ロードバイクのタイヤは、走行中のトラブルを考えると命に関わりかねませんので、安全性や機能性を重視して考えるのは当然です。
それが担保された上でなら、おしゃれを考えても良いのかと思います。
しかし、機能とビジュアルをバランスよく両立できるタイヤがあるのでしょうか?
今回はそんなタイヤのおしゃれについての話です。
ロードバイクのタイヤをおしゃれにするには?
ロードバイクはレース機材としてのイメージが強いからか、「おしゃれ」とは縁がないように思われる人も多いでしょう。
しかし、ガチンコ勝負のレースの世界であればまだしも、ロードバイクは嗜好品という趣も強いので、見た目も重要な要素です。
どんなに性能が良く速く走れるバイクだとしても、見た目が気に入らないと満足感は薄れてしまいます。
自分で見て楽しむという他にも、言葉はあまり良くないかもしれませんが、人に自慢したくなるようなビジュアルでなければ、早めに手放すことにもなりかねません。
そのため、私はロードバイクを始めようとする知人には、色や形が気に入ったら優先して良いんじゃないかと伝えています。
車体はもちろんですが、それはパーツにも当てはまることで、特に投影面積の大きいホイールやタイヤはおしゃれも考えたい部分です。
タイヤのおしゃれは、カラータイヤやサイドにカラーラインが入っていたりする、挿し色が主になります。
ただし、カラータイヤは危険性が指摘されていたりもするので、確認してみましょう。
ロードバイクのタイヤが黒いのはなぜ?
さて、ここからはタイヤのおしゃれにカラータイヤはどうかという話になります。
ロードバイクなどの自転車に限らず、車輪で動く乗りもののタイヤは黒が圧倒的に多いです。
それもそのはずで、自動車やオートバイは黒いタイヤ以外の使用が法律で禁止されています。
法律で禁じるくらいですから、もちろん見た目だけの問題ではありません。
タイヤは人為的に黒に着色されているのではなく、黒く”なる”のです。
タイヤは滑ることが致命的ですので、表面のゴム(トレッド)に滑らない加工をする必要があります。
タイヤが滑らないようにするためには、地面をつかむ力である「グリップ力」を高めることになります。
そのため、タイヤは製造の段階で、ゴムに「カーボンブラック」という炭素系の物質を混ぜてグリップ力を高めます。
このカーボンブラックを混ぜると、ゴムが必然的に黒くなります。
そのため、カラータイヤは黒くできない=カーボンブラックが使えない=グリップ力が弱いという図式が成り立つとされ、危険性が指摘されてきたのです。
カラータイヤの技術は革新している!
以前のロードバイク用のカラータイヤは、「滑りやすい」、「パンクしやすい」などの悪評が多かったことは確かです。
ただしそれは、作り手側が質の良いカラータイヤを、作れない事情があったと考えられます。
カラータイヤで黒タイヤ並みのグリップ力を出すためには、カーボンブラックに匹敵するような物質を使用する必要があります。
しかし、そうなると以前の技術力ではコストが掛かり過ぎて、自転車用タイヤの市場価格にそぐわなくなってしまいました。
そのため、グリップ力の強化がままならず、悪評を受けるようなタイヤしか出回らなくなったと聞いています。
そう言われてみると、以前は確かにカラータイヤといえば、妙に安価なものが多かったと記憶しています。
ところが、現在は技術が革新しており、質の高いカラータイヤもあります。
有名メーカーも種類は少ないですが、ラインナップしていますし、レースで使用する選手がいるのもその証拠でしょう。
性能面では着色したからといって何が変わるわけではありませんが、安全を担保した上でおしゃれが楽しめるのは良い傾向ですね。
レースタイヤのメーカーがタイヤにおしゃれをしている!
イタリアの「ヴェロフレックス」というメーカーの「マスター」そして「コルサ」は、非常に美しいカラータイヤとして有名です。
黒一色もありますので、厳密に言えばカラーバリエーションとして赤や青があるということです。
そして、私が今回この記事を書くきっかけになったのは、知人が赤色の「マスター」をつい最近購入したからです。
ヴェロフレックスのロードバイク用の主力タイヤは「チューブラー」で、レースタイヤとして名を馳せているメーカーです。
そのため、ホビーライダーの私には縁遠いと思って、今まで注目していませんでした。
ところが、先日その知人が真っ赤なタイヤを装着してツーリングをしているのを見て、そのおしゃれ感に心を奪われました。
しかも、知人は某有名メーカーのミドルグレードの黒タイヤからの履き替えでしたが、むしろグリップ力が強くなったとさえ話していました。
個人の使用感なので鵜呑みにはできませんが、彼は私と違ってレースにも参加するライダーなので信用して良いと思っています。
耐久性は知人の使用期間が短いので分かりませんが、カラータイヤ=レベルが低いという固定観念は打ち砕かれるタイヤとみて良いでしょう。
ロードバイクのタイヤにさりげないおしゃれをするなら
おしゃれという観点からすると、トレッド全体が着色されていると派手すぎて敬遠する方もいると思います。
そういった方には、挿し色的にカラーラインが入っているロードバイクタイヤをおすすめします。
サイドラインで代表的なメーカーは「ミシュラン」です。
世界中のレストランを評価して星を付けることでも有名な、フランスのタイヤメーカーです。
私がおすすめする理由は、ミシュランのタイヤのサイドラインは、とてもきれいに着色されているからです。
質の低いタイヤですと色がくすんでいたり、最初から少し剥げていたりしますが、ミシュランは抜かりなく良い仕事をしているという感じです。
そして、国産タイヤメーカーの雄「パナレーサー」も、サイドライン入りのタイヤが多いです。
パナレーサーはトレッド全体を着色しているタイヤも他のメーカーに比べると多く、以前からカラータイヤに積極的です。
カラーバリエーションも豊富なので、ボディーカラーとの相性で選ぶことができます。
ロードバイクのタイヤ選びのポイント
今回はロードバイクのタイヤを「おしゃれ」という視点で見てきましたが、もちろんそれだけで決めて良いものではありません。
そこで、最後にロードバイクのタイヤの選び方について、お話しておきたいと思います。
タイヤ選びのポイントは、自分がロードバイクにどう乗るか=用途に尽きます。
自分がタイヤに求めるものといっても良いかもしれません。
それによって「性質」や「太さ」を選択していきます。
一例を挙げれば、ツーリングや通勤で長時間走ることが多い場合は、疲労感を残さないように、衝撃吸収性(クッション性)が欲しいです。
また、少ない力でスピードを維持したいので、ある程度太くて重量のあるタイヤが適しています。
そして、無視できないのは「価格」です。
これは独断と偏見も入りますが、ロードバイクのタイヤは「安かろう悪かろう」と考えられます。
それは、安価なタイヤはコストを掛けらないので、何かを犠牲にしています。
極端に表現すれば、「良く転がるけどパンクしやすい」「長持ちするけど重い」などのイメージです。
そのため、ロードバイクのタイヤは、高価なものほどおすすめ度が上がります。
高価と言ってもタイヤは、1本5,000円で十分にハイグレードなものに手が届きます。
これも少々極論ですが、2,500円のタイヤが1年で履き潰れるのと、5,000円のタイヤが2年持つのは同じことです。
ですから、なるべくグレードの高いものを選んだ方が長期的にはコスパが高いとも考えられるのです。
タイヤでおしゃれするのはまず安全性を考えてから
今回は、ロードバイクのタイヤを「おしゃれ」目線で考えてみました。
やはり色を入れるのが最大のおしゃれと思いますが、今はカラータイヤの質がだいぶ上がってきています。
黒タイヤより優れているとまでは言えませんが、少なくとも劣っているとは考えなくて良いでしょう。
ただし、質の低いものは黒タイヤでもカラーでも危険度は変わりませんので、安全第一で選択するのが基本です。