ピナレロのドグマK10は、荒れた路面などを最速で走るための、エンデュランス向けのレースバイクです。
ピナレロが機材サポートを担うチームスカイは、このピナレロのドグマK10を、パリ~ルーべや、2018年のツール・ド・フランス第9ステージなど、石畳のレースで使用しています。
この記事では、そのチームスカイが使用したドグマK10の詳細について迫っていきます。
SKY軍が駆ったピナレロの「ドグマK10」ってどんなバイク?
ドグマK10は、ピナレロ社のエンデュランス向けのレースバイクです。
このピナレロのドグマK10は、主にパリ~ルーべなどの石畳や荒れた路面でのレースでの勝利を目指して開発されました。
このロードバイクは、ドグマF10をベースに、ジオメトリーやフレーム形状やカーボン素材を、荒れた路面にも対応できるように変更を加えたものです。
特に、チェーンステーなどのリア三角は、衝撃の吸収に重要な役割を持つため、ドグマF10とは全く異なった形状をしています。
また、荒れた路面の走行時に太いタイヤを使用できるようにタイヤのクリアランスを大きめに取ってあり、28Cまでのタイヤに対応ができます。
これらの工夫により、ドグマF10譲りの走行性能を持ちつつ、荒れた路面を高速で走れるようになっています。
さらに、ドグマK10は、シートチューブとシートステーの接合部に、独自に開発したマイクロサスペンションを搭載しています。
なお、このサスペンションは、市販品ではドグマK10-S DISKのみに搭載されています。
質実剛健!SKY軍のピナレロのドグマK10のコンポーネント!
それでは、チームスカイがレースで使用したピナレロのドグマK10の詳細を見ていきましょう。
最初に、コンポーネントに注目します。
使用するコンポーネントは、機材のサポートを受けるシマノのデュラエース9100系のDI2です。
ハンドルのステム両脇には、サテライトスイッチが設置されており、上ハンドルを握ったまま素早くシフトが可能です。
コンポーネントには、ビッグプーリーなどのサードパーティー製のパーツは使用されておらず、信頼性に重きを置くことが分かります。
ブレーキは、チームのメンバー全員が、ディスクブレーキではなくリムブレーキを使用しています。
しかし、荒れた路面でのレースではリムブレーキよりもディスクブレーキが有利なはずですが、この選択にはどのような意味があるのでしょうか。
それは、ディスクブレーキにより荒れた路面での安定した制動力を得られるメリットよりも、パンク修理の際にホイール交換にかかる時間というデメリットが大きいからだと考えられます。
C24でもC60でもない!石畳は万能ホイールC40で勝負!
続いては、チームスカイが使用したピナレロのドグマK10に搭載された、ホイールを見てみます。
チームスカイは、シマノの機材サポートを受けますので、ホイールも当然シマノです。
そのドグマK10に使用するホイールのモデルは、WH-R9100-C40です。
WH-R9100-C40は、平坦ステージも山岳ステージもこなせる万能ホイールとして位置付けられています。
本来であれば、ドグマK10を使用するような石畳は、平坦ステージに登場するため、エアロ効果を重視しリムハイトの高いWH-R9100-C60をセットしてもよさそうです。
しかし、WH-R9100-C60は、リムハイトの高さにより剛性が増すため、石畳のような振動が激しい場面では、その振動が減退することなく伝わってしまいます。
逆に、振動を減退させられるようにリムハイトが低くて剛性の低い、WH-R9100-C24を使用すればよいのかと問われれば、プロ選手にはそれは剛性が低すぎてパワーがロスしてしまいます。
その2つの折衷案として、万能ホイールのWH-R9100-C40が選ばれたと考えられます。
自腹のタイヤ?チームスカイのドグマK10に使用されたタイヤとは?
ホイールからの流れで、チームスカイで使用されたピナレロのドグマK10のタイヤに注目します。
チームスカイはコンチネンタル社のサポートを受けるため、普段のステージでは、チームスカイがピナレロのドグマF10などに使用するタイヤは、コンチネンタルのチューブラータイヤです。
しかし、ドグマK10には、FMBのParis-Roubaixが使用されています。
このタイヤの選択も、荒れた路面からの振動対策のひとつであると考えられます。
FMBのParis-Roubaixは、昔ながらの工法で、ケーシング用の布を織るところから製作されるこだわりのハンドメイドタイヤです。
そのため、その乗り心地は非常にしなやかで振動の吸収性が高いことから、荒れた路面でのレースの定番の振動対策として投入されます。
なお、このFMBのParis-Roubaixは、コンチネンタルのCOMPETITON PRO LTDと違って市販品であるため、一般ライダーでも購入が可能です。
ちいさな違いが勝敗を分ける!チームスカイこだわりのアクセサリー!
チームスカイのピナレロのドグマK10の詳細についてお話ししていますが、この章では、ボトルケージなどのアクセサリーに注目します。
チームスカイのドグマK10に使用されたボトルケージは、エリート製のチウッシ GEL アルミボトルケージです。
このボトルケージはボトルのホールド力が高いため、荒れた路面でボトルが飛び出す心配がありません。
なお、このチウッシ GEL アルミボトルケージは、石畳でのレースでは定番のボトルケージであり、多くのチームのロードバイクに取り付けられています。
ボトルには、ボトルケージと同じくエリート製の、FLYボトルが使用されます。
このボトルは、握り心地がやわらかいため、疲れた手でも無理なく握れます。
チェーン落ち防止のためのチェーンキャッチャーには、K-Edgeの製品が使用されているようです。
そのチェーンキャッチャーの奥、ダウンチューブとシートチューブの接合部に、3Dプリンター製の自作のチェーンキャッチャーと思われるパーツが取り付けられています。
ピナレロのドグマK10の真髄!「eDSS2.0」マイクロサスペンション!
最後に、チームスカイが使用する、ピナレロのドグマK10に搭載されたマイクロサスペンション、eDSS2.0に注目します。
このサスペンションは、シートチューブとシートステーの接合部に取り付けられています。
eDSS2.0サスペンションは、サスペンションの状態をロック状態から作動状態に瞬時に切り替えができる電子制御油圧式システムを導入しています。
この切り替えは手動でも行えますが、基本は搭載されたジャイロスコープと加速度計により、路面の状況を判断し、状況に合わせて自動で切り替わります。
このサスペンションの操作は、ダウンチューブに設置されたヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)で行います。
また、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)は、Bluetooth LEおよびANT+などの通信機能も備えています。
そのため、ガーミンのサイクルコンピューターなどで状態の確認や、操作が可能です。
なお、このサスペンションが搭載されていたのはメインバイクのみで、スペアバイクはサスペンションが搭載されていない、通常のドグマK10です。
トレンドの発信源!皆が注目するチームスカイの機材!
今回は、チームスカイが使用したピナレロのドグマK10の詳細についてお話ししました。
このほか、チームスカイのロードバイクは、レースでの勝利のために様々な工夫が凝らされています。
特に、チームスカイはプロトンのトレンドを作り出すチームとして知られており、機材の注目度は非常に高いと言えます。
今後も、チームスカイが使用する機材からは目が離せません。