秋の時期ともなると、各メーカー、ブランドの2019モデルが出揃い、そろそろ店頭にも並び始めています。
そうなりますと気になるのは、ニューモデルの存在や2018モデルとの違いということになるかと思います。
そこで今回はピナレロについて、2018と2019モデルの比較をしていきます。
ピナレロ2019モデルの2018モデルからの変更点
まずピナレロの2018モデルから2019モデルへの、大きな変更点は以下の通りです。
●PRINCE(プリンス)が大幅モデルチェンジを果たし、DOGMA(ドグマ)に次ぐセカンドグレードへ
●DOGUMA F8、K8が廃盤となり、セカンドグレードのGAN(ガン)も大幅縮小
●アルミロードNEOR(ネオール)廃盤で、20年続いた「カーボンバック」が終了
●アルミロードPRIMA(プリマ)が大幅プライスダウン
何と言っても最大のトピックスは、プリンスのフルモデルチェンジです。
詳細は後述しますが、初代がラインナップされてからちょうど20年の節目の年に、自身5度目となるモデルチェンジが行われました。
全体的にもそうですが、ドグマのセカンドグレードとしての役割もある、非常に重要な位置付けとなります。
そして、ドグマはF10、K10に一本化、F8、K8が退き、セカンドグレードのガンもプリンスにその座を明け渡します。
そして、アルミフレームにも大きな変化がありますが、これものちほど詳しくご説明します。
ピナレロ2019モデル最大のトピックス!
それでは前項でピックアップをしました、2018モデルからの変更点を詳しく確認していきましょう。
まずはプリンスのモデルチェンジからですが、発表会のレポートをしていたサイクルマスコミの記事に「完全復活」という言葉があったように、歴史を作ってきたモデルの新しい姿に大きな反響があります。
今回が5代目となりますが、3代目までは新しい技術やコンセプトは全てプリンスから始まると言っても過言ではないほど、革新の象徴のような存在でした。
しかし、4代目は上位グレードの金型をそのまま使ったモデルであったため、目新しさは全くなく、辛らつな表現ですが「ただ名前を借りただけ」という評価もありました。
しかし、2019モデルはドグマの意思や技術は盛り込まれていますが、専用の金型を使い、独自の技術で空力性能を高めたモデルですから、2019年時点ではピナレロで最新鋭のバイクになりました。
また、「あらゆるライダーに最高の乗り味とハンドリングを提供する」というコンセプトを掲げ、ドグマの持つピーキーさを抑え、難しすぎない汎用性の高さもあります。
2019モデルはドグマに準ずるハイグレードモデルとなる「PRINCE FX」と、標準弾性のカーボンを使用した「PRINCE」の2グレードでの展開になります。
2018年までピナレロを支えたモデルも市場を去る!
続いてのピナレロの2018モデルからの変更点は、ドグマの一本化とそれに伴うガンの縮小です。
ドグマF10は一般市場では2018年がデビュー年度になりますが、2017年のツール・ド・フランスで先行投入され、クリス・フルームの個人総合3連覇に貢献しました。
そのため、2018モデルから一本化でも良かったかと思いますが、F8を残してより差別化させたものと見られます。
そして、2019モデルからはF10に一本化されることになり、F8は廃盤に、F8のセカンドグレードとして大変人気のあったガンも大幅縮小になります。
ガンは前項でお話ししたプリンスと同じ役目を担い2016モデルからラインナップされ、グレードを問わずまんべんなく高い支持を受けていました。
2018モデルで上位グレードの「RS」、ミドルグレードの「S」、ディスクブレーキ搭載の「DISK」が廃盤となり、2019モデルはノーマルグレードの「GAN」のみが継続となります。
ノーマルグレードはシマノ・105搭載車なら、表示価格(税抜)で30万円を切っていますので、エアロロードのエントリーグレードという位置付けになります。
エントリーとはいえツールを制したドグマの直系ですし、105ならレースも視野に入れられるコンポなので、モデルは減りましたが引き続き注目したい機種です。
2018年はピナレロの象徴「カーボンバック」の最終年になるのか?
ピナレロの2019モデルでは、アルミフレームにも2018に比べ大きな変化が見られます。
ピナレロが世界で初めて投入した、アルミフレームのシートステイにカーボンを使用したカーボンバック車「ネオール」が、2019モデルにはラインナップされていません。
1998年(モデルイヤーは1999から)初代プリンスに投入されてから、ちょうど20年でその使命を終えることになります。
むしろフルカーボン全盛時代になってかなりの年月が経った中、これまでカーボンバックが残っていたことの方が驚きとは言えます。
ネオールはシマノ・ティアグラ搭載で20万円を超えるという、アルミフレームとしては他に類を見ない価格設定でした。
衝撃吸収性を大きく左右するシートステイにカーボンを使用するということで、普通のアルミよりも乗り心地が良いのは事実です。
しかし、既に他メーカーでは20万円前後でフルカーボンも登場している時代なので、太刀打ちできなくなったということになるでしょう。
2019モデルで大幅プライスダウンとなる「プリマ」
アルミフレーム車ですが、前項でお伝えしましたように2018モデルをもってネオールが廃盤となりますので、2019モデルではプリマのみとなります。
長らくカーボンバックを主体としてきたピナレロが、2015モデルで久々にフルアルミ(フロントフォークはカーボン)を投入、それがプリマです。
昔ながらのホリゾンタルスタイルにピナレロの象徴である「ONDA」フォークの組み合わせが、どこかクラシカルで高級感のあるアルミロードです。
そのプリマが2019モデルで2万円以上のプライスダウンとなります。
フレームの素材や、コンポ、ホイールなども2018モデルからの仕様変更は発表されておらず、単純なプライスダウンと考えてよさそうです。
他メーカーのシマノ・ソラ搭載の完成車と比較するとまだ少し割高感がありますが、ピナレロ内では群を抜いて低価格になりましたので、「最初の一台からピナレロに乗りたい」というユーザーさんの願いをかなえてくれるモデルです。
エアロロードへの特化に一石を投じるモデル
ここまでピナレロの2019モデルについて、2018モデルから大きく変わる部分をご紹介してきました。
プリンスがドグマを継承する位置付けになったことと、新しいモデルが無かったことで、ラインナップの大半がエアロロードになったのも大きなトピックスと言えます。
これはピナレロがプロレースにおいて、オールラウンドとエアロロードを使い分けず、ドグマ一本で勝負しているため、市場モデルのラインナップにもそれが反映されているということです。
平坦はもちろんですが、山も石畳もエアロ形状のバイクでこなしてみせるという、ピナレロの意地や誇りを感じますし、実際にレースで結果を出しているので、ケチの付けようはありません。
しかし、エアロロードはデザインで好き嫌いがはっきりする傾向にあり、特にピナレロはピナレロにしかないデザインを継承してきた伝統がありますので、余計にそれを好む風潮も強いです。
そのため、筆者もそうですが、多くの記事やブログが「RAZHA(ラザ)」という機種に注目しています。
現在のモデルとは明らかに一線を画すデザインで、2000年代初めから続く伝統様式を継承したモデルです。
レースから通勤などの普段使いまで、幅広い用途への使用が報告されており、ピナレロのカーボン車としては、26万円前後という価格に抑えられている点も高く評価されています。
ピナレロはどこまで進化する?
今回はピナレロの2019モデルを、2018モデルとの比較をしながらご紹介しました。
プリンスの完全復活という朗報から、カーボンバックの終焉という少々残念な部分まで、相変わらず話題に事欠かないというイメージです。
ドグマがどこまで進化するのかも興味深いですし、これからも目が離せないブランドであることは間違いありません。