験でも急坂の下りや、雨に濡れた路面などでは少し不安に感じることもありました。
そのため、ブレーキは11速コンポの方が明らかに優位で、優先的に交換が推奨されるパ―ツと言えます。
コンポがスピードに与える影響は小さい
ここまでお話ししてきましたように、コンポは快適に走ることや、安全面に大きく関係してくるパーツです。
ただ、ロードバイクは最高速度を出すための自転車というコンセプトがあり、その身上はスピードにあります。
そのため、ロードバイク乗りにまず最初に突き上げてくる欲求は、スピードを上げたいということが多くなります。
そこに向けて試行錯誤をするわけですが、コンポにスピードアップの効果があるかと言われれば、それは微妙と言わざるを得ません。
スピードアップは車輪の回転力を上げるということになりますので、関係するパーツは車輪を形成するホイールとタイヤであり、回転力を高めるのは乗り手の脚力です。
また、空気抵抗を減らせばスピードは上がりますので、軽量にするということは無意味ではないですが、コンポが軽くなったところでスピードに与える影響は微々たるものです。
そして、重いギアを回せば物理的には車輪の回転力が上がりますが、回せる脚力があればの話ですし、前後のギアの組み合わせ、特に重いギアは9速、10速のコンポと11速のコンポでも変わりません。
したがって、カスタムの最大の目的がスピードアップであるならば、いかにシマノと言えど、コンポの交換は優先順位が低くなります。
シマノの9速、10速、11速のコンポにはほぼ互換性がない!
9速や10速のコンポでハンデと思われがちなリアの変速段数は、体に疲れを残さず楽に走れるかどうか、オフロードやアップダウンなど、地形や路面状況に対応しやすいかどうかという、快適性に関わることでした。
そのため、平坦の舗装路がメインで、雨の日は乗らないなど、さほど過酷な条件下を走ることが無いのであれば、9速でも10速でも不足がないとお伝えしました。
また、変速の快適性はリア11速の上位グレードが優位とお伝えしましたが、普通に使用してする分には下位グレードであっても問題ないともご説明しました。
しかし、リア11速のコンポに交換することは、費用が掛かること以外にデメリットはないかと思いますので、もちろん否定することではありません。
その際ですが、シマノはリアの変速段数違いのコンポに互換性を保証していません。
これは、9速ベースのコンポの一部分だけを10速や11速用に交換した場合に、正常に作動するかどうかを保証していないということです。
そのため、9速や10速からのコンポの交換は基本的にセット一式になりますので、余計に使用目的や走り方を事前に考える必要があるということです。
なお、キャリパーブレーキは変速段数に関係がないので、シマノのカタログに掲載されているものであれば、どのレバーとの組み合わせでもほぼ互換性があります。
コンポに何を求めるか?
今回は、シマノの9速、10速コンポと11速の違いについてお話ししました。
極端に言えば、平坦な道でツーリングや街乗りをするのであれば、シマノならどのグレードのコンポでも問題はありません。
そこに快適性や安全性を高めるという要素を加味すると、上位グレードのコンポに行き着くということです。