自転車のブレーキは、どんな物でも「異音」が避けられない宿命なのかもしれません。
筆者も何度もブレーキの「鳴き」に泣かされてきましたし、その都度鳴き止めに四苦八苦してきました。
ディスクブレーキなどはリムブレーキに比べ、鳴きの原因も多岐に渡りますから、悩んでいる方も多いかと思います。
そこで今回は、ディスクブレーキの鳴き止め方法について考えていきます。
自転車のディスクブレーキの鳴き止めはここから始める
自転車のディスクブレーキですが、ハブに装着したローターをブレーキパッドで挟み付けて回転を止める、という仕組みです。
そのため、鳴きの原因となるのはローターかパッドである可能性が高いです。
まず、鳴きが起こった時に最初に確認しておくといいのは、パッドとローターが平行になっているかどうかです。
ここがずれてしまっていると擦れて音が出ることもあります。
また、それとあわせてローターを取り付けてあるハブの軸が、あるべき位置に収まっているかどうかも確認して下さい。
これはあまりにも簡易的な作業過ぎて、最近は「ディスクブレーキ・鳴き止め」で検索しても後に追いやられて中々ヒットしないのです。
したがって、基本事項でありながら忘れがちな点なので、最初に確認しておくとよいでしょう。
また、ブレーキパッドを少し奥に押し込むと、つめがブレーキに当たって鳴きが治まった、という事例を聞いたことがありますので、同時に確認してみましょう。
自転車のディスクブレーキの鳴き止めで効果が認められている方法
次にご紹介する自転車のディスクブレーキの鳴き止め方法は、ブレーキパッドの加工です。
まずはパッドの表面の進行方向の角を金属用のヤスリで削り落として、面出しをします。
その後に100番程度の目の粗い紙やすりで、全体を擦ります。
これを左右のパッドとも行ったら、さらなる面取りとしてパッドどうしを何度か揉み合わせます。
これによって細かい異物の除去もできますので、揉み合わせは必ず行ってみてください。
ポイントは、粗めの目のヤスリで表面をざらつかせることにあるので、細かい目の物で慣らすという感覚では、逆効果です。
さらに、筆者の知り合いはパッドの中央に溝を入れて、パッドの削れカスを逃がすように加工している人もいます。
これは筆者も気になったので調べてみたところ、科学的には共鳴を減らす効果があるそうなので、鳴き止めになるかもしれません。
あまり深く溝を掘ってしまうと寿命が縮まるので、軽く削る程度の深さにしてください。
自転車のディスクブレーキの鳴き止めには耐熱性のあるグリスを使用
パッドは面取りをして、揉み合わせをしたら反対側にグリスを塗ります。
ここは本体と擦れるので、音鳴りの原因になりやすい部分です。
自転車のディスクブレーキは300度にもなると言われているほど高温になりますので、ブレーキパッドには耐熱性のある「モリブデングリス」を使用します。
ディスクブレーキは制動力が非常に強いので、ブレーキを掛けた時の振動が共鳴して音が鳴っている可能性があります。
また、音が鳴ると制動にムラが出るので、それを防ぐのがこのモリブデングリスです。
ただし、パッドとローターには油が付着してはなりませんので、グリスを塗布する際はパッドに付着しないよう十分に注意をしてください。
ここまでするとパッドの鳴き止め対策はほぼ完了ですが、それでもまだ鳴くようなら脱脂をしてみましょう。
しかし、パッドは油が染み込んでしまうと基本的には交換になります。
筆者も以前に見よう見まねで洗浄したり、熱湯で煮込んだこともありますが、確かに少し鳴きが治まりました。
しかし、また1ヶ月もしない内に音が鳴り始めて、結局、交換することになりました。
このように、パッドをヤスリがけするよりはだいぶ効果が薄かったので、油が染みてしまったらやはり交換ですね。
ディスクブレーキのパッドは何製がよいのか?
自転車のディスクブレーキの鳴き止めですが、ブレーキパッドの交換は劇的な効果を生むことが多いです。
単純に寿命だったのかもしれませんし、今まで当たりが出ていなかったのが出るようになると、鳴きは止まりますからね。
交換に際してですが、パッドは樹脂製(レジン)と金属性(メタル)のどちらがよいかという議論をよく見掛けます。
以前は、ローターが金属なので金属同士では共鳴してしまうので、メタルは避けるというのが定説でした。
しかし、現在は音が鳴る時はどちらでも関係ないという認識に変わりつつあります。
ネットではレジン製のパッドからメタル製に変えたら鳴きが治まったという意見も、多く見られるようになっています。
だからと言って、メタル→レジンへの交換で鳴き止めした例もあとを絶たない訳ですから、これはブレーキ本体やローターとの相性が考えられます。
そのため、少し強引な方法ですが、レジン製で音が鳴るならメタル製に交換、メタル製で鳴るならレジン製に交換する、という逆説的な考え方が実は正解かもしれません。
ディスクブレーキの鳴き止めで実践してみて頂きたい方法
ここまでのディスクブレーキの鳴き止め方法は割とオーソドックスで、実践している方も多いと思いますが、筆者の周りも含め音が止む可能性の高い方法です。
しかし、原因が多岐に渡る以上、まだまだ試してみる方法はあります。
これは以前に筆者が音鳴りで苦しんでいる時に、ママチャリの「バンドブレーキ」の鳴き改善の方法を探して見付けた方法です。
その方法とは、自転車用の錆び取り剤を少量塗付するというものです。
自転車用の錆び取り剤は油汚れなどにも効くので効果があるのでは、という発想からきた方法ですが、実際に鳴き止めに成功したいうものだったのです。
当時の筆者は藁にもすがる思いでしたので、ダメもとで実践しました。
結果は、完全に鳴きが治まりはしませんでしたが、音が小さくはなりました。
注意点としては、大量に塗付してしまうと制動距離が伸びてしまう可能性がありますので、軽く1,2滴たらしてサッと伸ばす程度にしてください。
あくまでも苦肉の策ですが、スタンダードな方法でもダメな場合はお試しください。
鳴き止めで悩んでいるならショップに任せる手もある
ここまでお話してきた鳴き止めの方法でも改善しない場合は、パッドやローターを交換するしか手がなさそうです。
しかし、その前にショップに見せるという手があるのを忘れてはいけません。
今回は、自転車のディスクブレーキの鳴きの原因を探るという目的もあったので、色々な可能性に触れてきました。
ただ、本来であればパッドとローターが平行になっているか確認をして、パッドの面取り加工をした段階で、ダメならギブアップしても何らおかしくありません。
パッドを新しい物に交換したのであれば、面が出るまである程度走って(100~150キロ)様子を見る必要がありますが、それ以外はショップに見てもらうのが賢明です。
ディスクブレーキに限りませんが、自転車、特にスポーツバイクはメンテナンスありきの乗り物だからこそ、トラブルも多く発生します。
ある程度の知識を付けて自力で解消できるようになるのに越したことはありませんが、信頼できるショップが近所にあるだけで心持ちも変わりますし、ストレスも半減されます。
ましてや、ディスクブレーキのように複雑な構造の物は、下手にいじって訳が分からない状態になることもあります。
したがって、今回ご紹介した方法でも音が鳴りやまない場合は、早めにショップに任せることを最後におすすめしておきます。
鳴き止めは基本事項を行ったらあとはショップに任せる
今回は自転車のディスクブレーキの異音について、その原因と鳴き止め方法をお話しました。
鳴き止めの基本はブレーキパッドとローターの位置関係の見直し、そして、パッドの面取り加工になります。
それで改善しなければ、ブレーキは命を預ける部分ですから、ショップに任せるのが賢明ですね。