ファッション性の高いピストバイクは、そのフレームやタイヤ、パーツのカラーなどでおしゃれにカスタムすることが、1つの醍醐味と言えます。
そんなカスタムの方法ですが、カラーの組み合わせだけでなく、ハンドルの形や長さなどでもカスタムすることができます。
今回は、主にフラットバーに関して、短いハンドルへの交換方法などのカスタムをご紹介していきます。
ピストバイクのハンドル、その種類や特徴
ピストバイクに使われるハンドルは、大きく分けて3種類あります。
それは、「フラットバー」「ブルホーン」「ドロップハンドル」の3つです。
順にその特徴をご紹介します。
まず「フラットバー」ですが、これはその名の通り、一本の棒状のハンドルです。
初心者でも扱いやすく、コントロール性が良いことが特徴です。
ピストバイクでトリックを行ったりする場合は、このハンドルがお勧めです。
また、「フラットバー」と一言で言っても、長さが短い物から長い物まであり、用途に合わせて様々な選択が可能です。
フラットバーの長さによる違いは、また後程ご説明します。
次に「ブルホーン」ですが、これは牛の角のように、上から見ると「コ」の字の形をしたハンドルです。
フラットバーに比べて前傾姿勢が取りやすいと同時に、手の小さい方がドロップハンドルを使った際にありがちな、「ブレーキレバーが遠い」という問題がありません。
そのため、「ドロップハンドルがしっくりこないが、前傾姿勢で乗車したい」という方に打ってつけのハンドルです。
最後の「ドロップハンドル」は、スポーツ自転車を象徴するようなハンドルです。
スピードを意識した競技指向の強い自転車には、このハンドルが使われています。
様々な姿勢が取れる、下ハンドルを持った際にスプリントを掛けやすい、といったメリットがある反面、ブレーキレバーの位置が遠い、ある程度の慣れが必要といったデメリットがあります。
短いハンドルと長いハンドル、乗り心地は変わる?
先ほど少し触れたように、ハンドルはその長さに様々な選択肢があります。
フラットバーを例に、その長さによる乗り心地の差をご説明します。
まずは、基本となるハンドルの長さに関してです。
ハンドルの長さを決めるとき、基準は「肩幅よりも少し広い」長さとされています。
そのため、クロスバイクなどの入門グレードのメーカー完成車は、日本人の肩幅に合わせた、450ミリ前後の長さのハンドルの物が多いようです。
この「肩幅よりも少し広い」長さを基準として、乗り手の好みを加味していきます。
ハンドルを短くすると、肩が自由になり、上半身を使いやすくなります。
このことにより、登りなどで有利になる場合があるでしょう。
一方で、コントロール性や安定性はやや犠牲になる面があります。
ハンドルを長くした場合、短いハンドルとは逆で、上半身の動きが制限される傾向があります。
しかし、ハンドルの抑え込みがしやすく、コントロール性に長けています。
どちらが良いというものではありませんので、自分にとってちょうど良い、長すぎず短すぎないポイントを探る事が必要なのです。
また、ピストバイクに特有の極端に短いハンドル長は、建物や車の間を通り抜けやすい、というメリットからくるものです。
安定性には欠けますが、上半身を活かした、軽快な乗り方が可能だと言えます。
フラットバーの様々な「角度」や「高さ」
フラットバーはただのまっすぐな棒ではなく、様々な角度や高低がつけられています。
これらの曲げ方には3種類あり、「スイープ」「ライズ」「ベンド」と言われています。
順に、それぞれご説明しましょう。
まず「スイープ」ですが、これは、ハンドルが手前に戻ってくる「角度」を指します。
人は手をまっすぐに前に伸ばした際、握りこぶしが少し「ハ」の字に開くような体の構造をしています。
この「ハ」の字の開きでハンドルを自然に握れるように、「スイープ」はつけられています。
次に「ライズ」ですが、これは「角度」ではなく「高さ」を指します。
ハンドルのクランプ部分から握る部分にかけて、どれだけ高くなっているか、というものです。
この「ライズ」が大きいと、上体が起こり、操作性が良くなるのです。
一方で、前傾姿勢は取りづらくなるため、ピストバイクでの走りよりもトリックなどを優先したい場合は、「ライズ」の大きいハンドルが良いと言えるでしょう。
最後に「ベンド」ですが、これは「ライズ」がどのような「角度」で作られているか、というものです。
目的は「スイープ」と同じく、ハンドルに対する手の握りを自然にするために設けられているものになります。
これらの「曲げ」の具合も、ハンドルが長いか短いかに合わせ、乗り手の好みによる選択が必要です。
ピストバイクのハンドルを短いものに交換!カットも出来る?
ピストバイクのハンドル長の変え方は、主に2種類あります。
まず1つ目に、ハンドルを交換する事です。
この方法の場合、長さだけでなく、ハンドルの形状も変更できます。
しかし、ハンドルの形状によって使えるブレーキレバーなどが異なりますので、その点注意しましょう。
もし、同形状のハンドルへの交換といった場合は、作業としては格別難しい物ではありません。
ステムのハンドルクランプ部分のボルトを緩め、ハンドルを新しい物へと交換し、ブレーキレバーを移し替えるのみで完成です。
作業には、「アーレンキー」という工具が必要になります。
作業時の注意点としては、ステムのハンドル固定ネジを、適切な力で締め付けることが重要なポイントです。
締め付けが弱かったり忘れていたりすると、走行中にハンドルが急に動き、大怪我に繋がる危険性があります。
難しい作業でないとはいえ、手順には注意を払いましょう。
2つ目の方法として、ハンドルをカットすることが挙げられます。
この方法では、ハンドルを交換することなく、短いハンドルを手に入れることが出来ます。
詳しい方法は、後程ご説明します。
ピストバイクのハンドル幅を、短いサイズにカットするには?
先ほどご紹介したピストバイクのハンドルカットについて、具体的な方法をご説明します。
この作業には、「パイプカッター」と「アーレンキー」を使用します。
それぞれ、一般的なホームセンターで、2000円前後で購入することが出来ます。
「パイプカッター」は刃物ですので、取り扱いには注意してください。
まず、ハンドルのグリップ、ブレーキレバーを外しましょう。
グリップは、ロックオンタイプの場合はアーレンキーで取り外しが可能です。
シンプルな筒状の製品の場合は、グリップとハンドルの隙間にエアーを吹き込むことで簡単に取り外すことが出来るので、覚えておきましょう。
ブレーキレバーは、ボルトでハンドルを締め付けるように固定されていますので、アーレンキーで取り外しが可能です。
グリップとブレーキレバーを外した後、どれだけ短いハンドルにするか、カットする長さに合わせて、パイプカッターをセットします。
パイプカッターはクルクルと回してパイプを切断する工具なのですが、この時、無理に力を掛けずに、たくさん回してカットすることが、きれいに切断するコツです。
ハンドルをカットし終えたら、ブレーキレバー、グリップを元に戻し、作業完了です。
最近の流行は「ワイドなライザーバー」?
ピストバイクはファッション性の高い自転車であるため、そのカスタムにはある程度の流行があります。
例えば、少し前までは派手でカラフルな色遣いが好まれる傾向にありましたが、最近ではストリート感のある、シルバーパーツやブラックパーツが好まれる傾向にあります。
ハンドルの形状に関しても流行があり、短いライザーバーやブルホーンバー、競輪ドロップが好まれる傾向があります。
しかし、最近では、600ミリから800ミリ前後のワイドなライザーバーも人気が高まっている傾向にあります。
この長さのラインナップはマウンテンバイク向けの製品が多く、トリックなどの激しい使用にも耐えうる性能がある事が特徴です。
一方で、幅広なハンドルは自動車や障害物、歩行者に当たる危険性も増えるため、走行時には注意が必要です。
また、歩道を通行できるハンドル長は600ミリまでである事にも、注意が必要です。
ハンドルを変えて、個性的な1台に!
ピストバイクのハンドルに関するカスタムをご紹介しました。
文中で、流行は「ワイドなライザーバー」であると言いましたが、短いハンドルやドロップハンドルが決して廃れたわけではないので、カッコいいと言える選択肢が増えた、と考えるといいかと思います。
ハンドルの形や長さを工夫して、個性的でカッコいい1台を作りましょう!