2018年9月時点の情報で、各スポーツバイクメーカーの2019年モデルが明らかとなり、ホームページの製品紹介も2019モデルに切り替わってきています。
ピナレロも既に2019モデルが出揃ったようですが、お伝えすべき大きな変更点がいくつかあります。
そこで今回は、前年度からの変更点を中心に、ピナレロの2019年モデルを確認していきます。
ピナレロ2019モデルのトピックス
今回はピナレロの2019年モデルをご紹介していきますが、まずざっと2018年からの変更点を一覧で記します。
★フラッグシップモデル「DOGMA(ドグマ)」が「F10」に一本化
圧倒的な性能を持って2018モデルでセンセーショナルなデビューをしたF10を、名実ともにトップに据えました。
★「PRINCE(プリンス)」が5度目のモデルチェンジ!
2019モデルの最大のトピックスで、一部のマスコミではプリンスの「復活」という表現を使って歓迎しています。
★カーボンバック消滅?
ピナレロが初めて世に送り出したと言われる、シートステイのみカーボンチューブを使用するアルミフレーム車「カーボンバック」が、2019モデルには見られません。
★シマノ・新105搭載
2018年にR7000系へのモデルチェンジを行った、シマノのコンポ「105」のニューモデルが採用されています。
今回はこれらを中心にお話ししていきます。
ピナレロの2019モデルでドグマは「F10」に一本化
それでは前項で挙げたトピックスに沿って、ピナレロの2019モデルをご紹介していきます。
まずドグマですが、2018年にはデビューした「F10」と前作「F8」が共存していましたが、2019はF10に一本化します。
ラインナップは前年から引き続き、ノーマルの「F10」、軽量フレームの「Xlight」、ディスクブレーキモデルの「DISK」となります。
2018年からの大きな変更点はありません。
そして、F10をベースにグランツールの一つである、「ジロ・デ・イタリア」の第101回大会を表す「F101」のロゴと、特別なカラーリングを施した「DOGMA F101 Giro d’Italia Edition」が加わります。
さらに、2018年のクリス・フルーム(ピナレロが機材を提供するチーム・スカイ所属)のジロ・デ・イタリア個人総合優勝(マリア・ローザ)を記念した、「DOGMA F10 Giro d’Italia Maglia Rosa Edition」も加わるとされています。
こちらはベースを、F10かXlightから選べます。
ピナレロ「プリンス」の歴史
今回は、ピナレロの2019年モデルのロードバイクを、冒頭でお伝えしたトピックスに沿ってご紹介しています。
続いては、「プリンス」のモデルチェンジについてお話しします。
プリンスはここ20年ほどのピナレロの歴史では、間違いなく中心的存在のバイクです。
デビューは1997年、ピナレロが世界で初めて開発したと言われている、シートステイのみにカーボンチューブを使用する「カーボンバック」のアルミフレーム車でした。
2代目は、今もほとんどの機種に採用されている波打つフロントフォーク「ONDA(オンダ)」を、ピナレロ史上初めて採用したモデルでした。
そして、3代目は2008年にフルカーボンとしてモデルチェンジ、2年連続でバイシクルマガジン誌の「レースバイクオブザイヤー」に輝きます。
ここまでは、順風満帆に常に主役として君臨してきたわけですが、現在のフラッグシップである「ドグマ」の登場で、ラインナップから数年外れる冬の時代もありました。
2015年にようやく4代目として復活したものの、ツール・ド・フランスを制した「ドグマ65.1」と同じ金型を使用しながら、素材の質を変えるというコストダウンモデルでした。
以前のプリンスを知るファンの方からは落胆の声も多く、厳しい評価もあったと記憶しています。
そのプリンスが、完全復活とも言える5度目のモデルチェンジを2019年モデルで果たします。
ピナレロ新プリンスは完全独立モデル
2019年にフルモデルチェンジとなるピナレロのプリンスは、上位グレードの「プリンスFX」と、セカンドグレードの「プリンス」で、セカンドグレードにはディスクブレーキモデルも用意されています。
ハイエンドモデル「ドグマF10」の技術を受け継ぎながら、プリンスにしかない技術も導入されており、4代目に見られたコピーモデルではなく、独立したニューモデルになります。
ダウンチューブのボトル取り付け部分を凹ませた「Concaveダウンチューブ」や、フロントフォーク先端に整流効果のあるフィンが取りつけられた「フォークフラップ」などは、ドグマからの技術です。
一方、ダウンチューブの前側を前輪に沿わせ、気流の乱れを制御する形状や、リムブレーキを風から隠すデザインはプリンスならではになります。
また、ドグマF10使用のカーボンとの性質の違いに考慮して、ダウンチューブをワイド化し、剛性や強度を高めています。
プリンスFXは、コンポにシマノ・デュラエースの電動式変速「R9150」、ホイールにフルクラムの「QUATTRO CARBON」がセットされたプロ仕様モデルです。
そして、アルテグラの機械式で価格が抑えられたモデルの2種の完成車に、フレームセットの3パッケージが用意されています。
セカンドグレードのプリンスは、フレームセットの他に、コンポごとにシマノ・アルテグラ、105、そしてカンパニョーロのPOTENZAの3タイプの完成車が用意され、価格も40万円前後に抑えられています。
ディスクブレーキモデルは、アルテグラの電動変速「R8050」に、油圧式ディスクブレーキの完成車とフレームセットの2パッケージになります。
2019年ついにピナレロから「カーボンバック」が消える!
続いてのピナレロ2019モデルのご紹介は、アルミフレームになります。
初代プリンスがカーボンバックであったことは先述通りですが、それ以来長きに渡りラインナップされてきたカーボンバッグがどうやら無くなってしまうようです。
フルカーボンフレームにも手のどきやすい価格の物が増え、アルミ車もカーボン製のフロントフォークが当たり前の時代になったので、意義が薄れてしまったのは致し方ありません。
また、フロントフォークがカーボン製になって以来、正直カーボンバックはコスト面で厳しかったことも事実で、高額すぎるという評価もありました。
そして、近年はアルミの成形技術も向上し、シートステイをカーボンにしなくても、衝撃吸収性を高めることができています。
このような要素が重なり、伝統のカーボンバックが役目を終えたのかもしれません。
なお、ノーマルなアルミフレーム車「PRIMA(プリマ)」は、2019年も継続されます。
2019モデルはシマノ・105搭載車にも注目
シマノのロードバイク用コンポ「105」ですが、2018年にモデルチェンジをされ「R7000」に生まれ変わりました。
市販は2018年の6月末に始まっており、完成車においては2019モデルへの搭載が続々と発表されています。
ピナレロでは前出したプリンスを始め、「GAN(ガン)」、「RAZHA(ラザ)」、「ANGLIRU(アングリル)」に搭載されます。(ラザ、アングリルはクランクのみ別グレード品になります)
昨今の空力性能に特化したロードバイクの性格にも合わせ、全体的にスリムなデザインになりましたので、レースモデルが多いピナレロとの相性は抜群でしょう。
また、STIレバーは操作性が良くなり、クランクはアームが太くなったことでパワーロスを改善、フロントディレイラーにはワイヤーテンションを調整するアジャスターが内蔵されました。
このように機能面でもアップグレードした新105が搭載された完成車は、2019年ピナレロのみならず全世界で注目されることになるでしょう。
ピナレロは2019年も話題に事欠かない!
今回は、ピナレロの2019年モデルをご紹介しました。
ドグマF10への一本化、プリンスの復活、カーボンバックの終わり、新105搭載車、という4つの観点からお伝えしてきました。
2019年も変わらず話題を提供してくれることになりそうですので、ぜひ動向に注目していてください。