メリダ・ライド410の特徴と外れた理由!ライド全体の危機

今回ご紹介するメリダの「ライド410」は、小柄な方に向けて専用設計されたロードバイクであり、日本人向きという評価もありました。

また、ライドは近年レーシングモデルが多くなったメリダの中でも、趣味寄りモデルの位置付けで、大切なポジションを担ってきました。

しかし、ここにきて大幅にラインナップを減らし、ライドのモデルがラインナップからなくなる可能性すらあります。

そこで、今回はライド全体のことについて考察していきます。

メリダ・ライド410の特徴

メリダの「ライド410」は、2016年にラインナップに加わったロードバイクです。

ライドシリーズのアルミフレームではトップモデルであった「400」をベースに、400にはない「39」と「42」というサイズでリリースされました。

特に39サイズは適応身長が145㎝~となっていますので、中学生くらいから乗ることができます。

もちろん見た目はコンパクトですが、これは単にフレームサイズを小さくしただけではありません。

専用のジオメトリを採用しています。

一般のモデルに比べ車高が低いのは当然ですが、トップチューブがそれにしても斜め下向きについていますので、非常に跨りやすいです。

また、小さなサイズで単にリーチ(ハンドル~BBまでの距離)を短くしてしまうと、ハンドルを切った時にシューズの先が前輪に干渉することがあります。

特に坂の下りなどで干渉してしまえば大事故にもなりかねませんので、これは大きな問題です。

その点でライド410は、フロントフォークのオフセット量を増やし、前輪を前に出して干渉しにくい仕様にしています。

このように、細かい部分まで配慮して作り込まれているのが、単なる小さいサイズではないことの証になります。

メリダ・ライド410はハンドル周りに配慮を重ねている

メリダ・ライド410のフレームが専用設計であることは、前項でお伝えした通りですが、付属パーツも身体に合わせコンパクトサイズのものが採用されています。

特にハンドル周りはその傾向が顕著であり、操作性のよいショートリーチのハンドルが採用されています。

また、ステムの突き出しも70mmと短めにしており、腕が短い方でも極端なポジションにならないように設定されています。

ただ、ステムの突き出しが短くなるとハンドルが切れやすくなるので、70mmですとかなりクイックな反応になります。

レースなどで常に高速で走る分には構わないのですが、低速になるとコントロールが難しくなり、慣れていないとふらつくこともあります。

そこでライド410はヘッドチューブの取り付け角度を寝かせ気味にして、先ほどお伝えしたシューズと前輪の干渉を防ぐと共に、ハンドルの切れ過ぎも抑えています。

そのため、低速でも安定感が増し、真っ直ぐ走らせることができます。

メリダ・ライド410は2018モデルをもって廃盤

ここまでお伝えしてきたように、メリダのライド410は一般モデルにはないサイズをカバーし、専用の設計やパーツで小柄な方に不便がないように配慮している優れものです。

ただ、残念なことにライド410は2018モデルをもって廃盤となり、2019モデルにはラインナップされていません。

そして、これは410に限ったことではなく、ライドシリーズ全体の流れでもありますので、ここからお話ししていきます。

ライドは「エンデュランスモデル」というカテゴリーで、「パリ~ルーベ」などが有名な石畳やダートなどの不整地をメインコースとするレース用に開発されたモデルです。

実際にパリ~ルーベやツール・ド・フランスの石畳ステージを走った経験もあり、メリダがスポンサーとなっているチームに重用された時期もありました。

しかし、メリダの他のレーシングモデルの進化が著しく、不整地コースもこなせるような仕様になってきたこともあり、ライドは徐々に隅に追いやられていきます。

メリダ・ライドの隆盛と衰退

メリダのライドシリーズは2016年シーズンにピークを迎え、11機種をラインナップさせており、メリダのロードバイクでは最も機種数の多いシリーズでした。

完成車で100万円を超えるプロチーム仕様のモデルから、10万円を切るエントリーグレード、そしてこのシーズンから加わったディスクブレーキモデルまで、実に多彩な顔ぶれが揃っていました。

小さいモデルも410に加え、ワングレード下になる210も用意されており、とても人気があったと記憶しています。

しかし、ライドの隆盛は長続きはしませんでした。

メリダのように世界のトップチームにバイクを提供しているメーカーは、チームの要望によってもの作りを行う側面があります。

メリダは2017年よりバイクを提供するチームを変更、「バーレーン・メリダ」のメインスポンサーとなります。

そのバーレーン・メリダが2017シーズンで、ライドの採用を見送り、現在の看板である「スクルトゥーラ」と「リアクト」との二大体制で臨むことになったのです。

バーレーン・メリダは2018シーズンもライドは採用せず、完全に二大体制が固まったと思われます。

レースでのチームオーダーは市場に直接反映しますので、ライドはその後ラインナップを減らし続け、ついに2019モデルはわずか1機種になってしまいました。

メリダ・ライド410が属する「エンデュラナスモデル」とは?

先ほども触れましたが、メリダ・ライド410はエンデュランスモデルになります。

レースモデルとお伝えしましたが、石畳などの不整地を走るので、地面からの強烈な突き上げや段差を超える衝撃は凄まじいものがありますので、それに対応するのが最優先です。

そのため、衝撃吸収性を重視して所どころに曲げ加工を施し、チューブを薄く偏平させてしなりを与え、バネのような役割を持たせます。

また、サドルよりも後方の部分を大きめにすることで、衝撃吸収性を高めています。

そして、不整地では車体を安定させる必要があります。

そこで、重心が低めの設定となっており、ハンドルを高めに付く仕様にしているため、上体を起こし気味にして乗ることができます。

このような仕様のため、元はレース用に開発されていますが、ツーリングなどのロングライド向きともされており、趣味寄りの要素もあるモデルです。

ライドの特徴も兼ね備えたモデルがある!

メリダ・ライドの縮小はチームオーダーによるところが大きいのは間違いないですが、ライドの特徴も兼ね備えたモデルが他にあるというのもその要因の一つかと思います。

例えば、スクルトゥーラやリアクトは、チームに供給されているモデルとそれ以外で、素材の質もフレームジオメトリも味付けを変えています。

簡単に言えばチームモデル以外は、乗りやすさや扱いやすさも加味しているということになり、特に衝撃吸収性はどのモデルでもライド並みの方策が取られています。

そのため、どのモデルも長い時間乗っても身体に大きなダメージが起こるようなことはありません。

また、スクルトゥーラには「410」もありますし、同じコンセプトのカーボンフレーム「4100」も用意されていますので、小柄な方への対応も止めてしまったわけではありません。

そして、不整地向きのモデルとしても、上体を起こして乗れる形状で、ブロックパターンの付いた太いタイヤを履いたグラベルロード「サイレックス」。

さらに、ダートの周回コースを走る競技であるシクロクロス用バイク「MISSION CX」も、競技以外に広く使うことができます。

この二つの機種はライドの特徴にも当てはまるところもあります。

そのため、残り1機種のライドもラインナップから外れる危機もあると考えています。

廃盤は悔やまれるが代替えモデルはある!

今回はメリダのライド・410についてお話ししました。

小柄な方向けの専用設計で、しかもエンデュランスモデルという貴重なポジションを担っていただけに廃盤が惜しまれます。

その代わりといっては何ですが、「サイレックス」やMISSION CX」にも目を向けて頂きたいと思います。