自転車のブレーキ音に悩まされている方が多いことと思いますが、原因が多岐に渡っているため、特定が難しいのが最初のハードルです。
また、特定できたとしても、それが直すことができる不具合とも限らず、構造上の問題である可能性もあります。
今回はブレーキ音に関してできる限り多くの情報を取り上げてみますので、参考にしていただければ幸いです。
自転車の種類によってはブレーキ音を直すことができない!?
まず、自転車のブレーキ音と言えば「キーィ」「ギーィ」という断末魔の叫びのような不快な音を想像されると思いますが、あれはママチャリの後輪から発生することが多いです。
バンドブレーキがその原因ですが、これは回転するドラムをゴムのバンドで締め付けるという制動方式で、構造上音が鳴ってしまうものです。
ただし、時の運みたいなところがあり、バンドブレーキでも鳴きの症状がでないものもあります。
音が鳴ったらドラムを研磨するなどの応急処置で一時的にしのげる可能性はありますが、根本的に直す方法はないので、別のブレーキに交換するしかありません。
そのため、今のママチャリの購入に際しての論調は、「最初からバンドブレーキ以外のブレーキを装備している物を選ぶべき」となっています。
経験をされた方はお分かりと思いますが、本当にあの音は我慢できるレベルではないですし、周囲にはばかられることもあるので、この論調に筆者も同意します。
自転車の異音はブレーキ音だけではない!特定しよう
前項でお話したバンドブレーキの音ほどではないですが、「キーン」や「キュッ」という金切音のようなものも自転車には多く発生します。
ただし、この音はブレーキ音とは限らず、多くの金属を使用している自転車では、どこからでも鳴る可能性があります。
そのため、まずはブレーキから鳴っているのかどうかを確かめる必要があります。
ゆっくりとした速度で走行し、片方づつレバーを握った時に金切音がするようであれば、ブレーキが原因となります。
左右のレバーを同時に引くと、前後どちらのブレーキからの音かが特定できないので、必ず片方づつ確かめてください。
自転車のブレーキの仕組みは、車輪の外周部分である「リム」にゴム製の「ブレーキシュー」を挟み付けて回転を止めるというものです。
そのため、金切音が鳴るとすれば、それはリムやシューに原因があるはずですので、次項で直す方法も含めてご説明します。
自転車のブレーキシューと車輪のリムを確認
前項でお話した金切音のような自転車のブレーキ音ですが、リムが汚れていたり傷がついていたりすると発生することがあります。
また、ブレーキシューは地面との距離が近いので、金属片や小石などの異物が刺さりやすく、それがリムに当たる際に音を発生させている可能性があります。
したがって、直す方法としては、リムの清掃、研磨、ブレーキシューからの異物の排除となります。
また、ブレーキシューの全面が一気にベタッとリムにくっ付く状態ですと、音がしやすいということがあります。
特にクロスバイクの「Vブレーキ」で発生することが多いのですが、意識的にシューがリムに付くタイミングをずらしてあげることで、音が解消する場合があります。
図解や動画で見た方が分かりやすいので、詳しくは「トーイン調整」で検索してみてください。
自転車のブレーキ音を直すには車輪の「振れ」を確認!
次の自転車から発生するブレーキ音は、ブレーキを掛けた時に限らず、常時鳴っている音です。
「シュッシュッ」という音がする場合は、前項でお話したブレーキシューが常に車輪に当たっており、擦れて発生している音の可能性があります。
しかし、この音こそ車輪に付属しているパーツであれば全てに可能性があるので、音だけでは特定は難しいです。
これは目視で確認するしかなく、シューと車輪のリムの間隔が1㎜以下に狭まっているようであれば、常時擦れていてもおかしくありません。
また、左右の間隔は均等でなければなりませんが、何らかの問題で片側だけ間隔がおかしくなる「片効き」という状態も、結構頻繁に起こります。
この場合は、車輪が走行中の衝撃や経年劣化の影響で歪んでしまっている可能性があります。
車輪を空転させた時に、ブレーキシューとの間隔が一定ではない部分がある、または車輪の回転が全体的に波打ったように見える場合は歪んでいる可能性が高いです。
これを「振れ」といいますが、直すには知識と経験が必要ですし、専用の工具もいります。
そのため、振れが出ている場合は自転車を購入したお店に調整を依頼するのが賢明です。
ブレーキシューが正しく取り付けられているかも関係
前項では自転車の車輪の「振れ」によって、ブレーキシューとリムが接触しているブレーキ音のお話でした。
ただし、もちろん振れが出ていない可能性もありますので、別の原因もあり得ます。
そのため、車輪に振れが確認できない場合は、ブレーキシューが正しい位置に取り付けられているかどうかを確認します。
リムの上端から1~2㎜下がったところにシューの上端がきていて、なおかつシューがリムからはみ出さない位置が適正です。
その位置に来ていない場合は、シューの固定を緩めブレーキレバーを握ると位置がリセットされ地面と平行になりますので、その状態で適性位置に持ってきます。
その後で、ブレーキの効き方を直すわけですが、ブレーキ本体とワイヤーが繋がれている部分にあるアジャスターで調整します。
ブレーキの種類によってはレバーに付属している場合もあるので、確認をしてから行ってください。
このアジャスターはワイヤーの張りを調整するもので、ワイヤーを緩めればブレーキシューと車輪のリムの間隔が広がります。
ワイヤーを緩めるには、アジャスターを上から見て時計回りに回します。
ただし、ワイヤーを緩めすぎるとブレーキの効きが極端に弱くなりますので、シューとリムの間隔が2~3㎜離れた段階で止めてください。
レバーからのブレーキ音を直すには?
次にご紹介する自転車のブレーキ音は、レバーを握った時に発生する音です。
握った時に重いような動きの鈍さを感じるとともに、「ぎゅぎゅっ」という渋い音が鳴ることがあります。
ブレーキレバーはワイヤーによって本体と繋がっていますが、ワイヤーは金属線の集まりなので、水分が付着して錆びてしまうことがあります。
また、ワイヤーは金属線が剥き出しになっているわけではなく、その上から樹脂製のアウターで覆っている構造になっています。
そこで、動きを滑らかにするためにアウター内には潤滑油が塗られていますが、これがなくなることによって動きが鈍くなり、上記のような渋い音がすると考えられます。
したがって、この音を直すには一度金属製のインナーワイヤーを確認しなければなりませんし、「グリス」という粘度の高い潤滑油も必要になります。
慣れれば作業は難しくないですが、一回ワイヤーを外して、また組み直してからブレーキの調整ですから、手間は掛かります。
ブレーキは何せ命に関わる部分ですから、最初はショップに依頼した方が賢明でしょう。
ブレーキ音はトラブル発生と心得る
今回は自転車のブレーキ音について、いくつかの事例をご紹介しました。
構造上の問題である場合を除き、ブレーキは日々の小まめなメンテナンスによりブレーキ音の発生を防ぐことができる可能性があります。
ブレーキは自転車の動きを制御する唯一のパーツですから、命を預けていると言っても過言ではなく、効き具合を常に敏感に感じ取らなくてはいけません。