自転車は種類によってサイズの基準が違います。
その中でも大まかに分けますと、ママチャリはタイヤ(ホイール)の大きさで、スポーツバイクはフレームの大きさです。
特にロードバイクはピナレロのように1~2cm刻みで細分化されているメーカーもあり、いかにサイズが大切かという証にもなっています。
そこで今回は、ロードバイクのサイズ選びについて考えてみましょう。
フレームサイズはジオメトリ表で確認する
ロードバイクのサイズは洋服のようにS・M・Lで表されていることもあれば、数字でミリ、インチの単位で表されていることもあります。
そして、それはどこを示しているかというと、クランクとフレームを繋ぐ役目の「BB(ボトムブラケット)」の中心軸から、サドルの下にあるシートチューブの上端までの長さであり、それをフレームサイズとしています。
なお、ピナレロは少し独特で、BBの中心軸からシートチューブがフレーム上端のトップチューブと交わる場所までの長さとしています。
詳しい理由は分かりませんが、正直ここはあまり大切な部分では無いので、スルーして構わないかと思います。
自転車は一体型成形が主流とはいえ、1本1本のチューブの集まりなので、そのチューブの長さがサイズに大きく関わります。
そのチューブの長さを示しているのが「ジオメトリ表」というもので、自転車の設計図と考えてもらえば分かりやすいかと思います。
このジオメトリ表を見ておおまかなサイズ感をつかみ、実際にお店に行ってフィッテイング(サイズ合わせ)をしてから購入するという流れになります。
適応身長をフレームサイズ選びの目安とする
前項の最後に触れたジオメトリ表を参考に、フレームサイズに合わせた「適応身長」を出しているメーカーもあります。
あくまでもその身長の平均的な体型を基に考えられていることなので、万人に当てはまるものではないですが、おおまかな目安としては参考になります。
フィッティングをしてくれるショップでも、最初に身長を測ってから始まるので、やはり目安にはなります。
しかし、ピナレロは適応身長を明示しておらず、サイズ選びには別のアプローチ方法が必要になりますので、これからそれをお話ししていきます。
適応身長を明示していないメーカー(ブランド)はピナレロ以外にもありますので、これからお話しする方法が参考になるかと思います。
簡単に言いますと、適応身長を明示しているメーカーのジオメトリ表と、今回で言えばピナレロのジオメトリ表を見比べて、自分に合うサイズを探し出すという作業です。
そして、ジオメトリ表は隅から隅まで確認する必要はなく、ある部分をピンポイントで見れば適正サイズが見えてきます。
ピナレロのフレームサイズでまず注目する部分は?
前項からの続きになりますが、ピナレロのロードバイクのジオメトリ表でまず注目して頂きたいのは、トップチューブ長です。
フレームの上端の横に伸びるチューブで、「ホリゾンタル換算」という注釈が付くこともあります。
トップチューブ長は簡単に言いますと、ハンドルとサドルの距離を表す指標です。
ただ、チューブが地面に対して水平で真っ直ぐに伸びていればチューブの長さ=距離となりますが、今は多くのバイクが「スローピングスタイル」で、トップチューブがサドルに向かって斜めに下がっています。
そのため、スローピングではチューブの長さを測ってもハンドルとサドルの正確な距離は出ませんので、トップチューブが真っ直ぐに付いていたと仮定するのが、「ホリゾンタル換算」です。
ハンドルとサドルの距離は短くなると上体が起き、遠くなると前傾になるように、乗車姿勢に大きく関係します。
ロードバイクは長い距離を走りますから、乗車姿勢はとても重要で、前傾が深すぎると無理な体勢になりますし、反対に上体が起き過ぎてしまうとスピードの維持が難しくなり、かえって疲れてしまいます。
そのため、自分に合った適性のポジションで乗るためにも、フレームサイズでは、トップチューブ長(ホリゾンタル換算)がとても重要になります。
アンカーの適応身長を参考にピナレロのフレームサイズを割り出す
ここからは、実際に適応身長が示されているメーカー(ブランド)のジオメトリ表と、ピナレロのジオメトリ表を照らし合わせてみましょう。
この記事は日本人の方が多くご覧になっていると思いますので、日本のブランドで、日本人のためにもの作りをしている、「ブリヂストン・アンカー」のジオメトリ表を参考にします。
なお、コンセプトが似ている車種ですとより参考にしやすいので、レースモデルからアンカーは「RS8」、ピナレロは「RAZHA(ラザ)」を題材とし、バイクを選ぶ人の身長を170㎝と仮定して話を進めます。
まずアンカーRS8のジオメトリ表から、身長170㎝に該当するフレームサイズを確認しますと、460サイズが適応します。
そして、RS8の460サイズのホリゾンタルトップチューブ長は、520㎜になります。
これをピナレロのラザのジオメトリに当てはめてみますと、ジャスト520㎜はありませんが、近似値で465サイズが515㎜、500サイズが525㎜になります。
昔からロードバイクのサイズ選びは、「小は大を兼ねる」という、ことわざとは反対の格言がありますので、この場合は465サイズを選ぶのがよいとされます。
しかし、これは個人の手足の長さ、身体の柔軟性などによっても違いますので、どちらも視野に入れておく方が賢明です。
フレームサイズをより理想に近づけるために見るべきジオメトリ表の数値
トップチューブの長さである程度のサイズ感はつかめますが、それだけでは間違いが起きる可能性もあります。
ジオメトリ表の中には、トップチューブ長の中でも、BB(ボトムブラケット)の中心を上に伸ばした部分までの距離を表した「リーチ」というものがあります。
リーチがトップチューブ比で長いとハンドルまでの距離が遠くなり、短いとハンドルまでが近くなります。
その理論を念頭に先述したピナレロ・ラザのジオメトリ表をもう一度見てみます。
身長170㎝に適応するフレームサイズは465か500、465サイズのトップチューブは515㎜、500サイズは525㎜でした。
それに対しリーチは、465サイズが367㎜、500サイズが372㎜になります。
465サイズと500サイズは、トップチューブは10㎜違いますが、リーチは5㎜しか変わりません。
したがって、上記の理論からすると、465サイズの方がトップチューブ比ではリーチが長いことになりますので、ハンドルまでの距離が遠く感じられるはずです。
また、465サイズの方が車高が低い分、ハンドルも低く設定できるので、セッティング次第ではサドルとの高低差が大きくなり、余計にハンドルが遠く感じられるようになります。
このように、フレームサイズが小さい方が、実は大きく感じられることもありますので、リーチもジオメトリを見る上では非常に重要になります。
ピナレロのロードバイクはフレームサイズが豊富
ここまで、フレームサイズの決め方を確認してきましたが、ピナレロはヨーロッパのメーカーの中では小さい方のサイズが充実しています。
ここまで例として挙げてきたラザは、465サイズが適応身長170㎝としましたが、さらに440、425と下にもう2サイズ用意されています。
特に425サイズはトップチューブが500㎜、アンカーRS8のジオメトリに照らし合わせますと適応身長は150㎝以下となります。
さらに425サイズは、「EZ-fit」という名称で、女性向きという位置付けになっており、小柄な女性でも扱いやすい設定になっています。
そして、ラザはミドルレンジからも、トップチューブ長で5~10㎜刻みでサイズが設定されており、合計11のフレームサイズがあります。
これはラザに限ったことではなく、ピナレロは多くのモデルがサイズを豊富に取り揃えているので、より細かなフィッティングが可能です。
ピナレロはサイズが細分化されているので合わせやすいはず
今回は、ピナレロのロードバイクのフレームサイズの選び方についてお話ししました。
本編でお話ししたアプローチから目途を付けて頂き、購入時はお店でフィッティングしてもらいながら最適なサイズを探していきます。
また、ピナレロはサイズが豊富で、小さいサイズにも配慮されていますので、小柄な方や女性もあきらめる必要はありません。