ピナレロは、ここ最近でレーシングモデルの大半がエアロロード化をしました。
その様相は一つのカテゴリーに収まらず、今後ピナレロの象徴になっていく予感をさせます。
トップモデルがエアロロード化をしているため、手ごろな価格で手に入れるのも難しくなってきた中で、ミドルグレードである「GAN(ガン)」の存在感が増してきたのがインプレ評価などからも分かります。
そこで今回は、ピナレロのGANについてお話ししていきます。
ピナレロ・GANの歴史
まずはピナレロ・GANの歴史を振り返っておきます。
GANはプロが使用するフラッグシップモデル「DOGMA(ドグマ)F8」の技術を受け継ぎながら、素材やコンセプトの味付けを変え、ホビーライダーにも寄り添う、エアロロードのセカンドグレードとして誕生しました。
ドグマF8の販売から1年後の2016モデルよりラインナップに加わり、「RS」、「S」、「ノーマル」と3つのグレードで展開され、ノーマルにはディスクブレーキモデルもありました。
特にノーマルともなるとドグマの半値以下にもなるということで、発売された当時は「ピナレロのエアロロードが手に入りやすくなった」という、歓喜の声を上げる情報が多かったと記憶しています。
この体制は2018モデルまで続き、ピナレロ全体のセカンドグレードとして確固たる地位を築いたかに見えました。
しかし、フラッグシップモデルが「ドグマF10」になり、2019モデルでは「PRINCE(プリンス)」がモデルチェンジをして、ドグマのセカンドモデルの位置付けになりました。
そのため、GANは大幅にラインナップが縮小され、ノーマルモデル1機種になってしまいました。
それでは、インプレの情報からピナレロのGANがどのような要素を持っているのかをお伝えします。
ピナレロ・GANのインプレ情報に多い要素
前項でお伝えした通りピナレロのGANは2016年からラインナップされていますので、ある程度のインプレ情報が蓄積されています。
その中でノーマルグレードに対する評価を確認してみると、旧来のエアロロードのような硬くてペダルの踏み応えがあって、ひと漕ぎでかっ飛んで行くようなガチガチの剛性感は感じられません。
筆者の知人は高速で走っている時に柔らかさを感じ、それをショップ店員に話したら同調されたと話しており、剛性が調整されているという感じがします。
そして、インプレでは乗り心地のよさについても指摘が多く、ピナレロの象徴であるONDAフォークや、絶妙な曲げ加工がされたシートステイなどの効果が出ていると言えるでしょう。
しかし、ONDAに関してはドグマを始め、ピナレロもほとんどの車種に投入されているので、GANがもたらしてくれる乗り心地はコンセプトがそこを意識しているからにほかなりません。
そのため、GANは最初から選ぶのにはハードルが高いと思っているビギナーの方や、エアロロードによいイメージを持ってない方にこそおすすめしたい一台です。
乗り心地に配慮はされている!それでもGANは生粋のエアロロード
ピナレロのGANは前項でお伝えした通り、乗り心地への配慮がされているというインプレの情報が多いのは確かですが、ドグマF8の直系であり、F8はツール・ド・フランスを制した機体です。
それだけに直系であるGANも当然ながら空力性能に優れた、スピード系バイクであることに変わりはありません。
乗り心地や扱いやすさを重視すると、剛性が低くなりすぎて加速力や巡航性というスピード面が犠牲になることがありますが、そうならないのがGANの優れている点です。
それを可能にしているのが、ピナレロ独自の「Flatback形状」で、空力性能に長けたカムテールと、ONDAの得意とする絶妙な曲げ加工を合わせたような複雑なフレーム形状です。
また、もうピナレロの真骨頂と言っても過言ではなくなった、左右非対称のアシンメトリックデザインもフレーム全体に採用されており、剛性と軽量のバランスを取っています。
そのため、前項でもお伝えしましたが、ドグマのようにかっ飛んでいく爆発力は無いですが、徐々に加速していくスムーズさを味わうエアロロードというイメージになっています。
ピナレロ・GANは価格面でもインプレ評価が高い
ピナレロの2019モデルは、フラッグシップモデルの「ドグマF10」、ドグマのグランフォンドモデル「ドグマK10」、そしてモデルチェンジをした「プリンス」が上位モデルの位置付けになります。
これらは全てGANと同じエアロロードであり、ピナレロはロードバイクのラインアップの約8割がエアロロードになります。
その中で、フレームセットだけで100万円前後のものまで見られるドグマシリーズや、完成車の最低価格でも40万円を超えるプリンスは、価格的に見てもハードルの高さを感じさせます。
ピナレロのインプレ評価には価格に対するものも多く、コスパの判断は難しいですが、他メーカーと比較しても少し高いという評価です。
そこで注目される存在がGANであり、シマノ・105搭載車であれば設定価格(税抜き)は30万円を切ります。
しかも、2019モデルではリニューアルしたばかりの新105「R7000」が搭載されますので、それだけでもかなりコスパは高いと言えます。
2018年モデルまででも、GANはお買い得感を伝えるインプレ情報も多かったので、ますます評価が上がってきそうです。
GAN付属コンポ「シマノ・新105」のインプレ評価
前項でお話しした新・105「R7000」は性能もそうですが、全体的にスリムなデザインになりましたので、エアロロードであるピナレロ・GANとの相性は抜群のはずです。
そして、GANはスピードの維持(巡航性)に長けていますので、ツーリングなどのロングライドに適していますが、スピードの維持という点では、アームの剛性が上がったクランクがさらに後押しをしてくれそうです。
105のインプレ評価でクランクは、踏み応えがより一層増して、パワーロスを防いでいる感覚があるという情報がありました。
これが何より巡航には大切なことですから、この組み合わせは鬼に金棒でしょう。
また、STIレバーがコンパクトになり、ブレーキが掛けやすくなったのも嬉しいところです。
ロングライドでは後半に手が疲れてきて握力が低下するので、ブレーキレバーを引くのが厳しくなってきます。
その点で、ブラケットポジションからでも、無理なく引けるようになったレバーの存在は大きいです。
ピナレロ・GANに組み合わせたいホイール
ここまでピナレロ・GANの仕様をインプレ情報なども交えてお伝えしてきましたが、一つだけ惜しい点を挙げるとすれば、ホイールでしょうか。
完成車のホイールはよほど高額な機種にならない限り、低価格帯のものが付属してくるので、いずれはカスタムをしたい部分です。
GAN付属のホイールはシマノの「WH-RS100」、決して悪いものではないですが、レースに使用するような高性能ではありません。
まして、シマノのホイールはリムが柔らかめなので、ロードバイクに慣れて脚力が付いてくると、たわみを感じてパワーロスをしている感覚が気になってきます。
そこで、最後に筆者が考えるGANに組み合わせたいホイールをご紹介します。
なお、今回はピナレロの完成車に多く採用されている、イタリア「FULCRUM(フルクラム)」のホイールをご紹介します。
【RACING ZERO (レーシングゼロ】
参考価格:¥147,960(税込)
アルミリムでは、「世界最速」とも評価されているホイールです。
フルクラムは全体的にリムが硬く剛性が高い中で、さらにアルミスポークを使用していますので、力の伝導が直線的で加速力のよさが期待できます。
【RACING 3(レーシングスリー)】
参考価格:¥76,140(税込)
最初のホイール交換を考える人におすすめする際に、名前が上がる頻度が非常に多いホイールです。
交換したという実感が、しかも手頃な価格で味わえる、コスパの高いホイールです。
カンパニョーロの「ZONDA(ゾンダ)」とよく比較されますが、スピードを求めるなら断然こちらでしょう。
用途の広がりを感じるモデル
今回は、ピナレロのGANについてお話ししました。
記事を執筆していく上で、ミドルグレード帯が少なくなってきたピナレロのラインナップ中、重要な位置付けになっていることが分かりました。
今回の記事で、レース以外にも使えるエアロロードという認識をして頂ければ幸いであり、広い視野で考えて頂きたいモデルです。