最初にロードバイクを購入する際は、初心者向けとされるエントリーグレードが多いかと思います。
そうであるならば、ある程度慣れてきますとパーツの交換をしたくなるもので、コンポなどはセット一式で換装することも視野に入るはずです。
シマノのアルテグラなどはその際の候補に挙がるコンポですので、今回検証してみます。
コンポの「グループセット」とはどのパーツを指すのか?
今回はシマノのロードバイク用コンポ「アルテグラ」のお話になりますので、まずはコンポについてご説明します。
コンポは、自転車を前に動かすための機構である「ドライブトレイン」と、ブレーキの総称です。
ドライブトレインは駆動系とも呼ばれ、シフト・ブレーキ一体型レバー、前後のディレイラー(変速機)、クランクセット、BB(ボトムブラケット)、カセットスプロケット、そしてチェーンになります。
これらをまとめて「グループセット」と呼び、シマノにはこのグループにグレードがあります。
完成車にはこれらをセットとして一式導入されていることが多く、完成車の機種名がコンポのグレード名になっているケースなどもあります。
また、修復、カスタム用に単品での販売もしていますので、パーツ単独でも換装することができます。
後述しますが、シマノはコンポに複数のグレードがあり、最上位と最下位にはセットで20万円近い価格の差があります。
価格の差がそのまま性能差とまでは言い切れませんが、こだわるのであれば上位グレードに越したことはありません。
シマノコンポのグループセットのグレード
今回は、「シマノのコンポのアルテグラをセットで導入すのはどうか?」というテーマになりますので、まずはシマノコンポのグレードをご紹介します(上から上位グレードで価格はセット)。
●リア11速
Dura-Ace(デュラエース):約21万円(電動式変速Di2モデル:約30万円)
ULTEGRA(アルテグラ):約10万円(電動式変速Di2モデル:約13万円)
105(イチマルゴ):約6万円
●リア10速
TIAGRA(ティアグラ):約5.5万円
●リア9速
SORA(ソラ):約3万円
●リア8速
CLARIS(クラリス):約2万円
クラリスの下にもいくつかグレードがありますが、完成車にセットで導入されているのを正規グレードとして扱っている風潮がありますので、今回はクラリスまでとさせて頂きます。
セットの価格から明らかなのは、最上位モデルのデュラエースが別格であるということで、シマノがプロ選手を意識して作っているモデルでもあります。
アルテグラはそのプロ仕様のデュラエースを、幅広いユーザー層にアピールするという役目があり、ホビーライダーに向けに作られています。
いわゆる、アルテグラは趣味でロードバイクに乗るライダーにとっては、最高位のコンポという考え方もできるということです。
シマノ・アルテグラとデュラエースセットの価格差と性能差は比例する?
ロードバイクはフレームから自分で完成形に組み上げていく通称「バラ完」も行われますが、販売のシェアは完成車の方が大分上回るかと思います。
そうなりますと、コンポはグループセットで導入されていることが多くなります。
シマノのコンポですとデュラエースは50万円以上、アルテグラは30~50万円、汎用性の高い105で15~30万円の完成車に付属しているイメージです。
先ほどご紹介したセットの価格を考えれば、こういった分布になるのも理解できるのですが、それにしてもデュラエースとアルテグラには大きな差があります。
しかし、これは多くのサイクリストがブログや記事にしていますが、この2つのコンポに価格差ほどの性能差はないと言われています。
筆者も全てのパーツとは言いませんが、そう感じている一人です。
それを裏付けることとして、近年はデュラエースの翌年にアルテグラのモデルチェンジが行われ、確実に同じ技術が導入されます。
また、微妙な味付けの違いがあるため、むしろアルテグラを好んで積極的に使用するプロレーサーもいるほどです。
アルテグラとデュラエースの重量差
前項でお話しした完成車の価格は、差が大きくなるのはコンポだけが要因ではないですが、デュラエース搭載車は他のパーツも最高レベルになってくるので、おのずとアルテグラ以下のコンポ搭載の完成車よりも高額になります。
しかし、セット一式で導入されている関係上デュラエースが価格に与えている影響は大きく、このコストを抑えられれば他にその費用を回すことができます。
具体的にはホイールなど走行性能に関わる部分の強化に当てれば、走破性ではデュラエース搭載の完成車を上回ることも可能です。
また、セット一式の重量ですが、シマノ・アルテグラはデュラエースに比べ約360gほど重くなります。
1分1秒を争うプロの世界での360gは大差と言えますので、実際にプロの使用がデュラエースの方が多いのはこの関係も大いにあります。
しかし、走破性に直接関わるホイールならまだしも、コンポの360gという差はアマチュアライダーにとってはそこまで過敏になる数値ではないかと思います。
したがって、それを見越して、あえてアルテグラにする手も十分にあるということです。
シマノ・アルテグラと105の比較
ここまでは、シマノのコンポの中でアルテグラとデュラエースを比較してきましたが、アルテグラに不利な部分は少ないという結論にさせて頂きます。
そしてここからは、アルテグラとシマノのその他のグレードのコンポには、どういった差があるのかを検証していきます。
2番目の項でお伝えしたグレードの一覧を見返して頂きたいのですが、アルテグラと同じリア11速はデュラエースの他に105が該当しています。
しかもセット価格でアルテグラと約4万円の差がありますので、これは無視できない差です。
デュラエースとアルテグラは同じパッケージの中で開発されているのですが、105は少しコンセプトに違いがあります。
105は初心者のグレードアップには最適と言われ、一段レベルを上げる性能を有しながら、なじみやすいように優しい味付けもされています。
扱いやすいように遊びを持たせて、硬くなりすぎないような仕様が随所に見られますし、操作性やフィット感を大切にしている部分もあります。
その分で少し性能が上位グレードよりも落ちる部分も見られ、用途によってはアルテグラが断然有利なパーツもあります。
別のグループセットの中に単品でアルテグラを導入する手もある
前項でお話ししたシマノ・アルテグラが105に比べ性能で優る部分は、フロント変速の正確さ、快適性が代表的です。
フロント変速に関わるのはフロントディレイラーとクランクセットですが、ディレイラーに関しては105も2018年のモデルチェンジで、レベルアップが著しいと評価されていますので問題ありません。
しかし、クランクセットに関しては、アルテグラとデュラエースにしかない技術の導入が見送られたので、変速性能には依然差があると言われています。
変速はギアの歯車にチェーンがタイムラグなしで収まれば、「カチッカチッ」という正確で快適なギアチェンジになります。
それにはギアが加重に対して変形しないことが重要なのですが、変形しにくい仕様にしているのがアルテグラ、少し物足りないのが105ということになります。
このようなことを考えると、コンポを一式セットで導入するのではなく、適材適所に単品で導入していくという方法も考えてよいかと思います。
基本を105としクランクだけをアルテグラにすれば、費用は105のセット価格にプラス1万円程度で済みます。
両者は同じリア11速のコンポであり互換性が保証されていますから、105のパーツでアルテグラのクランクを動かすことはもちろん可能です。
アルテグラのセット導入は妙味がある!
今回はシマノのロード用コンポアルテグラを、セットで導入するべきか、ということを考えてきました。
本文でもお伝えしましたが、上位のデュラエースとの比較では価格ほどの性能差は感じられないように思います。
そのため、アルテグラのセット導入の選択は、非常にお得に感じます。
また、グレードアップとして単品のパーツも換装することができますので、特にクランクなどはおすすめです。