シマノのクランクセットの互換性!正しく運用するための知識

ロードバイクのカスタムを行う際に、「互換性」という言葉を目にしたり聞いたりすることがあるかと思います。

「レバーを引いたらブレーキが効く」のように、自転車は複数の部品が連動して成り立っていますので、部品同士の互換性が大切になります。

そこで今回はコンポの顔とも言われる「クランクセット」について、トップシェアであるシマノ製を例に互換性を考えていきます。

互換性はシマノが決めるもの

まず最初に「互換性」の定義と、筆者の考えについてご説明させて頂きます。

冒頭でもお伝えしましたが、自転車のように複数のパーツに連動性がある場合、1つのパーツを入れ替えても連動性が崩れず正常に作動すれば、そのパーツは他のパーツに対して互換性があるということになります。

後ほど詳しくお話ししますが、シマノがコンポの型番にロードバイクを意味する「R」を冠してから、クランクセットとフロントディレイラーに世代を超えた互換性は保証されなくなりました。

これは、旧モデルのフロントディレイラーでは、新モデルのクランクセットを正常に作動させることができないという意味です。

しかし、これを実際に試してみている方も少なくないようで、問題なく動いているというインプレ情報も見掛けます。

この事例ではないですが、筆者も以前にシマノが互換性を保証していないパーツの組み合わせで運用していたことがあります。

しかし、それをもってして互換性があるとは決して思っていません。

それは、何千何万もの実験、実践を経て出したメーカーの答えと、筆者のたった一例では比べようもないからです。

したがって、筆者は正常に動いたから全て互換性ありではなく、メーカー側が決めたものに準拠すると考えています。

シマノはリアの変速段数を合わせることを互換性の基本としている

シマノのコンポの互換性ですが、基本はリアの変速段数を揃えることにあります。

これは、コンポの中でもブレーキを除く変速機構はチェーンで繋がっており、チェーンの幅はリアの変速段数に合わせてあるので、違う段数用のものを使用すると不具合が出る可能性があるためです。

変速機構はフロントと、リアに分かれていますので、理論上は分けて考えることができるはずですが、チェーンの問題で連動させる必要があるということです。

また、これもよく話題になるのですが、10速と11速コンポは割とミックスしても不具合が出ないと言われますが、これはチェーンの内幅が同じで、外幅も0.2mmほどの差だからでしょう。

しかし、これも変速機のシビアな調整を要求されますし、変速が一発で決まりにくい、トリム操作が頻発するなど、無理のある運用であることも同時に報告されています。

そのため、もちろん予算の問題は大きいですが、コンポはリアの変速段数に合わせて統一させるのが基本になります。

そして、クランクセットには、互換性を考えなくてはいけない部分が多くありますので、次項からお伝えしていきます。

「クランクセット」とは

クランクセットとは、ペダルを漕ぐための棒状のパーツ「クランクアーム」と、フロントギアである「チェーンリング」が組み合わされたものです。

ペダルもクランクアームに付きますのでクランクの付属品と勘違いされやすいのですが、ロードバイクは一部を除きペダルは別売りですのでご注意ください。

前項でもお伝えしましたが、クランクセットはフロントギアも兼ねており、その歯車であるチェーンリングの互換性が特に重要になります。

冒頭でお話しした、シマノのクランクセットとフロントディレイラーの世代を超えた互換性がなくなったのは、このチェーンリングの仕様が変わったことによるものです。

シマノは新しい世代のチェーンリングのアウターとインナーの間隔が広がってしまい、旧モデルのディレイラーがアウターまで届かなくなったという公式見解を出しています。

これも調整次第では運用可能かもしれませんが、先に筆者の考えを述べさせていただいたように、互換性はシマノに準ずるのを基本とします。

そのため、クランクを新世代のものに交換する場合は、フロントディレイラーも同世代のものに交換しましょう。

チェーンリングとフロントディレーラーの互換性

前項でお伝えしたクランクセットのチェーンリングには、歯車の歯数が異なるいくつかの種類があります。

ロードバイクのフロント変速は2速が基本であり、チェーンリングは2枚必要になります。

歯数が多く大きい歯車が外側に付くので「アウター」、歯数が少ないのが内側に付く「インナー」で、ざっくり言うとアウターは重いギア、インナーは軽いギアになります。

そして、クランクセットのスペックに記載されている、50×34Tや53×39Tというのは、アウター×インナーの歯数の構成を表しています。

そして、変速はディレイラーがこの2枚の歯車にチェーンを掛け替えることで行われますが、インナーからアウターにギアを上げる際に歯数の差が大きいと、ディレイラーがチェーンを持ち上げきれなくなります。

そのため、ディレイラーにはチェーンリングとの互換性として、チェーンを持ち上げられる範囲「キャパシティ」が設定されています。

キャパシティは「アウターの歯数-インナーの歯数」で算出されますが、シマノのフロントディレイラーのキャパシティは最大「16」に設定されてます。

そのため、上記した50×34T(キャパシティ16)や53×39T(キャパシティ14)は互換性ありとなりますが、交換の際はディレイラーの最大キャパシティを超えない組み合わせにしなければなりません。

シマノのクランクセットとBBの互換性

クランクセットですが、フレームに直接装着されているわけではなく、BB(ボトムブラケット)というパーツを介して繋がっています。

フレームの下端部に切られているBBシェルという穴にBBを挿入し、そこにクランクアームをはめこみます。

現在はシマノを筆頭に回転軸がクランクの方に付属している「2ピースクランク」が主流なので、それに伴って中身が空洞(中空)のBBが多くなっています。

シマノではその中空のBBを「ホローテック」と呼んでおり、2ピースクランクとの互換性を保証しています。

また、直接変速に関係することではないので、リアの段数を超えた互換性も保証されていますので、ホローテックのBBとクランクは全て互換性ありということになります。

ただし、安価な機種にはBB側に回転軸が付属しており、その両側にクランクを嵌合する「3ピースクランク」も存在しますので注意が必要です。

シマノ製クランクセット互換性のまとめ

それでは最後に、シマノのクランクセットに関する互換性をまとめておきます。

シマノではリアの変速段数の違うコンポの互換性を保証していませんので、リア変速に合わせるのが基本です。

また、リア11速のコンポのクランクセットとフロントディレイラーでは、以下の組み合わせが互換性ありとされています。

◆クランクセット:
(新モデル)FC-R9100・FC-R8000・FC-R7000・FC-RS510
(一世代前)FC-9000・FC-6800・FC-5800・FC-RS500・FC-U5000-2

◆フロントディレイラー:
FD-R9100・FD-R8000・FD-R7000・FD-5801

そして、クランクとBBの互換性ですが、シマノの2ピースクランクとホローテックBBであれば、全て互換性ありとなります。

また、シマノのフロントディレイラーのキャパシティは最大16ですので、チェーンリングのアウターとインナーの歯数差を16以内に収めるようにしてください。

互換性はメーカーの保証!

今回はシマノのクランクセットについて、他パーツとの互換性を確認しました。

互換性はメーカーの保証なので、推奨されているものを守った上でのトラブルであれば、何かしらの対処はしてくれるはずです。

しかし、推奨されない組み合わせでは対処されないことはもちろん、こちらからは何の主張もできません。

全て自己責任と割り切るならよいですが、少しでも心配があるならば互換性を守るのが賢明です。