ロードバイクのメーカーロゴから見る!メーカーの歴史と信念

ロードバイクを選ぶ際に、メーカーのロゴのデザインも気になることと思います。

メーカーロゴは、アルファベットを並べたシンプルなものから、紋章のような非常に凝ったものまでメーカーごとに個性があります。

その中でも、デザイン性に優れたメーカーロゴと、そのロードバイクメーカーの歴史や代表的なロードバイクのモデルをご紹介します。

美しいジオスブルーが魅力のロードバイクメーカー「GIOS」

「GIOS」は、イタリアの工業都市トリノを拠点とする自転車メーカーです。

創業は1948年と、自転車メーカーの中では古い方です。

そのため、伝統あるメーカーとしてイタリア国内では広く知られています。

「GIOS」のメーカーロゴは、下向きに凸で左右がくびれた盾型をしており、盾の内部は左上から右下に向かい、緑、白、赤の順で塗りわけられています。

そして、その白の部分にメーカーの「GIOS」の文字が配置されています。

その盾の上部には、オリンピックの五輪があしらわれています。

これは、「GIOS」創設者のトルミーノ・ジオスが、ベルリンオリンピックのイタリア代表に選出されたことに敬意を示して、メーカーロゴに加えられました。

「GIOS」のロードバイクといえば、真先に思い浮かぶのが「ジオスブルー」です。

「GIOS」は、メーカーのイメージカラーである鮮やかなブルーを、自社のロードバイクすべてのモデルで採用しています。

そのため、そのブルーはいつしか「ジオスブルー」と呼ばれるようになりました。

それは、イタリア国内では「ジオスブルー」という色が存在するほどに浸透しています。

ロゴの翼は空力デザインの自信の表れ!ドイツメーカー「FELT」

「FELT」はドイツに拠点を置くロードバイクメーカーです。

「FELT」創立のきっかけは、後にフレームの魔術師と呼ばれるようになる創設者のジム・フェルト氏が、1980年年代にトライアスロンバイクを作ったことによります。

それから10年後、現在の「FELT」が創立しました。

「FELT」のロゴは、直線で構成され抽象化された翼が、シンメトリーに配置されたデザインになっています。

ロゴのデザインのモチーフに、翼を採用していることからも見て取れるように、「FELT」は空力を重視したエアロロードバイクの設計に定評があります。

それもそのはずで、「FELT」は2008年には他社に先駆けて、現在のエアロロードバイクの元祖ともいえる「AR」シリーズを世に送り出しました。

そして「AR」シリーズは、レースで多くの実績を残したのです。

現在でも、「AR」シリーズに採用された、シートチューブがホイールに沿ってくびれるデザインは、現在のエアロロードバイクのほぼすべての車種で見受けられます。

そのことからも、「FELT」が生み出した「AR」シリーズがロードバイク界に与えた衝撃の大きさがうかがえます。

ロゴのアルカンシェルは王者の自負!「COLNAGO」

「COLNAGO」は、1954年イタリアのミラノで開業した小さな工房、チクリ・コルナゴを起源とするロードバイクメーカーです。

「COLNAGO」のロゴは、トランプのクラブ(クローバー)のマークの背後に、右上から左下に向かって、アルカンシェル(虹色)のラインがあしらわれたデザインになっています。

現在、世界の最前線のプロ自転車レース界にて、「COLNAGO」の名は必ず目にするほど、レーシングブランドとして確固たる地位を持つメーカーです。

伝説的自転車選手であるエディ・メルクスのアワーレコード新記録樹立に貢献したことを皮切りに、以降はジュゼッペ・サロンニ選手の自転車世界選手権のタイトル獲得に貢献するなど、「COLNAGO」のバイクは数多くの功績を残しました。

さらに、新城幸也選手が「COLNAGO」のバイクを使用し、ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスのステージ入賞を果たし、世界選手権で日本人初の9位の成績を残しました。

また、女子プロロードレーサー萩原麻由子選手がイタリアのステージレース「ジロ・ローザ」にてステージ優勝を飾った際に使用したのも「COLNAGO」のバイクです。

これらから、日本の自転車レースファンの間でも「COLNAGO」の名は日本人レーサーの輝かしい功績とともに、印象深く記憶に刻まれています。

ロードバイク老舗メーカー!ハルバートロゴが特徴的な「Wilier」

「Wilier」は、イタリアの老舗ロードバイクメーカーで、正式名称は「Wilier Triestina」と言います。

「Wilier」のロゴはいくつかバリエーションが存在します。

基本的には、下向きに凸の形状の盾が、イタリアの国旗に倣って左から縦に、緑、白、赤の順に彩色されており、その盾全面に黒抜きで、ハルバードと呼ばれるヨーロッパで使用された、3叉の槍のような武器のシルエットが描かれています。

その起源は1906年までさかのぼり、本格的に競技用自転車の製造に乗り出したのが、1945年のイタリアの戦後復興期です。

戦争で疲弊したイタリアを奮起させるべく、まさにハルバードを掲げた兵士のように「Wilier」はイタリア自転車界を引っ張って行きます。

そして、戦後初のジロ・デ・イタリアでの勝利をきっかけに、その後、多くのレースで勝利しました。

それにより「Wilier」は、イタリアの自転車競技界において重要なポジションを占めることとなりました。

そして、「Wilier」の名が世界に轟くこととなった出来事が、1997年のツール・ド・フランスのラルプ・デュエズです。

そのステージは、故マルコ・パンター二選手がラルプ・デュエズを37分35秒という史上最速タイムで登ったことで伝説となり、人々の語り草となりました。

その際に使用したバイクが、「Wilier」のバイクでした。

そのため、マルコ・パンターニに憧れ、「Wilier」のバイクを求めるファンは後を絶ちません。

美しいロードバイクにはハートが宿る!至高のメーカー「DE ROSA」

「DE ROSA」は、ロゴのハートマークが印象的なイタリアのロードバイクメーカーです。

そのロゴは、赤色で描かれた、右下に開口部がある輪郭のみのハートの内側に、赤色で塗りつぶされた完全形のハートマークが配置されたデザインになっています。

また、ダウンチューブのメーカーロゴの「DE ROSA」の文字は、「O」の内部がハートマークになっています。

「DE ROSA」は、創始者であるウーゴ・デローザが1953年に自ら名を冠した自転車メーカーを興したことから始まります。

特に代表作である、「SK Pininfarina」はトップチューブがホリゾンタルデザインのエアロロードバイクで、速さを感じさせる直線とやわらかな曲線が調和したデザインとなっています。

それもそのはずで、「SK Pininfarina」は、フェラーリに代表される数々の名車のデザインを手がけたピニンファニーナ社によるものです。

そのため、どこか有機的な、ハートがこもった温かみのあるデザインになっています。

また、「DE ROSA」はレースの現場でも活躍しています。

現在、日本とイタリアの合同チームである、NiPPO・ヴィーニファンテーニに機材を供給し、欧州および日本のレースで活躍を見せています。

自転車の歴史は「Bianchi」の歴史!受け継がれる大鷲のロゴ

「Bianchi」は、世界初の自転車メーカーとして知られています。

「Bianchi」のロゴは、頭部に冠をかぶった両翼を広げた大鷲のデザインで、その見た目は、神聖ヨーロッパ帝国で使用されていた紋章によく似ています。

大鷲のモチーフは、ヨーロッパ各地で紋章に採用されており、その歴史と伝統がうかがえますが、この「Bianchi」も、大鷲のモチーフに恥じない歴史と伝統を持ちます。

その歴史は、現在の自転車の基本的な形が完成した時代から始まったと言われており、現存する自転車メーカーでは、まさしく世界最古でしょう。

レースの分野でも、ファウスト・コッピやヤン・ウルリッヒといった歴史に名を刻むような名選手を数多くサポートしました。

2018年のツールドフランスでも活躍はめざましく、ロットNLユンボのプリモシュ・ログリッチェ選手がステージ優勝を挙げるなど、「Bianchi」のバイクを駆ったロットNLユンボの攻撃的な走りが話題になりました。

その走りを支えた「Bianchi」独自のテクノロジーが「カウンターヴェイル」です。

それは、カーボンの層に細かい振動を除去する効果を持つ「カウンターヴェイル」の層を追加することで、ロードバイクの快適性を高める技術です。

「カウンターヴェイル」は現在、「Specialissima」「Oltre XR.4」「Infinito CV」といった「Bianchi」のハイエンドモデルに採用されています。

最高の相棒を探すならロゴが持つ意味にも注目しよう!

ロードバイクのメーカーロゴには、そのメーカーのロードバイクに込められた思いが表れています。

デザイン性に優れたロゴを持つロードバイクは、それだけでもアイデンティティーとなり、それにより愛着も増すことでしょう。

ご自身の相棒となる1台を探す際には、ぜひメーカーロゴにも注目してみてください。