スペシャライズドの「ルーベ」は、その名の由来でもある石畳レース「パリ~ルーベ」を複数回制覇するなど輝かしい戦績を残しています。
スペシャライズドを代表する機種の一つなので当然プロ仕様だけではなく、ホビーライダーの評価も高いです。
そして、2017年に革新的な技術を備えて、フルモデルチェンジを果たしました。
今回はそんなルーベのお話ですので、これからルーベを購入する方の参考になれば幸いです。
スペシャライズド「ルーベ」の由来「パリ~ルーベ」とは?
スペシャライズドの「ルーベ」は、「エンデュランスモデル」というカテゴリーのロードバイクです。
路面からの突き上げなどの衝撃を吸収して、快適性や乗り心地を重視しています。
また、あまり深い前傾姿勢にならず、上体が起き気味で楽な姿勢で乗車することができますので、長距離を走るロングライド向きと評価されることも多いです。
冒頭でもお話したように、名前の由来となった「パリ~ルーベ」は、全長260㎞にも渡るコースの中に、石畳が敷き詰められたセクションが30弱もある異質な競技です。
ヨーロッパのワンデーレースの中で最も格式があり、「クラシックの女王」という優雅な異名でも知られています。
一方、落車が相次ぎ毎年ケガ人が続出するように、あまりにも過酷なサバイバルレースになることが多く「北の地獄」という異名もあります。
そういった厳しい条件のレースを勝ち抜くために開発され、試行錯誤を繰り返してきたのがエンデュランスモデルです。
2018年、ロードレース界の生ける伝説とも言われる「ペテル・サガン」が、本人の念願であったパリ~ルーベを制しました。
そして、その愛機が2017年にモデルチェンジを果たした「ルーベ」でした。
スペシャライズド「ルーベ」の評価をさらに高めた「フューチャーショック」
スペシャライズドの「ルーベ」は、2017年にフルモデルチェンジをしています。
その目玉は何と言っても、独自の衝撃吸収システム「FUTURE SHOCK(フューチャーショック)」です。
フロントフォークのコラムの中に20㎜のトラベル量(沈み量)を持つサスペンションが組み込まれており、地面からの衝撃を緩和してくれます。
サスペンションと聞くとMTBが思い出されますが、MTB用は100㎜~150㎜程のトラベル量があるので、それとは明らかに違うものです。
ロードバイクは舗装路を走る想定ですから、衝撃吸収はカーボン製のフレームやフォーク、タイヤで十分賄えるものなので、サスペンションは必要ありません。
しかし、ルーベは先述通り石畳の上を走り、しかもただ走るだけではなく競争するためのバイクですから、この20㎜が大きく効いてくるのです。
さらに、サスペンションフォークと違い、フューチャーショックは重量わずか200g程度なので、重量増も気にならないでしょう。
もちろん、石畳のような過酷な条件は万人が経験するものではないかもしれませんが、それでも細かい振動が、まるでボディーブローのように響いてくるのがロードバイクの性です。
そのため、衝撃吸収性に優れていることに越したことはなく、ルーベのフューチャーショックはその点で非常に高い評価を受けています。
スペシャライズド「ルーベ」の衝撃吸収性の高さはサドルにもある
スペシャライズドの新「ルーベ」の目玉「フューチャーショック」は、100万円を超える「S-Works」モデルに搭載されている技術ながら、20万円前半の最廉価モデルにも搭載されています。
いわゆる、ペテル・サガンのようなトッププロが乗る機種と同じ効果が、格安で味わえるということになります。
20万円台のものを格安と言えるかは微妙ですが、グレードを問わない姿勢は高い評価を受けてよいでしょう。
また、フューチャーショックにばかり目が行きがちですが、リアの衝撃吸収も当然考慮されています。
サドルが最大20度までしなる構造になっているので、お尻への突き上げを上手くいなしてくれます。
衝撃吸収性にも長けた構造なので、乗り心地はマイルドになっています。
なお、この技術は特別仕様なので、ミドルグレード以上の機種にしか搭載されていません。
ルーベでレースに勝ちたいなら上位グレードを
スペシャライズドのルーべはブランドを代表するモデルのため、プロが使用するS-Worksから、ノーマルモデルまで全てのグレードが用意されています。
ルーベに限りませんが、S-Worksモデルは全てが最高級でありレースに勝つための仕様なので、完成車では100万円を超えるものばかりです。
したがって、一般ユーザーの評価対象にはなりづらいので、最初は車体のロゴが「SPECIALIZED」であるノーマルモデルを検討することになります。
最上位モデルの「Expert」は、シマノのセカンドグレードコンポ「アルテグラ」の電動式変速に、1500g台のホイールという組み合わせです。
プロレーサーが選ぶかと言われれば微妙ですが、S-Worksの技術はふんだんに盛り込まれていますので、もちろんこのままでもロングライドのレースに参加できるスペックです。
さすがに50万円以上しますのでおすすめとまでは言えませんが、レースに勝ちたいのであれば、これでしょう。
ルーベのミドルグレード「Comp」「Elite」の評価は?
前項でご紹介したスペシャライズド・ルーベの「Expert」は、少しハードルが高すぎる印象なので、その次のグレードも視野に入れてみましょう。
「Comp」はコンポがアルテグラの機械式変速になり、カセットスプロケットが105仕様になります。
また、クランクがシマノ製から「プラクシスワークス」製になり、ホイールのハブが上位モデルよりもグレードダウンします。
しかし、ルーべの意味である衝撃吸収性や安定感は上位グレードと全く変わらないものであり、レース志向のない方であれば、選ぶうえで全く引けを取りません。
まして、クランクなどは主要コンポメーカー以外の「サードパーティ」の中では、相当高い評価を受けているプラクシスワークス製ですから、気にする必要はありません。
これでExpertよりも15万円以上価格が下がりますので、お得感は十分にあります。
ひとつ下のグレードである「Elite」はコンポが105、ホイールのグレードがワンランクダウンします。
それでもCompよりも約4万円下がるだけですので、ミドルグレードであれば断然Compのお得感が強いということになります。
ルーベは最廉価モデルの評価も高い
スペシャライズドのルーベはミドルグレードとエントリーグレードの間には、スペック上では大きな違いがあります。
エントリーグレードの「Sport」は、カーボン素材が上位グレードよりもワンランク下がり、ホイールのグレードが一気にダウンして重量が増します。
また、先述しましたが、サドルがノーマル仕様になります。
ブレーキもシマノ製ではないので少し不安もあるところに持ってきて、価格もCompより約10万円下がる程度なので、コスパに疑問が残ります。
それならば、最廉価モデルである「Roubaix DISC」の方が、筆者個人的にはおすすめです。
基本的な仕様はSportと変わらず、コンポがリア10速のシマノ・ティアグラになります。
レースに参加するのであれば10速と11速の差は大きいですが、趣味の走りの中で最初からその1速に差を感じることは少ないです。
しかも、ティアグラは2015年のモデルチェンジによって、性能が飛躍的に向上したという評価があります。
現在は10万円台で購入できるカーボンフレームの完成車も増えてきましたので、20万円前半という価格は決して安いと言えるわけではありません。
しかし、フューチャーショック搭載を考えれば、コスパでは負けていません。
新ルーベの売りは何と言っても「フューチャーショック」
今回は、スペシャライズドのエンデュランスモデル「ルーベ」のお話をしました。
2017年のモデルチェンジ後もレースで結果を残し続けていますので、評価の高さは相変わらずです。
フューチャーショックは可動域が小さい分、乗り心地の好き嫌いが出にくいので、万人に受け入れられやすい機能です。
そのため、全モデルに搭載されており、ルーベの大きな売りになっています。
今回はグレード別にご紹介しましたが、コスパに差があるように感じますので、十分に検討して納得のいくものを選んでください。