アルテグラと言えば、シマノを代表するロードバイク用のコンポーネントです。
2017年に、R8000系にフルモデルチェンジを果たしましたが、当然ながら、6800系もまだまだ人気です。
ホイールも同じ品番で販売されていますが、ハブのベアリングのグリスアップに手間が掛かると聞いています。
そこで今回は、アルテグラのホイールをメンテナンスする話をしていきます。
アルテグラホイールの型番確認
アルテグラグレードのホイールは、品番で見分けることができます。
今では、オークションサイトくらいでしか見かけなくなったのが、リア10速時代の「WH-6700」です。
もし入手される場合は、11速に対応していませんので、注意が必要です。
ひと世代前は、今でも市場に出回っている「WH-6800」です。
位置付けとしては中位グレードで、他メーカーに多くのライバルがひしめくゾーンです。
カンパの「ゾンダ」、フルクラムの「レーシング3」とは、本当によく比較されています。
現在(2017年9月)アルテグラはモデルチェンジをしましたので、ホイールも新しいグレードのものが投入されています。
重量・価格などの面から、WH-6800の後継と見られるのが「WH-RS500」で、仕様も引き継いでいます。
また、アルテグラグレードに限らず、シマノのホイールはカップ&コーン方式のハブを採用しています。
シールドベアリングとの賛否は、永遠に決着が付かない感じです。
ただ、グリスアップや玉押し調整など、メンテナンスに手間が掛かるのは、カップ&コーンの方で間違いなしです。
アルテグラホイールのハブの実力
ホイールのメンテナンスは、振れ取り・スポークテンションの調整などがあります。
もちろん、今後行っていくことになりますが、最初に行うのは、ハブの分解をして清掃・グリスアップということになるでしょう。
ハブはホイールの回転の要になる部分で、ここの性能によって、ギア○枚分走りが変わるなどと言われたりします。
アルテグラのホイールは中位グレードですが、ハブは上位モデルにも、そのまま使用されているほどのものです。
さすがに、ハイエンドモデルの「デュラエース」とは違いますが、回転の滑らかさを伝える声が多いです。
アルテグラの「WH-6800」は、チューブレスタイヤに対応しているので、リムが少し重くなります。
その分を、ハブの回転力でカバーしているとも言えるのです。
ただ、アルテグラに限らず、シマノのデュラエース以外のハブは、グリスアップなどのメンテがいささか面倒です。
それをしっかりこなせるようなら、特にアルテグラくらいのグレードになれば、十分に満足できるはずです。
アルテグラホイールのハブのグリスアップ手順①
では、アルテグラのホイール「WH-6800」のハブの分解をして、清掃とグリスアップをしていきましょう。
後輪ができれば前輪は簡単なので、後輪から行います。
後輪はまず、カセットスプロケットを外すことから始めます。
専用の工具が必要ですが、もし持っていないようであれば、今後のために購入しておきましょう。
スプロケットを固定しているロックリング外しと、回らないように固定する工具が必要で、合わせて2,000円程度で購入できます。
先端にロックリング外しを装着して、固定工具のチェーンを、適当なギアの所に引っかけて固定します。
あとは、ロックリング外しをモンキーレンチで時計回りに回して外します。
ひとつ注意していただきたいのは、ロックリングがかなりきつく締めこまれていますので、結構力を入れないと外せません。
そのときに空回りして、ギアやスポークに手をぶつけて、怪我をしているケースが本当に多いです。
そのため、軍手をして作業した方が良いですし、ゆっくりと力を込めるようにしてください。
アルテグラホイールのハブのグリスアップ手順②
リアホイールからカセットスプロケットを外すと、アルテグラのフリーホイールが現れます。
フリーホイール側と、反対側の両方の先端に付いているナットを緩め、シャフトを抜きます。
アルテグラのホイールでは、ベアリングのボールは1個ずつ単体で、しかもシールで覆われていません。
そのため、シャフトを抜くと、ボールがぽろぽろと落ちてきます。
ボールは13個あるようなので、失くさないように気を付けてください。
1個でもなくなれば、それだけ回転力が落ちると思っていた方が良いです。
まず、フリーホイールの内部ですが、こちらは分解が難しいとの声が大半を占めています。
そのため、詳しい構造も分からないので、パーツクリーナーなどで洗浄するのも避けた方が賢明です。
とりあえず、ベアリングのボールだけ掻き出して、ウエスなどで汚くなったグリスをふき取り、新しくグリスアップしてボールを置いていけば完了です。
ハブの内部はパーツクリーナーで清掃してから、グリスを盛り付け、またボールを1個ずつ戻していきます。
アルテグラホイールの玉押し調整方法
シールドベアリングなら、ハブの清掃をしてグリスアップをすれば、メンテナンスは終了です。
しかし、シマノのハブは、カップ&コーン方式のため、最後に玉押しの調整が必要です。
アルテグラホイールのハブは、「デジタルアジャストシステム」という、誰でも簡単に調整できるものです。
シャフトの先端に付いている玉押しを回して調整しますが、緩すぎるとガタが出ますし、締めすぎるとゴリゴリした感じになります。
グレードの低いベアリングだと、この調整が上手くいかないのですが、アルテグラはそんなことはありません。
ホイールを回転させながら、ちょうど良い部分を探ってみてください。
あとは、カセットスプロケットを戻して終了です。
ここまで、ハブのメンテナンス手順をご紹介してきましたが、カップ&コーン方式のベアリングは、シールド式のように覆われて守られていません。
そのため、ある程度粘度の高いグリスを使用しないと、グリス抜けが起きやすいです。
こだわる必要はないですが、シマノ純正の「デュラエースグリス」なら、まず大丈夫です。
ホイール以外もグリスアップ!
アルテグラホイールのグリスアップをしただけでグリスがなくなることはないので、この際ですから、他の部分も行いましょう。
ベアリングは回転する部分に使われていますので、ホイールの他には、bb(ボトムブラケット)・ペダル・ヘッドパーツなどが対象です。
足回りの重要性は分かっている人は多いですが、忘れがちなのがヘッドパーツですね。
ヘッドパーツのベアリングは、フロントフォークのコラムの上下に装着されています。
コラムのベアリングは支持しているステムを外し、ヘッドチューブから引き抜いてからグリスアップします。
あとは、上記でご紹介したアルテグラホイールの調整と同じように、ステムの上部に付属しているボルトの締め込み度合いで、玉当たりを調整します。
ハンドルの回転がスムーズじゃないと感じたら、ヘッドパーツのグリス切れの可能性があるので、やってみてください。
また、クランクの付近から異音がする場合も、bbのグリス切れの可能性が考えられるので、確認することをおすすめします。
ホイールの性能はメンテ次第で変わります
アルテグラホイールのハブは、シマノの上位モデルにも採用されているほど、レベルの高いものです。
しかし、そのハブを活かすも殺すもメンテ次第ですから、定期的に行わなくてはいけません。
また、注意事項をいくつか書かせていただきました。
その中でも、カセットスプロケットを外すときのケガと、ベアリングのボールの紛失は、とにかく頻繁に起きるので十分注意してください。