マウンテンバイクのサイズはホイールで表されており、その単位はインチ表記になります。
26、27.5、29インチなどがあり、特に29インチは「29ER(ツーナイナー)」という呼称があるくらい、マウンテンバイク乗りにとって特別な存在です。
ただ、レースで主流ではなくなってきたことから、今は扱わないメーカーさえあります。
しかし、メリダのように29ERを充実させているメーカーもあり、需要がなくなっているわけではありません。
メリダのマウンテンバイクとの関わりを知ろう
メリダは今でこそロードバイクでも名が売れてきましたが、世界に名前をとどろかせたのはマウンテンバイクです。
メリダはアメリカメーカーの多くのOEM(相手先(受託者)ブランド名製造と訳される)を手掛けながら、自社ブランドの技術を磨いてきました。
そのOEM先に「シュウイン」や「キャノンデール」といったマウンテンバイクに強いメーカーがあったので、自社ブランドもマウンテンバイクが先に有名になっていきます。
世界トップクラスのチームに機材を提供し、世界選手権やオリンピックなどのビッグレースを次々と手中に収めていきました。
中でも女王「ガンリタ・ダール」選手は、「マルチバン・メリダ バイキングチーム」で10年以上メリダのマウンテンバイクに乗り、世界選手権を10度、ワールドカップ30勝、アテネ五輪のXC(クロスカントリー)金メダルと、次々と金字塔を打ち立てています。
彼女は40歳を超えた今でも、自身が運営する「チーム メリダ・ガンリタ」でメリダのバイクに乗り、世界の舞台で戦っています。
そのガンリタ選手が愛用しているバイクの一つが、29ERの「BIG.NINE」シリーズです。
詳細はのちほどお伝えしますが、スピード優先のクロスカントリーレースなどでは今でも29ERが主流となっていることを、ガンリタ選手が証明してくれています。
マウンテンバイクのサイズの歴史~26インチから29ERそして27.5インチへ
マウンテンバイクは、長らく26インチが主流の時代が続きました。
開発当初の経緯は分かりませんが、2000年代初頭までその時代が続いています。
マウンテンバイクを開発した一人とされている「ゲイリー・フィッシャー」は、開発当初から29ERの構想を持っていたとのことですが、タイヤを製造してくれるスポンサーが付かず、自分でも資金がなかったため実現できなかったと言われています。
しかし、2000年を過ぎた辺りから本格的に29ERの開発に乗りだし、大口径がゆえの走行性能の高さがレースでも認められて全盛期を迎えます。
ちなみに、29ERはリム径がロードバイクやクロスバイクの700cと同じなので、ひと漕ぎで進む距離が長く、スピードレース向きとなります。
街乗り車としての活躍が多いクロスバイクも700cが主力ですが、それも29ERの名残りなのではないかと目されています。
いずれにしても29インチのマウンテンバイクは、一つの時代を築きました。
しかし、2012年に全く新しい規格27.5インチ(650B)が登場して、レースで結果を出したのをきっかけに、主流の座に一気に駆け上がり現在もそれが続いているという状況です。
そこで舵を切って27.5インチに寄せたメーカーもあれば、メリダのように29ERを守ったメーカーもあり、その対応が今日のラインナップに表れています。
メリダの代表的29ERマウンテンバイク
それではここから、メリダのマウンテンバイクで29ERにカテゴライズされる製品を見ていきましょう。
冒頭でも触れましたが、29ERの主役は、女王ガンリタ選手も愛用する「BIG.NINE」シリーズです。
ハイエンドモデルである「BIG.NINE TEAM」から、クロスバイク並みの価格で提供される「BIG.NINE 20-MD」まで、2018年モデルは6種類がエントリーされています。
フロントサスペンションのみの「ハードテイル」で、トラベル量(沈み幅)も100㎜に設定されており、クロスカントリーやマラソンといったスピード系のレース向きのバイクです。
また、リアにサスペンションのないハードテイルは、力の伝達力には優れていますが、衝撃は当然ながら吸収できません。
しかし、BIG.NINEシリーズはチェーンステイとシートステイを偏平形にすることで、高い衝撃吸収性を発揮する、マイクロサスペンション技術「FLEX STAY」を採用しています。
これによって大幅に振動吸収性が増し、クロスカントリーコースでも思う存分にペダルを踏み込めるようになっています。
メリダ・29ERマウンテンバイクのフラッグシップモデル
前項では、メリダの29ER「BIG.NINE」のシリーズ全体の特徴をお伝えしましたので、ここからは個別の製品を見ていきましょう。
チーム仕様の「BIG.NINE TEAM」はBIG.NINEシリーズの中でも完全に差別化が図られており、最新鋭の超軽量カーボンフレーム「CF5」は、27.5インチモデルも含めチーム仕様車にしか使用されていません。
フロントがシングルギアとなっており、フレームもそれに合わせた専用設計です。
旧来のマウンテンバイクのごっつい野太いイメージではなく、ロードバイク並みのセミエアロ形状のダウンチューブや、前項でもお伝えしたFLEX STAYなどは、マウンテンバイクのスピード化が著しいと感じさせます。
マウンテンバイクのコンポでは他をリードする「SRAM」製のコンポに、「フルクラム」の軽量ホイールを合わせ、マウンテンバイクでは破格の8.5㎏(43サイズ)を実現しています。
その分価格も約90万円とワールドクラスですが、正にフラッグシップモデルに相応しい、モンスターバイクです。
29ERは街乗りスポーツバイクの先駆者でもある!
前項でお伝えしたチーム仕様車は特別な存在で、筆者のようなホビーライダーには少しハードルが高いですね。
もちろん、市場価格に合わせたモデルもあり、カーボンフレームにも「7000」と「3000」というグレードが用意されています。
しかし、今回筆者がお伝えしたいのは、BIG.NINEシリーズのアルミフレームモデルです。
29ERはクロスバイクが開発されるまでは、街乗りスポーツバイクの中心的存在でしたので、そういったモデルは価格的にも当然アルミフレームが多かったわけです。
クロスカントリータイプのマウンテンバイクは、ここまでお伝えしている通り、ハードテイルでサスペンションのトラベル量も少なく、ましてメリダのBIG.NINEはロードバイク並みのエアロ形状のフレームですから、街乗り車に適さないわけがありません。
カーボンフレームですと扱いに気を使いますし、街乗り車としては価格的に折り合わないので、アルミフレームがおすすめになります。
メリダのおすすめアルミフレーム29ER
メリダのアルミフレーム29ERはBIG.NINEシリーズから、「LIMITED」「100」「20-MD」の3種類となります。
中でも今回は、アルミフレームのハイエンドモデル「LIMITED」をご紹介します。
今はアルミの成形技術が向上しており、多くのメーカーがカーボン並みの自由な造形が可能になってきました。
メリダも「ハイドロフォーミング」という技術を用い、カーボンモデルと同じシートステイとチェーンステーを偏平にする「FLEX STAY」の技術をアルミでも可能にしています。
また、メリダにはエアロロードバイクの「リアクト」にもアルミフレーム車があるように、エアロ形状のチューブを作り出すのも得意としていますので、このLIMITEDにも惜しみなく採用されています。
こういった高い成形技術により、カーボンの上位グレードと変わらないジオメトリを可能としています。
また、組み合わされているコンポは、スピード系のマウンテンバイクを好む方からの支持が多い、シマノのフロントシングル仕様「SLX」を採用しています。
この仕上がりであればレースも目指せますし、マウンテンバイクらしく山道のトレイルはもちろん、巡航性も高いので街乗りとしても十分使用して頂けます。
メリダは29ERを守り通している!
今回は、メリダの「29ER」と呼ばれる29インチのマウンテンバイクについてお話ししました。
29ERはクロスカントリー(XC)などのレースではまだ需要はありますが、市販車としては主流からは一歩引いた存在です。
しかし、メリダは現在の主流である27.5インチと並ぶ程のラインナップであり、29ERの存在感を世に知らしめている「伝道者」の側面もあります。
そのため、スピード系のマウンテンバイクをお探しの方は、まずメリダに注目してみるとよいかと思います。