これで迷わない!シマノロードバイク用クランクの規格を確認

シマノのカタログをご覧になると分かるかと思いますが、クランクには非常に多くの規格があり、その分でラインナップも多くなっています。

カタログには見慣れない規格の言葉もあり、どれを選んでよいのか迷うこともあろうかと思います。

そこで今回は、シマノのロードバイク用クランクの規格についてお話ししていきます。

シマノのロードバイク用クランクの概要

今回はシマノのクランクの規格をまとめる趣旨になりますので、まずはクランクについて概要をお話しします。

自転車のクランクは、先端にペダルが付いている棒状のアームを回転させることで動力を車輪に伝える装置のことを指します。

また、進行方向に向かって右側のクランクにはフロントギアである「チェーンリング」が付属しており、アームとチェーンリングを合わせて「クランクセット」として扱うこともあります。

シマノのクランクセットはチェーンリングにクランクの軸が付属しており、それを車体に通して左側のクランクで固定をする構造の「2ピースクランク」になっています。

詳しくはのちほどお話ししますが、部品が少なく固定箇所が1か所なので剛性が高く、軽量なのが特徴です。

そして、クランクセットは自転車を前に進める機構とブレーキの総称である「コンポ」の中の1パーツです。

シマノのコンポには複数のグレードがあり、一般的にはグレードを1つのセットとして扱いますので、完成車などにはまとめて一式で導入されることが多いです。

ただし、販売形態は単品もありますので、部分的な導入も可能です。

シマノクランクの規格や構造の違い①「ホローテックⅡ」とは?

冒頭でもお話ししましたが、シマノのクランクには規格や構造の違いで、とても多くの種類があります。

そのため、まずは今回ご説明する規格や構造を一覧にしてみました。

◆グレード別による構造の違い

◆アームの長さ

◆チェーンリング(フロントギア)の枚数(ギアの段数)と歯数

これらを中心にお話ししていきます。

クランクセットがコンポの1パーツであり、シマノにはグレードがあるとお伝えしましたが、コンポは上位グレードになるほど、作りが精巧になり性能が上がり、価格も高額になるという仕組みです。

シマノは2ピースであることは全グレード共通ですが、デュラエース、アルテグラ、105の上位3グレードは「ホローテックⅡ」という特別な構造のクランクになります。

ホローは「空洞」という意味であり、ホローテックはアームの中身がくり抜かれた中空構造のクランクを意味します。

また、従来であれば、クランクと車体を繋ぐ役割のBB(ボトムブラケット)側に軸が付属していました。

しかし、クランク側に付属していることにより、BBも中空構造にすることができます。

いわゆる、中空クランク×中空BBでホローテック×ホローテックの組み合わせとなり、ホローテックの二乗という意味で「Ⅱ」という名称になっています。

シマノ・ホローテックⅡのメリット

ここでは、前項でお話ししたシマノの「ホローテックⅡ」について、もう少し詳しくご説明します。

クランクはペダルを漕いだ力を動力として後輪に伝える役目があるのですが、この際にアームの剛性が低くたわんで変形してしまうと、力が吸収されてしまいストレートに動力になりません。

そのため、アームや軸を太くして剛性の強化を図りたいのですが、それは金属の固まりを太くするということですから、もちろん重量が嵩んでしまいます。

そこでシマノは、剛性に関与しない中心付近をくり抜いて中空構造にした上で、アームや軸を太くして剛性を確保しています。

実際にホローテックのクランクとそうではないものを比べると、アームの太さが段違いなのがひと目で分かります。

また、これも規格違いの一つに数えてよいかと思いますが、デュラエースとアルテグラはフロントギアであるチェーンリングも中空構造になっています。

そのことでギア表面に強度が出せ、チェーンが動いてきた時にギアがたわまずにしっかりと受け止めるので、変速が「スパッと」決まります。

こういった点も、上位グレードの優位さと考えてよいかと思います。

シマノクランクの規格や構造の違い②アーム長

続いてお伝えするシマノのクランクの規格の違いは、アームの長さです。

シマノではグレードごとで用意されている長さが微妙に違いますが、160mmから180mmまで2.5mm刻みで揃っています。

アームの長さはクランクの回しやすさや、力の掛け方に関わって来ますので、一般的には身長や股下を基準に適正の長さを算出するのがよいとされています。

身長の10分の1や、股下×1.25+65mmなどという計算式が一般的ですが、今はこれを基本として自分の用途やペダリング(漕ぎ方)の癖なども加味して決めていくのがトレンドになっています。

単純に言いますと、アームが長くなれば脚を動かす円周が大きくなりますので、重いギアを使ってトルクが掛けやすくなります。

反対に短くなりますと、円周が小さくなりますのでトルクが掛けにくくなりますが、ペダルの回転数は上がるので、軽いギアが使えるようになります。

そのため、平坦の舗装路で一定の速度を保って走る様な場合は長めのアーム、アップダウンが激しく、急坂の上りなどで軽いギアを多用するなら短めのアームが適しています。

ただし、あまり極端な長さのものにしてしまうと、脚が詰まってペダルを漕ぎづらくなったり、膝や脚に負担が掛かります。

そのため、筆者の経験則でもありますが、身長や股下から算出した±2.5mm程度で長短を判断するとよいかと思います。

シマノクランクの規格や構造の違い③チェーンリングの歯数とギア数

続いては、クランクセットのチェーンリングの方のお話になります。

チェーンリングはフロントギアの歯車であり、ロードバイクの一般的な規格ではフロントは2速ですので、クランクには2枚の歯車が付属していることになります。

そして、ギアは歯車の歯数によって重いか軽いかが決まるので、カタログには歯数の構成が記載されています。

フロントギアは外側(アウター)の歯数が多い方が重いギア、内側(インナー)の歯数の少ない方が軽いギアとなり、スピードは後輪に付属しているスプロケットの歯数との組み合わせで決まります。

そのため、フロントだけでは一概に言えないのですが、シマノではアウター50×インナー34Tという組み合わせが全グレードに用意されており、上位グレードでは52×36Tや53×39Tも人気です。

また、ティアグラ、ソラ、クラリスの下位3グレードには、フロント3速仕様のクランクもあります。

このグレードは入門編という位置付けもあり、より軽いギアが必要という発想、またクロスバイクに付属されることもあるのが大きな理由です。

シマノのフロント3速は50×39×30Tという組み合わせなので、30Tが必要かというのが判断基準になります。

ちなみに、フロントが30Tで、リアギアを中盤の15T~17Tにするとギア比は1.76~2となり、ママチャリでも設定可能なギア比です。

シマノクランクの規格や構造の違い④PCDとチェーンライン長

チェーンリングには歯数や枚数の他にも細かい規格がいくつかありますが、シマノのカタログに記載があるのは「ギア取付ピッチ径」と「チェーンライン長」です。

ギア取付ピッチ径は、チェーンリングをアームに固定するボルトを線で結ぶと仮定した際にできる円の直径のことです。

いわゆる、アームとチェーンリングの取り付け箇所はこの円上に配置されており、これがずれてしまったら取り付けることができません。

しかし、シマノのロードバイク用クランクはフロント2速が110mm、3速がインナー74mm、ミドル・アウターが110mmという規格で統一されています。

そのため、ピッチ径が異なる他メーカーの物や、MTB用のクランクで無い限りは、互換性はあります。

また、チェーンライン長は、フレームの中心からチェーンリングまでの距離であり、チェーンの斜め掛けを少なくするために、後輪のスプロケットと同じになるのが好ましいとされています。

これもシマノのロードバイク用は、2速が43mm、3速が45mmに規格が統一されており、シマノ製への交換であれば気にする必要はありません。

一つ一つの要素を見過ごさず順番に考えていく!

今回は、シマノのロードバイク用クランクの規格や構造の違いについてお話ししました。

一見すると種類が多く迷いがちですが、一つ一つの要素を冷静にたどっていくと正解に近づけるはずです。

今回の記事がその手助けになっていれば幸いです。