フロントフォークは前輪とハンドルを繋ぐ部分で、自転車の舵取りに欠かせない部分です。
特に、mtbにはサスペンションが組み込まれているので、重要度が増します。
ただし、mtb乗りの中にはサスペンションに必要性を感じない人もいますので、交換の要望も多いと聞きます。
そこで今回は、mtbのフロントフォークについて、種類や交換方法などを紹介していきます。
mtbのフロントフォークは交換できる
フロントフォークはフレームから外すことが可能な単体のパーツではありますが、フレームセットとして扱われることが多いです。
フロントフォークが付属していないフレームは、滅多にありません。
そのこともあり、もしかすると一体化しているものだと思い込んで、交換ができないと考えている人も少なくないようです。
フロントフォークそのものは消耗品ではないですが、例えばmtbではサスペンションのスプリングや、回転をスムーズにさせるためのベアリングは摩耗します。
一般のニュースでもかなり大きく取り上げられたので、覚えている方も多いのではないかと思いますが、2008年に起きた「ビアンキ事故」は衝撃的でした。
この事故を知らない方もいるかと思いますので簡単にご説明します。
事故の詳細としては、クロスバイクに乗っていた男性が走行中にフロントのサスペンションが折れて、ハンドルがすっぽ抜けてしまい転倒したというものです。
こちらの男性は、顔面を地面に強く打ちつけられ、全身にマヒが残る重傷を負ってしまいました。
このときのクロスバイクのサスペンションには、錆などによる腐食が見られたそうです。
事故となったバイクは、ビアンキの日本代理店が国内向けに製造したもので、ビアンキはいわゆる名義貸しの状態で直接企画・製造に関わったわけではないとされています。
しかし、全身マヒとなったことに対する多額の賠償金を支払うことになり、築き上げてきた信頼にも影響が出てしまいました。
「ビアンキ事故」を教訓にする
ビアンキ事故の対象になったクロスバイクは2002年モデルで、購入から6年で上記のような事故が起きました。
男性は比較的しっかりとメンテナンスを行っていたと証言しており、確かにサスペンション以外には、大きな整備不良は見られなかったそうです。
では、なぜフロントフォークのサスペンションの腐食が、事故にあった男性の過失にならずメーカー側の責任となってしまったのでしょうか?
それは、サスペンションについての定期的なメンテナンス指示がなかったことが関係しているとされています。
また、このサスペンションは別メーカーでも使用されており、事故以前にも不具合が指摘されていたようです。
それにも関わらず、対応が遅れてしまったことが、メーカー側に非があるとされた理由になったと言われています。
また、このサスペンションの作りは、インナーとアウターを繋ぐ部品が、金属バネだけであり、ロッドのようなものが通っていない作りとされていました。
そのため、折れたときにハンドルがすっぽ抜けてしまったとも言われているのです。
しかし、ビアンキはこの後、信頼を戻すためにこのような事故のことも教訓に自転車の開発も行っております。
そのため、信頼性を取り戻しつつあり、今現在もビアンキの自転車を使っている方が多く、人気を得ているとも言えます。
ただし、この事故は当時のビアンキではあったものの、今現在でも多くの自転車があります。
中にはコストを下げた低価格帯の自転車があるのも、事実とも言えるでしょう。
その自転車が、このような事故に発展するとは言えませんが、信頼をおけるメーカーの自転車を選ぶのが良いかもしれませんね。
また、メーカー側の不備とも言われているかもしれませんが、mtbのサスペンションのメンテナンスを行っていなかったことも、少なからず原因にもなっていることでしょう。
もし、今後サスペンション付きのmtbを使用する際は、サスペンションの交換やメンテナンスも重要になることを頭に入れておきましょう。
mtbのフロントフォークは誰が交換する?
ここまでの話で、mtbにとってサスペンションを含めたフロントフォークのメンテナンスが、いかに重要か分かっていただけたと思います。
そのため、交換するかどうかはさておき、まずはチェックをしなければなりません。
後述しますが、フロントフォークのメンテナンスは定期的に行う必要があるので、自力で行えるようにしておきたいです。
しかし、交換となると専用工具が必要になりますし、手間も大いに掛かります。
そのため、専用工具を購入するより工賃の方が安く済むこともありますので、お店に頼んだほうが賢明かもしれません。
工賃の相場は3,000円~5,000円というところですが、その店舗で新しいフロントフォークを購入すればもう少し安くなります。
フロントフォークは交換後に「玉押し調整」というメンテナンスも不可欠で、これが不慣れなうちは難しい作業です。
これも含めて、熟練の店員さんなら30分もあれば完了します。
1台のmtbの歴史の中で、フロントフォークを交換することはそう頻繁にあることではないでしょうから、最初の交換はお店でも良いと思います。
mtbはどんなフロントフォークに交換したら良いのか?
mtbのフロントフォーク交換はお店でやってもらうというスタンスで話を進めますが、ここではどんなことに気を付けて交換するのかをお話しておきます。
mtbの場合は、何と言ってもサスペンションの有無です。
今のmtbにサスペンションの必要性を感じないのであれば、サスなしのフロントフォークに交換することも考えたいです。
クロスバイクやロードバイクには、サスペンションはほとんど付いていないわけです。
そのため、普段使いで街乗りが主であったり、きれいな舗装路しか走らないのであれば必要性はグッと低くなります。
サスペンションはオイルを定期的に交換したり、スプリングのメンテナンスなどは、そこにたどり着くまでの作業が非常に面倒です。
そのため、特に必要がないのであれば、サスなしの「リジッドフォーク」の方が使い勝手は良いです。
しかし、せっかくのmtbだからサスペンションの機能は付けておきたいという人は、機能をON/OFFできる「ロックアウト」が良いでしょう。
舗装路でスピードを出す際はサス機能が邪魔に感じることもありますので、OFFにしておけるのはあり難いです。
フロントフォークの交換はお店!メンテナンスは自分
mtbのフロントフォークの交換はお店に依頼するのが賢明と言いましたが、メンテナンスは自力でできた方が良いです。
自力で交換する際の作業にも繋がりますので、ここからはフロントフォークのメンテナンスについてお話します。
フロントフォークは人間でいえば胴体に当たる「コラム」と、脚の部分である「ブレード」で構成されています。
ブレードの先端は前輪中央のハブに支持され、コラムはヘッドチューブを通します。
そのため、フロントフォークを外す際はまず前輪を外しますが、mtbの車輪は「スルーアクスル」という機構で支持されているので簡単に脱着が可能です。
次にフォークコラムをヘッドチューブから引き抜きますが、コラムは「ステム」というハンドルを支持するパーツで固定されています。
今回は、現在多くのスポーツ自転車に採用されている、「アヘッドステム」として話を進めます。
ステムはサイドに固定するボルトがあり、上部に「アンカーボルト」と呼ばれるまた別の役割があるボルトがあります。
外す際は、アンカーボルトを緩めて先端のキャップごと引き抜きます。
それから、サイドの固定ボルトを緩めますが、左右交互に緩めてください。
ステムを抜き取るとフォークのコラムが剥き出しになりますが、フォークの中にナットが埋め込まれているのが見えます。
このナットが先述した玉押し調整のカギを握るもので、圧入されているので脱着には専用工具が必要です。
ただし、交換しないのであれば外す必要はありません。
mtbのフロントフォーク交換作業が大変な理由
上記手順でフロントフォークが外せるようになりますので、片手でmtbを上に引き上げるようにして、もう片手でコラムの根元を持ち下に引き抜きます。
このときに「ボールベアリング」という小さな球が下に落ちてくることがあるので、下に受け皿のようなものを用意してから行ってください。
コラムにはリング状のヘッドパーツがいくつか付いていますが、その一番下にがっちりと圧入されているのが「下ワン」というものです。
メンテナンスの際は関係ありませんが、交換時は下ワンの脱着が必要です。
しかし、これには専用工具が必要ですし、新しいフロントフォークのコラムは長いままなので、サイズに合わせてカットしなければいけません。
そういったことからも今回は、交換をお店に任せることを推奨させていただきました。
メンテナンスは外したリング状のパーツ類とベアリングの清掃、「グリス」と呼ばれる粘度の高い潤滑油をベアリングに挿します。
なお、サスペンションは分解するのが難しいので、2~3年に1回お店でオーバーホールとして、サスの状態を見てもらっています。
交換は滅多にないがメンテナンスは定期的に
今回はmtbのフロントフォークの交換についてお話しました。
交換は作業に手間が掛かる上に、専用工具も必要です。
工具は文字通り専用で他に用途がない上に割と高額ですから、それならお店に任せてしまった方が良いです。
ただし、定期的なメンテナンスは必要なので、フォーク周りの分解手順は覚えておきましょう。