メリダのロードバイクは流通量が多く、近年はロードレースにも力を入れていることから、ラインナップ数が非常に多くなっています。
そのため、「どの機種にしたらよいのか?」という質問を、インプレ情報などでよく目にしますし、筆者が聞かれることもあります。
今回は、メリダを代表する売れ筋モデル「スクルトゥーラ4000」をご紹介しますので、そこから全体像も掴んで頂ければ幸いです。
メリダ・スクルトゥーラ4000が「ライド」のお株を奪った?
メリダのロードバイクはエアロロードの「リアクト」と、総合レーシングバイクの「スクルトゥーラ」が中心になります。
ここ数年で特にこの2機種に特化させてきた経緯があり、2016年モデルで11機種ラインナップされていた「ライド」が、最新2019モデルではわずか1機種になりました。
メリダは、世界最高峰のワールドチームの1つ「バーレーン・メリダ」に機材を提供しています。
そのバーレーン・メリダが採用しているのがリアクトとスクルトゥーラで、ライドはチーム発足の初シーズンに採用が見送られました。
それを機に一気に車種が減ってしまいました。
これは決して珍しいことでは無く、プロチームに機材を提供するメーカーはチームオーダーを重視しますので、それが一般市場のラインナップにも顕著に表れます。
インプレ情報ではライドの激減を惜しむ声も多く、筆者もその一人ですが、メリダのようなレーシングメーカーでは、これも致し方のないことです。
そして、ライドの衰退には、スクルトゥーラ4000を始めとする、低価格帯のカーボンフレーム車も無関係ではありません。
メリダがスクルトゥーラとリアクトの二枚看板になった理由
メリダ・ライドの衰退のお話をしましたが、ライドはロングライド向きの「エンデュランスモデル」です。
ロングライド向きとはいえ、ライドはレースモデルとして開発されており、メリダが以前に機材を提供していた「ランプレ・メリダ」では、実戦に投入されていました。
ライドは石畳や悪路をメインコースとするレース用のバイクであり、衝撃吸収性が高く、アップライドな乗車姿勢で、悪路でも車体が安定するような仕様になっています。
また、こういった仕様になっていると、長距離を疲れなく、快適に走れます。
そのため、インプレなどの評価も影響し、いつしかエンデュランスモデルは、ツーリングや通勤など、ロングライド志向の強いユーザーに受けるようになりました。
しかし、今のバーレーン・メリダは石畳や悪路レースでも、リアクトやスクルトゥーラで戦います。
それに伴って、リアクトやスクルトゥーラにも、衝撃吸収性や安定感を重視する動きがあります。
まして、プロ仕様よりも柔らかめでしなやかなカーボン素材を使用しているスクルトゥーラ4000ともなれば、ますますそういった要素が強くなります。
いわゆる、ライドが担っていたポジションは、プロ仕様でも、一般ユーザー向けにも、スクルトゥーラやリアクトがカバーできるようになったのです。
そのため、ライドは衰退し、スクルトゥーラとリアクトの二大看板になったわけです。
インプレ評価に見るメリダ・スクルトゥーラ4000のフレーム
ここまではメリダのロードバイクの近況をお話ししましたので、ここからはスクルトゥーラ4000をご紹介していきます。
メリダのロードバイクは、チームが使用する「TEAM」モデル以外は、品番でグレード分けがされています。
品番は4ケタがカーボンフレーム、3ケタ(一部2ケタ)がアルミフレームで、数字が大きいほどグレードが高くなります。
メリダのカーボンフレームには2つの素材があり、チーム仕様から品番6000番台までが「CF4」、5000と4000が「CF2」となっています。
メリダはカーボン素材について詳細を明かしていませんが、インプレ情報の乗り味の評価を見ていると、CF4は高弾性で硬め、CF2はしなやかで柔らかめなフレームと推測できます。
高弾性で硬めのフレームは、作業工程が複雑で綿密なことに加え、軽量になりますので、高価格の上位グレードに多くなります。
ただし、CF4のようなフレームは、高弾性で硬すぎて一般ユーザーの脚力にそぐわない可能性もあるので、メーカー側は大体CF2のようなしなやかなフレームのモデルも用意します。
それがスクルトゥーラであれば4000と5000で、特に付属パーツが必要十分と判断されている4000が人気モデルになっています。
メリダ・スクルトゥーラ4000のインプレ評価はイメージを覆している
メリダ・スクルトゥーラ4000は、しなやかで柔らかめの素材を使用したフレームとお伝えしました。
しなやかなフレームは地面からの突き上げをいなし、衝撃を吸収しやすいので、乗り心地がマイルドで、身体に受けるダメージが少なく済みます。
しかし、フレームの吸収性が高いので、ペダルを漕ぐ力も吸収されてしまい、パワーロスになるという欠点もあります。
そのため、プロはハードな乗り心地でもパワーロスをしない高弾性で硬めのフレームでなければならないのです。
それでも、スクルトゥーラはバリバリ現役のレースモデルであり、4000もジオメトリ(形状)はプロモデル譲りですから、多少のパワーロスはありますが、加速力や巡航性が大きく劣ることはありません。
近年スクルトゥーラ4000は、マイルドな乗り心地など優しい味付けがクローズアップされるので、イメージがそちらに向いています。
しかし、実際に乗ってみるとしっかりした踏み心地で加速力もありますので、インプレ情報でも「イメージと違いレーシー」などという報告も目立ちます。
メリダ・スクルトゥーラ4000は坂に強いというインプレ評価が多い
メリダ・スクルトゥーラ4000のインプレ情報では、上り坂での走りに高評価が集まっています。
上位モデルに比べ軽量ではないものの、しなやかなでパワーを溜めてくれるので、勾配がきつくなってももっさりせずに、スイスイとこなしていく感覚です。
また、ヘッド周りが大口径でねじれが少なくハンドリングが安定するので、ダンシング(立ち漕ぎ)がしやすいのも上り坂には有利です。
また、下りでは、上位モデルは軽い上に反応が良すぎて、車体が前に吹っ飛んでいってしまうような感覚があります。
しかし、4000は下りでも安定感があり、車体の操作がしやすいので、怖さはなく快適に下れます。
筆者も試乗会に参加した際、とにかくコースが坂道の連続でしたが、どこを走っても進みがよく、約1時間30分前後だったと思いますが、あっという間という印象でした。
そして、1時間30分走ってあっという間という感覚は、ロングライドに適性があると言い替えても良いでしょう。
メリダ・スクルトゥーラ4000には付加価値が多い!
メリダのスクルトゥーラは先述通り、ワールドチーム「バーレーン・メリダ」が使用する機体です。
そして、スクルトゥーラ4000には、バーレーン・メリダ仕様と同じボディカラーが採用されています。
いわゆる、ツール・ド・フランスを走った機体と、見た目に同じのモデルに乗れるということです。
さらに、バーレーン・メリダには数少ない日本人ワールドチームレーサーである、「新城幸也」選手が所属しています。
こういった付加価値は、ワールドチームに機材を提供しているメーカーならではのことであり、レースを中心に回っているロードバイク界では、想像以上に大きいことです。
また、これもインプレ情報で多く報告されていますが、メインコンポがシマノ・105であるという点も、スクルトゥーラ4000の人気を支えている要因の一つでしょう。
性能と価格のバランスはシマノのコンポでも図抜けており、特にスクルトゥーラ4000のような低価格帯のモデルにとって、これほどありがたいコンポもありません。
2019年モデルは新しくなった「R7000」が搭載されますので、ますます性能がアップしています。
非常にバランスに優れている
今回は、メリダのスクルトゥーラ4000をご紹介しました。
優しめの味付けもされていますが、本領であるレースモデルとしての軽快さやスピード感は失っておらず、バランスよく仕上がっています。
また、ボディカラーやコンポにも付加価値があるので、おすすめしたいモデルです。