スペシャライズドは、バイクを身体にフィットさせるということに重きをおいています。
そのため、サドルにもとても強いこだわりを持っており、他メーカーのロードバイクユーザーも率先して使用するほど、高性能なものが揃っています。
今回はその中でもレース色の濃い「Romin EVO(ローミン エヴォ)」を中心に、スペシャライズドのサドルを検証していきます。
スペシャライズドの「ローミンEVO」はトッププロが愛用しているサドル
スペシャライズドのロードバイク用サドルは、「Power(パワー)」「Toupé(トゥーペ)」「Romin EVO(ローミン エヴォ)」この3種が柱になります。
スロバキアの英雄「ペテル・サガン」が、2017年のツール・ド・フランスで使用したのはスペシャライズドのロードバイク「ターマック」です。
そして、そこに組み合わせられていたサドルが、今回のテーマである「ローミン EVO」です。
ローミンEVOはプロ仕様の「S-Works」モデルが135g前後という軽量で、サガンの他に世界一のスプリンターの呼び声が高い、「マルセル・キッテル」も愛用しています。
多くのトッププロに認められるモデルだけあって前傾姿勢が取りやすいので、スプリントやタイムトライアルなどの、短距離での加速力比べに向くサドルです。
2017年までは姉妹品的な扱いだった「ローミン」もラインナップされていましたが、2018年モデルからはEVOのみとなりました。
両者の詳しい比較は後述しますが、EVOの方がやや快適性が高いといったところです。
スペシャライズド「ローミンEVO」の特徴
今回は、スペシャライズドのサドル「ローミンEVO」についてお話していきます。
ローミンEVOは、座面がカーブをしていて後ろが少し盛り上がり気味なので、お尻の位置を固定しやすくなっています。
固定を嫌う方もいらっしゃいますので、必ずしもメリットとは言い切れませんが、骨盤を安定させてしっかりとペダリングしたい方にはよいサドルでしょう。
固定しやすいのと同時に、割と標準的な形をしていて、開いている穴の面積も同じスペシャライズドの「パワー」シリーズに比べれば小さいので、座る位置を変えやすくなっています。
固定もできますし、座面上での移動も自由が効くので、乗りやすいというところはクリアできるはずです。
また、ノーズ(先端部分)が短めになっているので前傾姿勢を取りやすく、前方の溝が大きいのでデリケートゾーンの圧迫を防いでくれます。
このようなことからも、ローミンEVOは前傾姿勢を取りながらしっかりペダリングができるということで、やはりレース向きと判断できます。
ローミンEVOの「パッテイングレベル」は適度
スペシャライズドのサドルには「パッティングレベル」という、座面のパッドの厚みを表す数値があります。
ロードバイク用は概ね1~3までで、数字が小さいとパッドが薄くなり大きいと厚くなります。
同じ種類のサドルでも、グレードによって厚みが違いますので、自分の好みで選ぶことができます。
ローミンEVOは2018年モデルは2種類ですが、両方ともパッテイングレベルは「2」です。
標準的な厚さなので、フィット感を保ちつつ、適度にクッション性を持たせてバランスの取れたタイプです。
2017年までラインナップされていた「ローミン」はレベル「1」で、よりお尻とのフィット感が重視されていました。
その分少し地面からの突き上げを直接的に感じ、ハードな乗り心地になることは否めませんでした。
スペシャライズドも謳っていましたが、ローミンは短距離のタイムトライアル(TT)向き、EVOは少し距離が伸びるトライアスロン向きとされていました。
ただ、スペシャライズドには「Sitero(シテロ)」という、TT向きのサドルがありますので、短距離向きのローミンはいらないという判断になったのかもしれません。
スペシャライズド「ローミンEVO」のインプレから見えるメリット
今回の記事に当たりローミンEVOのインプレをいくつか確認しましたが、レーシングパンツが引っ掛からないことをメリットに挙げている方が多いですね。
これは先ほども触れましたが、先端が短くなっているのと、下がり気味になっていることがその要因です。
ダンシング(立ち漕ぎ)から座り漕ぎに戻る時にレーパンが引っ掛かるのは、思ったよりもストレスに感じることです。
これは「Power」シリーズが発売になった時にも、頻繁に取り上げれていたことなので、スペシャライズド全体がこの改善に取り組む流れなのでしょう。
それに伴っての話ですと、ダンシングはヒルクライムで多用される乗り方なので、ヒルクライムでのメリットも多く報告されています。
傾斜が掛かると後ろ体重になりますから、後方がせり上がっているローミンEVOは、上り坂ですと水平に近くなって座りが安定します。
それによって座り漕ぎでも安定したペダリングが可能になるので、キツイ傾斜もダンシングを多用することなく登れるということです。
特に「S-Works」モデルは軽量ですから、よりヒルクライム向きと言えるでしょう。
スペシャライズドのサドルのサイズ選びはお店で坐骨幅を測ってもらって決める
スペシャライズドのサドルは座面の幅(サイズ)を選ぶことができますので、それに伴って多くの正規取扱い店では坐骨幅の測定をしてくれます。
アス・オー・メーターというクッションに座るだけで、左右の坐骨間の幅を測ることができます。
坐骨はお尻の骨で一番出っ張っている部分なので、サドルの幅があっていないとお尻が痛くなります。
ローミンEVOには、サイズが143㎜と155㎜の二通りありますので、ぜひお店で坐骨の幅を測ってから選んで頂きたいと思います。
お店で坐骨幅を測ってもらえば、それと同時に自分の乗り方にあったサドルも紹介してくれます。
一目瞭然ではありますが、同じスペシャライズドでもパワーとローミンEVOでは長さや幅が全く違います。
したがって、自分だけでは難しい部分もありますので、やはりお店に相談するのが賢明です。
ローミンEVOには「S-Works」と「Expert」があるがどちらを選ぶか?
スペシャライズドのローミンEVOにはプロ仕様の「S-Works」モデルと、一般モデルの「Expert」があります。
共にパッテイングレベルは「2」ですが、メイン素材がカーボンのS-Worksは正直硬いので、お尻が痛くなるのが早いという報告が多いです。
先述しましたが、短距離向けの「ローミン」から派生したので、乗り心地は多少犠牲になっている部分もあります。
その分、軽量ではありますので、レースで勝利を目指す方は値段も張りますが、S-Worksモデルをおすすめします。
一方Expertは、ポリウレタンがベースでシェルの中にゲルもインサートされているので、全体的に柔らかめの仕上がりになっています。
柔らかいからと言って、まったくお尻が痛くならないというわけにはいきませんが、衝撃吸収性はこちらの方が高いので、長い時間耐えられるのはExpertです。
しかも、Expertには座面幅168㎜というサイズがありますので、一般的に男性より骨盤が広いとされている女性にも合わせやすいはずです。
ローミンEVOは用途によってモデルを選べる!
今回は、スペシャライズドのサドル「ローミンEVO」についてお話しました。
トッププロも愛用するレースモデルで、前傾姿勢を取った際に仕事がしやすい仕様になっています。
より速く走りたいのであればプロも使用している「S-works」、長い距離を楽しんで走るなら「Expert」という選択になります。
そして、サイズ合わせは一度スペシャライズドのお店で坐骨幅を測ってもらうとよいでしょう。