自転車において、お尻が痛くないサドルというのはあるのでしょうか?
座面が硬いサドルは痛くなりやすいのは確かですが、柔らかければ痛くならないかと言えばそんなことはありません。
形状やパッドの厚さによって痛みを軽減することはできても、完全に痛くないサドルというのは難しいです。
そのため、今回は痛みを軽減できるおすすめのサドルをできるだけ多くご紹介していきます。
お尻が全く痛くないサドルはあり得ない!
例えば、何かに座ってテレビを見るなり時間を過ごす際に、木やパイプいすなど硬い座面に座っているよりは、ソファやクッションのような柔らかい方がお尻が痛くないとは言えます。
ソファがお尻全体を包み込むように支えているのに対して、硬いものは坐骨や股間付近を一点集中で支えています。
そのため、集中している部分が圧迫されて痛みが出やすくなります。
しかし、柔らかいソファでも2、3時間となってくれば痛みは出るもので、いわゆる座面の硬さとお尻の痛みというのはイコールの関係ではなく、程度の問題なのです。
したがって、お尻が痛くないサドルというのは事実上存在せず、サドルを交換しても、痛みを全て除去できるわけではありません。
それでも、自分のお尻にフィットするものに出会えれば、今の悩みからは解放される可能性もありますので、その手助けになりそうなおすすめのサドルをご紹介していきます。
お尻が痛くない方向に最も近づけるおすすめのサドル
それでは、なるべくお尻が痛くないという方向に近づくべく、おすすめのサドルをご紹介していきます。
【ISM(アイエスエム):TOURING】
参考価格:¥8,500
自転車に乗っていて起こるお尻の痛みは、大きく分けて2ヵ所から発生します。
一つはお尻を支えている坐骨、もう一つは特に前傾した時に圧迫される股間付近です。
ISMはトライアスロンやTT(タイムトライアル)用のサドルが得意なメーカーなので、特に股間付近の圧迫を軽減させるのに長けています。
そのため、サドル前方が二つに分かれている先割れ形状になっており、前傾姿勢になった際にもこの先割れ部分に股間が収まり、圧迫させない仕組みになっています。
しかも、このTOURINGは座面幅が195㎜もあり、お尻全体を包み込むようにして支えてくれますので、ロングライドでも坐骨に痛みが出にくくなっています。
ママチャリ並みの座面幅ですし、かなり厚みもあるので見た目のやぼったさは否めませんが、お尻の痛み軽減という観点からは外せないサドルの一つです。
コンフォート系サドルならおすすめはこのメーカー
引き続きお尻が痛くないというテーマに沿って、痛みが軽減されるおすすめのサドルをご紹介します。
【VELO(ベロ):Plush VL3147 (男性用)】
参考価格:¥3,300
VELOは、パッドが厚めで衝撃吸収性に長けた「コンフォート」系サドルの第一人者的なメーカーです。
中でもこちらは座面幅が180㎜あり、座面がこんもり盛り上がっているほど厚いパッドが使用されています。
しかし、VELOの素晴らしいのは、これだけの分厚い座面でありながら、適度な弾力を持たせて、パワーロスを防いでくれているところです。
座面が柔らか過ぎると体が沈み込むので、ペダルに力を込めづらくなりますし、力が逃げてしまうので疲労が溜まる割にはスピードが出ないという、非効率さがあります。
それを改善しているのがこのサドルであり、特にパワーロスが問題になるロードバイクでも愛好者が多いのはうなづけます。
また、座面全体に溝が切ってあり、中央には穴も開いていますので、股間の圧迫対策も万全を期しています。
なお、同じシリーズで女性用もあります。(型番VL4126)
お尻が痛くないという評価が多いおすすめの「ゲル」入りサドル
前項でご紹介したサドルはコンフォート系というジャンルで、長い時間の走行でもお尻が痛くないことをコンセプトにしています。
その中では、座面に弾力を持たせているというお話をしましたが、弾力がないサドルは段々沈んでいきますので、時間が経つとベースにお尻が底つきしてしまい痛みが出ます。
そのため、適度な弾力はとても大切な要素で、手で触った段階では硬いとすら思えるものがおすすめという意見もあります。
【SELLE SMP(セラSMP) :TRK メンズ ゲル サドル】
参考価格:¥10,000
セラSMPのサドルは全体にうねりのある独特な形状をしており、その曲面が骨盤との接地面積をできる限り広くしてくれています。
そのため、坐骨に圧力が一点集中しないようになっており、痛みの軽減が大いに期待できます。
また、衝撃吸収性に長けている上に、弾力もある「ゲルパット」が座面に内蔵されていますので、スポーツ系サドルの理想形とも言えます。
さらに、座面中央から前方にまで、大胆に穴が開けられていますので、かなり深い前傾姿勢でも股間の圧迫は大幅に軽減されます。
独自の理論からお尻が痛くないサドル作りを目指すメーカー
次におすすめするサドルは、多くのプロレーサーも愛用する世界的ブランド「フィジーク」を持つメーカー「セラロイヤル」です。
セラロイヤルは「乗車位置」に重きを置くメーカーで、乗車時の脊髄の角度によってサドルを種類分けしています。
15°、30°、60°、90°の4段階があり、それぞれの角度の際にどこがサドルと接触して圧迫を受けやすいかを考慮して、痛くないサドル作りを目指しています。
最も上体が起きた姿勢になるのが90°で、これはドカッとサドルに腰を落ち着ける、ママチャリスタイルです。
ここから徐々に前傾させて最適な角度を決めていくことになりますが、大まかに60°はクロスバイク、30°はロードバイクのエンデュランスモデル、15°はレーサーモデルというところです。
セラロイヤルでも特におすすめなのが下記のサドルになります。
【LOOK IN】
セラロイヤルこだわりの「ROYALGELパッド」内蔵で、抜群の衝撃吸収性と股間の圧迫を大幅に減少させるサドルに仕上がっています。
90°以外の3段階が用意されており、ライダーのタイプに合わせて選ぶことができます。
サドル以外にもお尻の痛みを軽減させる方法はある
ここまでお尻が痛くないというコンセプトの強いサドルをおすすめしてきましが、乗車姿勢や乗り方、また別のアイテムでも軽減させることができます。
これまでのお話しの中でもお伝えしていますが、特に坐骨の痛みは圧力が長時間掛かり続けることで発生しています。
そのため、坐骨への圧力を極力減らすことを意識して、お尻を休ませてあげることが大切です。
例えば、少しだけ前傾姿勢になるように、サドルを高くしてみるのも一つの方法です。
前傾姿勢が深くなると重心が前掛かりになるので、自然とサドルに掛かっていた体重がペダルやハンドルに分散されます。
それによってお尻への負担が少なくなるので、痛みの軽減に繋がります。
また、腰を浮かせてペダルを漕ぐダンシング(立ち漕ぎ)を適度に挟んだり、信号待ちなど一時停車の際はサドルから降りておくなど、お尻を休息させる意識を持つのも大切です。
さらには、サドルにクッション性のあるカバーを掛けたり、お尻にパッドが入っているパンツやズボンを履くのも割とオーソドックスな方法です。
お尻が痛くならないのは大切だが自分に合うものがもっと大切
今回は、お尻が痛くならないという方向性で作られているサドルをご紹介しました。
共通点としては、座面が広くパッドが厚いものですが、それでいて柔らかすぎず適度に弾力があるものがおすすめです。
ただし、サドルは万人に合うものはまず存在しませんので、自分にフィットするということを最優先に考えてみてください。