シマノのロードバイク用コンポは、2016年より型番の頭にロードを表す「R」が付くようになりました。
それに伴いデュラエースが「R9100」、アルテグラが「R8000」、105が「R7000」となり、上位グレードはそろい踏みとなりました。
特に105は2018年にモデルチェンジが行われ、2019モデルの完成車に多く採用されている注目株です。
そこで今回は、R7000となった105と、ワングレード上のアルテグラR8000との比較をしてみます。
シマノのロードバイク用コンポのグレード
まずは、シマノのロードバイク用コンポのグレードをまとめます(上から上位グレードで表記はグレード名・最新型番)。
●リア11速
「デュラエース・R9100」
「アルテグラ・R8000」
「105・R7000」
●リア10速
「ティアグラ・4700」
●リア9速
「ソラ・R3000」
●リア8速
「クラリス・R2000」
冒頭でもお話ししたように、型番にRが付くようになり(ティアグラは2019年予定)、特にアルテグラと105は品番も2000番ジャンプアップしました。
アルテグラが6800→R8000、105が5800→R7000となり、名実ともに最上位のデュラエースを追いかけて行く存在になりました。
シマノのロードバイク用コンポには、ここ10年ほどでモデルチェンジの周期が固まった感があり、4年に1度デュラエースが行い、その翌年にアルテグラ、そしてその翌年に105という流れができています。
そして、この上位グレードの関係性ですが、プロユースのデュラエースの機能や性能を広い層に伝える役目がアルテグラであり、それをもう少しアマチュアユーザー向けにして汎用性を高めたのが105になります。
シマノ・アルテグラ・R8000と105・R7000の比較①価格と重量
今回はシマノ105が2018年にモデルチェンジされ、2019モデルの完成車に多く採用される注目株ということで、一番グレードが近いアルテグラとの比較をします。
比較するのは価格、重量、性能、機能、見た目などで、インプレ情報や一部ですが筆者の使用感なども含めてまとめていきます。
それではまず価格から比較していきますが、今回の一式セットは、デュアルコントロールレバー、クランクセット、前後ディレイラー、スプロケット、BB(ボトムブラケット)、ブレーキ、チェーンとします(本文の価格は全て税込)。
シマノの公式カタログ記載の価格からセット価格を計算しますと、アルテグラ「R8000」が約11.5万円、105「R7000」が7.4万円となります。
また、単品のパーツで見ますと、レバーとクランクには約1万円の差があり、のちほど性能のところでもお話ししますが、変速に関わる部分の差が大きい印象です。
そして、重量ですが、セット一式で約200gアルテグラの方が軽くなります。
コンポの重量は1㎏、2㎏差ならば考えたいところですが、200g程度であれば1分1秒を争うレース以外では、それほど気になる差ではないかと思います。
シマノ・アルテグラ・R8000と105・R7000の比較②機能面
シマノアルテグラ・R8000と105・R7000の比較ですが、続いては機能面についてお伝えします。
まず、アルテグラには電動式変速「Di2」モデルがありますが、105にはありません。
前項でお伝えした価格は機械式変速ですが、Di2はそこからさらに3万円ほど価格が上がりますので、汎用性も大切な要素である105には厳しいところで、R7000へのモデルチェンジでも導入されませんでした。
ただ、機能的な違いはこれくらいなので、アルテグラにできて105にできないということが大分減っており、機能面では価格差ほどの違いは感じません。
あとは、以下のような細かい仕様の違いになります。
アルテグラにはフロントギアに46×36Tという軽いギアがありますが、105にはありません。
しかし、105にはアルテグラにはない、160mmというショートアームのクランクが用意されています。
シマノ・アルテグラ・R8000と105・R7000の比較③性能面「クランク」
続いてのシマノアルテグラ・R8000と105・R7000の比較は、性能面です。
価格の差はほぼこれが全てと言っても過言ではなく、ここがどちらのコンポを選ぶかの最大の理由にもなるかと思います。
性能面ではまず顕著に差が認められているのが、フロント変速です。
主にフロントディレイラーとクランクということになりますが、ディレイラーは105もR7000へのモデルチェンジでアルテグラと同じワイヤーテンションのアジャスター内蔵となり、操作性は向上しています。
しかし、クランクにはまだ差があると言わざるを得ず、特にチェーンリング(フロントギア)の剛性ではアルテグラの方がだいぶ優ります。
デュラエースも含め上位コンポにしかない、アームを中空構造にして剛性を高める、「ホロ―テッククランク」は両コンポとも共通です。
しかし、アルテグラのR8000はチェーンリングも中空構造になっており、さらなる剛性の強化と軽量化が図られています。
重量に関しては40g程度の差(50×34T)なので特筆することではないですが、変速の快適性や正確性はこれによって差がついています。
感覚的なことでしか表現できないのですが、アルテグラが「カチッ」と収まる感じで、105は「カッチャン」と音がするような変速になります。
シマノ・アルテグラ・R8000と105・R7000の比較④性能面「デュアルコントロールレバー」
前項でお伝えしたシマノ・アルテグラ・R8000と105・R7000のフロント変速は、デュアルコントロールレバーの操作性にも関係してきます。
ロードバイクのフロントギアは基本が2速であり、ギアの歯数の差が大きいのが特徴です。
フロントギアは外側に歯数の多い重めのギア、内側に少ない軽めのギアが付く形ですので、より大きな力が掛かるのは内側から外側のギアに持ち上げるアクションになります。
そのため、持ち上げる際はシフトレバーも大きな動作で動かす必要がありますが、アルテグラは105よりも小さいアクションで変速ができます。
これも感覚的なことですが、105は「グィッ」と強めに動かすのに対し、アルテグラは「グッ」と軽めに動かすイメージです。
105はR7000になりシフトレバーが従来よりも大きくなったので操作性はだいぶ向上していますが、レバーアクションはアルテグラの方が小さく、楽に変速ができます。
R8000とR7000に大きな差はあるのか?
シマノアルテグラと105の比較において、以前はかなり差があるという評判も少なくなかったブレーキですが、105がベアリングを2つ使用した新形状になったことにより、だいぶ差が縮まっています。
R7000はアーチを繋いで剛性を高めるブースターがついていない分、細かいスピードコントロールはR8000がやや有利ですが、制動力に関してはほとんど差が無いという評価が多くなりました。
そもそも、ブレーキに関しては105が分岐点と言われており、その下のグレードとは大きな性能差があります。
そのため、申し分ないものがある上に、さらにアルテグラに近づいたということですので、信頼感がますます高くなりました。
さて、ここまでアルテグラ・R8000と105・R7000の比較をしてきましたが、結論は「価格差ほど機能や性能に差がない」ということにさせて頂きます。
電動式変速にしたいということであればアルテグラ一択ですが、機械式変速ならばどちらでも満足度は得られるということですね。
また、お伝えした通り、フロント変速には差があるので、そこの精度を上げたい方はアルテグラがよいかと思います。
しかし、その他の性能に大きな差は感じられないので、ベースを105にしておいてフロントディレイラ―とクランクだけをアルテグラにして、コストを抑える方法もあります。
お互いの優位な部分を考え適材適所で装備させる方法もある
今回は、シマノのアルテグラ・R8000と105・R7000の比較をしてみました。
105がR7000となり、機能や性能でだいぶアルテグラに近づいていると感じました。
しかし、電動変速はアルテグラ(デュラエースと共に)にしかないですし、フロント変速の性能などを考えるとアルテグラに優位な部分もあります。
R7000とR8000には互換性が保証されているパーツが多いので、適材適所と考えてカスタムするのもありです。