今回は、アンカーのクロモリロード「RNC3 EQUIPE」についてお話しします。
ロードバイクのフレーム素材としてはかなりレアな存在になっているクロモリですが、アンカーは昔からのこだわりを今も捨てず、ラインナップに残し続けています。
RNC3でもEQUIPE以外にも完成車がありますし、RNCシリーズには上位グレードも存在します。
今回はRNC3 EQUIPEをご紹介しながら、アンカーのクロモリロード全体についても確認していきます。
クロモリはなぜロードバイクの主流から外れたのか?
ロードバイクは昔から、いかにして車体を軽くするかというテーマに向き合ってきました。
その中でフレームに使用される素材は変遷をたどっていきます。
クロモリは、カーボンはおろかアルミをフレームの素材にするという発想がまだ無かった時代に、最初に主流になりました。
今ほど機材に多くのコストが掛けられない時代に世界を転戦するロードレースでは、耐久性が高く頑丈なクロモリが重用されました。
しかし、アルミが素材として使用され始めると、鉄がベースであるクロモリは重量面で太刀打ちできず脇役に転じていきます。
そして、カーボンが主流になった現在は、扱うメーカーも限られるほどレアな存在になってしまっています。
ただ、取扱いメーカーが存在するということは、需要があるからに他なりません。
特に老舗メーカー(ブランド)の多いヨーロッパでは根強く人気がありますし、日本ブランドも今回の主役である「RNC3 EQUIPE」を製造するブリヂストン・アンカーを始め、パナソニックやアラヤ・ラレーなどもクロモリロードが充実しています。
アンカー・RNC3 EQUIPEは20年、30年と継続使用も可能
クロモリロードがロードレースに使用されなくなったのは重量面が大きいわけですが、商売を考えた場合には回転率の悪さも見逃せません。
クロモリは鉄に複数の元素を化合した合金で、ステンレスなどと同じく強度のある鋼の一種です。
クロモリは腐食(さび)耐性が低いのでさび付きには注意が必要ですが、元が鉄なので衝撃に強く、割れたり破断することはまずありませんので、適度なメンテナンスをしていれば、20年、30年と乗り続けられます。
これがクロモリの最大のセールスポイントですが、メーカー側としては1台に20年、30年と乗り続けられては、耐久性をアピールすることはできますが、商業面では厳しいと言わざるを得ません。
まして、カーボン全盛の今、クロモリに新規の顧客獲得は難しいので、取り扱うメーカーが少ないのも致し方ありません。
しかし、アンカーは25年も前に確立した製法で、今もクロモリロードを製造しています。
次項ではその代表的な一台である、「RNC3 EQUIPE」も含め、アンカーのクロモリロードをご紹介します。
アンカーのクロモリロード
アンカーのクロモリロードには、「RNC7」と「RNC3」があります。
両者には製造方法に違いがあり、より複雑で綿密な技術が投入されている「RNC7」の方が上位グレードになります。
また、アンカーの完成車は、付属するシマノ製コンポのグレードによって機種名が分類されています。
一覧は下記の通りです。(「機種名」・付属コンポ)
「製品名なし」・デュラエース
「ELITE」・アルテグラ
「EQUIPE」・105
「SPORT」・ティアグラ
「EX」・ソラ
中でもクロモリロードは、RNC7はEQUIPEのみ、RNC3にはEQUIPEとEXが用意されています。
したがって、RNC3 EQUIPEは、下位グレードでシマノ・105がメインコンポの完成車ということになります。
そして、ここではアンカーのクロモリロードの価格も一覧でまとめておきます。(価格は税込み)
【RNC3】
●フレームセット(フレーム+フロントフォーク)
参考価格:¥102,600
●完成車
【EQUIPE】
参考価格:¥210,600
【EX】
参考価格:¥151,200
【RNC7】
●フレームセット
参考価格:¥183,600
●完成車
【EQUIPE】
参考価格:¥280,800
アンカー・RNC3 EQUIPEを支えるのは「ネオコット」
前項でお伝えしたアンカーのクロモリロードですが、ここからはRNC3とRNC7の比較をしていきます。
先ほども少し触れましたが、両者は製造方法が異なり、それによって重量と乗り心地に違いがあります。
アンカーのクロモリフレームの成形技術は、「ネオコット(新形状最適化理論)」が基礎となっています。
約25年前、自転車のフレームに使用されるチューブが丸形中心だった時代に、その弱点をあぶり出し、丸形にこだわらない自由な成形を実現させたのがネオコットです。
チューブの断面を四角形や六角形に成形するのも、1本のチューブ内で厚みを変えていく「バデッド」の技術も、今でこそ多くのメーカーが行っていますが、25年も前に実現しているのがアンカーの凄いところです。
特にバテッドの厚みの違いは最大0.5㎜と言われており、世界でも類を見ない大胆な成形になっています。
そして、このネオコットの技術の全てを注ぎ込んでいるのが「RNC7」、一方従来型の製造方法なども取り入れ、複雑な工程を省き、コストに配慮したのが「RNC3」です。
両者の完成車には共に105を搭載したEQUIPEがありますが、105レベルのコンポを入れるのであれば、RNC7の方がふさわしいと個人的には思います。
「RNC7 EQUIPE」におすすめの用途
前項では、アンカーのクロモリ成形技術「ネオコット」をご紹介しました。
RNC3とRNC7は技術の投入の仕方に違いがあるわけですが、決定的な違いは溶接方法です。
RNC7はチューブの端をラッパ状に広げて、チューブ自体をラグ(継手)に見立てて繫ぎ合わせています。
そのことで溶接部分に強度が出ますし、ラグが必要無く、接着剤である「ロウ」も最低限で済みますので軽量化も図れます。
クロモリは素材の特性がしなやかで衝撃吸収性にすぐれていますが、たわみがあるので応力をロスするというデメリットもあります。
応力は溶接部分に強く掛かりますので、ここが強化されているRNC7はたわみが抑えられ、パワーロスを最低限にできる効果があります。
また、たわみが少ない分、金属フレームらしい小気味よい反応があり、シャキッとした乗り心地にもなっています。
そのため、レースも視野に入れられるフレームであり、EQUIPEのコンポ105もレース想定ですから、レース目的なら「RNC7 EQUIPE」がおすすめになります。
RNC3 EQUIPEはおすすめできるか?
一方、アンカー・RNC3は従来型の「TIG溶接」で、チューブの端を溶かして接着します。
チューブを変形させる面積が少ない分痛めないで済みますが、溶接痕が残りますし、チューブを肉厚にしておく必要があるので重量が嵩みます。
また、ネオコットの溶接に比べると強度が低いので、たわみが大きくなります。
前項でも触れましたが、たわみはパワーロスに繋がりますので、少なくともレースへの適性はRNC7のほうが上です。
ここからは筆者の独自目線になってしまいますが、レースへの適性が低いのであれば、レース用コンポの105を搭載したEQUIPEは、オーバースペックである懸念があります。
先ほど完成車の価格をご紹介しましたが、RNC3のEQUIPEとEXには6万円以上の差があります。
もしEQUIPEを購入できるほどの予算を考えているのであれば、EXにしておき、その差額で自分の用途に合わせてカスタムする、また、装備品を揃えるのが、筆者個人のおすすめになります。
クロモリロードは長いお付き合いを前提に考える
今回は、アンカーのクロモリロードについてお話ししました。
レースも視野に入れるのであれば、「RNC7 EQUIPE」、趣味や普段使いがメインなら「RNC3 EX」がおすすめという結論にさせて頂きました。
クロモリは耐久性に優れており、長いお付き合いになる可能性が高いので、慎重に検討した方がよいでしょう。