SHIMANO(シマノ)のCLARIS(クラリス)といえば、エントリーグレードの完成車に装備されていることの多いコンポです。
経験が浅い内は必要十分かと思いますが、慣れてくればもう少し性能を上げたくなるレベルで、その際には105(イチマルゴ)がよく推奨されます。
そこで今回はその理由も含め、両コンポの特徴も詳しくお伝えしていきます。
SHIMANOコンポの特徴
SHIMANOのロードバイク用コンポのグレードは上位から、Dura-Ace(デュラエース)、ULTEGRA(アルテグラ)、105(イチマルゴ)、TIAGRA(ティアグラ)、SORA(ソラ)、CLARIS(クラリス)。
上位3グレードまでがリア11速、その後は一段づつ変速段数が減り、CLARISが8速となります。
上位グレードになるに連れて性能はもちろんですが、重量が軽くなり、価格が上がっていきます。
下位グレードはカタログなどでは重量が公表されていませんが、Dura-AceとCLARISはコンポ一式で1㎏以上の差があると言われています。
また、コンポ一式の価格はDura-Aceが約22万円、CLARISが4万円とかなりの開きがありますが、Dura-AceはSHIMANOでも別格の存在なので、CLARISが際立って安価というわけではありません。
コンポは単品でも販売していますが、セット一式で完成車に導入されていることの方がお馴染みかと思います。
装備されている完成車の価格の目安では、Dura-Aceが60万円以上、ULTEGRAが30~50万円、105が15~30万円、TIAGRAとSORAが10~15万円、CLARISが10万円以下というところです。
SHIMANO・CLARISのメリット
冒頭でも少し触れましたが、CLARISはおおむね初心者の方向けのエントリーグレードの完成車に装備されています。
そのため、ステップアップの土台になると考えられるコンポであり、まず最初にロードバイクに慣れるまでは必要十分の機能というイメージです。
しかし、SHIMANOは下位グレードに上位グレードの技術やデザインを踏襲させていますので、もちろん差はありますが中々のレベルにはなっています。
また、CLARISも2017年R2000系にモデルチェンジされた際に、クランクの4アーム化やBB(ボトムブラケット)のホローテック化など、標準的な仕様は105などの上位グレードにほぼ追いつきました。
そして、見た目的にもレーシングモデルのような存在感が出ており、以前の少し安っぽいイメージからは脱却しています。
しかも、SHIMANOのコンポは上位グレードから順を追ってモデルチェンジされていきますので、性能差は埋まりませんが、下位グレードの方が技術的には熟成されているとも言えます。
さらに、チェーンなどは耐久性が高く、11速用が4000km~5000kmの寿命と言われているところ、CLARISの8速用は10000km以上とも言われています。
また、消耗品がホームセンターでも入手できる可能性があるほど、汎用性の高さもあります。
SHIMANO・CLARISと105のリア変速段数の違い
前項でお伝えしたようにCLARISはSHIMANOコンポでは最下級モデルではありますが、必要十分で、特に普段使いやまったりと走る分には長く使い続けても不満のないコンポではあると思います。
しかし、最下級モデルですから当然上があるわけで、そこを目指す人が多いのもまた事実です。
まずやはり大きな違いはギアの数で、リア8速に物足りなさを感じてくる人が多いです。
ロードバイクは、クランクに付属するフロントギアの「チェーンリング」と、後輪に付属するリアギアであるスプロケットの歯数の組み合わせでギア比が決まります。
フロントは2速が基本、多くても3速なので、簡単に言えば軽いか重いかという大雑把な変速を担当するイメージです。
その分ギア数の多いリアで、細かくスピードや重軽のコントロールをします。
それでは、リアギアの歯数構成を8速のCLARISと11速の105、最軽と最重が同じ11-28Tのスプロケットで比較してみましょう。
CLARIS《11-13-15-17-19-21-24-28》
105《11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28》
リアは歯数の少ない方が重いギア、多い方が軽いギアになります。
CLARISは歯数間の差が2~3あり、特に20を超えると歯数が飛ぶので使い方によっては丁度よいギアが選びにくくなります。
一方105はレースモデルという位置付けなので、重いギアは11~15まで全て用意され、なおかつ11速の分中間から軽めのギアも歯数の差は2~3ですので、細かいコントロールも十分に可能です。
SHIMANO・CLARISと105のフロント変速の違い
前項ではギアの数が増える意味についてお話をしましたが、変速の正確性や快適さもSHIMANOの中で比較すると、CLARISと105では差があります。
CLARISに対して必要十分という言葉を使っているように、もちろん普通に変速できます。
しかし、特にフロントは歯数間が大きい分チェーンの移動距離が長く、変速に力が掛かります。
そのため、少し精度を欠きますので、CLARISであればなおさらその傾向は顕著になります。
また、フロント変速はシフトレバーもかなり強く押し込む必要がありますので、頻繁にギアチェンジをしていると、手に疲労感が残ることもあります。
一方105はレバーのアクションも小さく済みますし、ギアチェンジもスムーズです。
しかも、R7000にモデルチェンジをされケーブルのアジャスト機能が本体内蔵になったため、変速の精度がよりアップしています。
ロードバイクは走行中でないとギアチェンジができないので、正確性は重要な要素であり、スムーズさを欠くとストレスになりますので、快適性も無視できません。
CLARISから105にグレードアップが推奨される理由
序文でSHIMANOコンポでは、CLARISからのグレードアップは105が推奨されるとお伝えしましたので、ここまで両者の違いについてお話ししました。
お伝えしてきたのは代表的な性能差がある部分ですが、それらも踏まえ筆者は105にグレードアップしたい最大の理由は、抜群のバランスのよさにあると考えています。
先ほどもお伝えしましたが、SHIMANOはリア11速のコンポをレーシングモデルとしていますので、105もその内の1つです。
しかし、105は小柄な方に対応したショートリーチのレバーや、SHIMANOでは105にしかない、160mmという短いアームのクランクなどもあります。
また、スプロケットにも34Tという軽いギアが用意されているなど、コンセプトとしてはCLARISに近い、アマチュアライダーに寄り添ってくれる味付けが多くされています。
その上で先程のギアの歯数構成を確認して頂いたように、レースモデルとしての顔も垣間見えるというバランスが、105の最大の売りなのです。
そのため、用途の幅が広く乗り手を選ばないので、推奨されることになります。
CLARISから105にグレードアップする際の注意点
ここまでお伝えしているように、CLARISはリア8速、105は11速になりますが、SHIMANOはリアの変速数が違うコンポに対して互換性を保証していません。
そのため、両者をミックスして使用することは推奨されず、基本的にはセット一式の交換になります。
105の最新モデルはセット一式で約7万円ですが、105は先ほどもお伝えしたように用途の幅が広く性能も安定して高く、同じ物を長く使用できるはずなので、長期的に考えればコスパは高いです。
注意点としては、リアの変速段数を11速にする際は、11速のスプロケットを取り付けられるハブ(フリーボディ)の幅を持つホイールが必要です。
現在市販されているホイールはほとんどが11速対応ですが、まだ未対応のものもありますし、8速のCLARISが装備されている完成車は特にその可能性が高くなります。
そうなるとホイールの交換まで必要になりますので、場合によっては105を搭載した完成車が購入できる金額になってしまうこともあります。
そこにも注意しながら予算と相談して、自分に合うカスタムをして頂ければと思います。
セット一式交換には覚悟が必要!
今回は、SHIMANOのコンポCLARISから105へのグレードアップを考えてみました。
最大のポイントは一式交換になるという点であり、予算や換装作業の手間などを考えると相応の覚悟は必要です。
走りの質を高めたい、長距離を快適に走りたい、将来はレースを目指す、こんな要望がある方は105をおすすめします。