クロスバイクはスポーツバイクの中でも価格が手ごろで、入門編的存在でもあります。
しかし最近は、クロスバイクにも本格志向のものが増えており、スペシャライズドのシラスなどにはフルカーボンの機種もあります。
このように本格的になってくると価格も気になるところですので、今回はスペシャライズドのシラスを通じて、クロスバイクの価格を検証します。
クロスバイクは価格帯が上がってきている
クロスバイクはロードバイクやMTBとは違いレースを想定してされていない分、自由度が高いスポーツバイクです。
ママチャリのように泥除けやキャリアが最初から付属していたり、MTBさながらのサスペンションが搭載されている機種もあります。
また、ハンドルをドロップにすればロードバイクと全く遜色ないものまでありますので、制約を受けないという意味で幅広いラインナップが可能なんですね。
普段使いの自転車がママチャリくらいしかなかった時代に、もう少しスピードが欲しい、MTBで街を走りたい、というコンセプトから生まれています。
そのため、どちらかと言うとMTB寄りや街乗りに特化した機種が多かったのですが、最近は様変わりしてきました。
一つには冒頭でも触れたスペシャライズド「シラス」に代表される、カーボンフレームのような本格志向が取り入れられたこと。
そして、スピードに特化した仕様が増えてきていること、さらにディスクブレーキ搭載車が急増している点です。
これらは同時にクロスバイクの機能が充実していることも表しており、平均的に価格が上がっているのも否めません。
スペシャライズド「シラス」の価格
それでは、クロスバイクの相場を確認する意味でも、まずはスペシャライズド「シラス」の価格を確認してみましょう。
スペシャライズドのクロスバイクは2018年モデルから、シラスシリーズに集約されました。
中でも目立つのがディスクブレーキ搭載車で、全7機種の内、5機種がそれに当たります。
Vブレーキ仕様の2機種が従来のスタンダードなクロスバイクのタイプで、価格も約5.9万円なので手ごろと言えるところです。
他に10万円を切っているのが「Sport」の名が冠された2機種で、男性用、女性用があります。
8.2万円という価格の判断はのちほどさせていただくとして、ディスクブレーキにカーボンフォークは、今の機能充実の傾向通りです。
もう一つグレードが上がり「Elite」になりますと女性専用モデルのみですが、価格が10万円を超えてきます。
ここまでがアルミフレームであり、その上のグレードはカーボン製になります。
カーボンフレーム車は「Pro」が29.7万円、「Elite」が15.1万円、共にクロスバイクでは破格と言って差し支えない価格帯です。
スペシャライズドのシラスで価格が最も安いモデル
前項ではスペシャライズドのクロスバイク、「シラス」シリーズの価格を確認しました。
価格帯に大きく差がありますが、広いユーザー層に訴えかけるラインナップではあります。
まず、最も安価なモデルは「Sirrus Alloy – V-Brake」で、特徴を製品名が物語ってくれている分かりやすいモデルです。
Alloyというはアルミのことですから、ひと目でアルミフレームのVブレーキ仕様のクロスバイク、ということが分かります。
名の通ったスポーツバイクメーカーでは5万円台が最安値なことが多く、ギリギリではありますが、そのラインをクリアしています。
フロント3速、リア7速のギア構成、スチール製のフロントフォークにVブレーキは、従来型のクロスバイクの基本仕様です。
ここから、フォークをカーボン製にしたり、ブレーキをディスクブレーキにするのが、上位モデルということになります。
そして、この基本モデルは、クロスバイクとしては必要十分な機能を保持しており、スポーツバイクの入門機としては過不足のないものです。
スペシャライズド・シラスシリーズのエース!
前項でご紹介したモデルが、スペシャライズドのシラスシリーズの基本になります。
そして、ここで詳細をお伝えするモデルが、スペシャライズドのクロスバイクの「エース」的存在です。
それが「Sirrus Sport」ですが、フロントフォークがカーボン製になり、ロードバイク並みの重いギアを持ち、ディスクブレーキ搭載となります。
価格は先述した通り8万円台前半で、装備からすれば相応と考えてよく、他メーカーのディスクブレーキ車と比較しても同程度です。
カーボン製のフロントフォークは地面からの衝撃を吸収してくれますので、長時間乗っていても身体に疲労が蓄積されづらくなっています。
また、ギアはスピードが期待できる構成ですし、ディスクブレーキは天候や路面状況に左右されない制動力があります。
そのため、このモデルはクロスバイクを生活の足としてだけではなく、スポーツや趣味に使うものとして考えると、価値が高いですね。
10万円前後の価格!他のジャンルの自転車がライバル
前項でご紹介したモデルは価格面からすると、別ジャンルの自転車も視野に入ってきます。
スペシャライズドには8万円以下のMTBがありますし、ロードバイクでも10万円以下の機種があります。
そのため、シラスの購入を考えている方で、「将来レースに出たい」「自転車で山に入りたい」など明確な目標があるのなら、そちらを考えてもよいでしょう。
と言うのも、シラスはここからグレードが上がりますと、価格が跳ね上がってきますので、中々クロスバイク同士での比較は通用しなくなってきます。
価格は先ほどお伝えしましたが、ハイエンドモデルの「Pro」などは、ロードバイクでもミドルクラス程度の金額です。
そうなるとさすがにクロスバイクを求めるユーザーとはかけ離れてしまいますし、実際に使用されているパーツや投入されている技術は、ロードバイクそのものです。
それこそ、ハンドルをドロップに交換すればレースにも参加できるようなスペックですので、ロードバイクと考えても差し支えないでしょう。
スペシャライズドのクロスバイクに対する考え方
スペシャライズドはプロのレースで輝かしい成績を収めているレーシングメーカーですので、平均的に自転車の価格は高めと言えます。
その中でクロスバイクをどう展開していくのかが考えられているはずですが、2018年モデルで出した答えは、シラスへの集約とグレードの二極化だったと推測されます。
2017年には「アリバイ」というクロスバイクがあり、かなり面白い構成で、生活に密着しているかのような仕様のモデルでした。
そういったモデルをラインナップから外し、販売当初からスポーツ性の強かったシラスに集約させたのが、スペシャライズドのクロスバイクに対する考え方なのでしょう。
また、今回ご紹介してきたように、とことんまで突き詰めてロードバイク化した機種と従来型のモデルを共存させ、ハッキリと二極化させる狙いも、あったかと思います。
ロードバイクもMTBも同じジャンル内で100万円近い価格差があるので、それに比べれば目立ちませんが、これだけ明確にしているのも珍しいことです。
シラスは装備から自分に適した一台を見付ける
今回はスペシャライズドのクロスバイク、「シラス」シリーズの価格を確認しました。
ラインナップがシラスに集約されたこともあり、かなり幅広い価格帯になりました。
近年のクロスバイクを象徴する機能充実の機種から、従来型のVブレーキ仕様まで、用途と熟練度によって決められるバランスになっています。
自分にとってどこまでの装備が必要なのかを考えると、分かりやすいかもしれません。