自転車を発進させる際、突如、危なげな異音が聞こえてくることがあります。
鉄が擦り合わされる音や、鉄が何かにぶつかる音で、聞いていて決して心地よいものではありません。
それもそのはず、このとき自転車には何らかの異常が生じています。
つまり、発進のときに限らず、自転車から異音がするのは異常が起こっているサインとも言えます。
今回はその異音の原因を明らかにして、対策方法をご紹介します。
自転車の発進時の異音!ベアリングが古くなっている!?
自転車発進時に異音がする場合の一つに、ベアリングが錆びて古くなっているケースがあります。
異音としては、錆びた鉄が擦り合わさる音で、「何かが削られているな」ということがなんとなく判別できる音です。
擬音語にすると、「ガリガリ」や「ギリギリ」が一番近いです。
ただ、この音の聞こえ方は、簡易的に表しただけですので、皆さんのイメージしている「ガリガリ」とは少し違うかもしれません。
ですので、まずどこから音がしているかで、ベアリングが古びているのどうかをご判断ください。
異音の出る場所の一つは、クランクの付け根です。
もう一つはホイールの中心、ハブです。
この二箇所は、自転車が発進した時点で音がします。
ですので、クランクの場合はスタンドを立てて、もしくは後輪を中に浮かして、ペダルを回してみてください。
すると、異音がしているかは判別できます。
また、ホイールの場合は、前輪後輪に関係なく、ホイールを中に浮かせて回してみてください。
すると、異音がしているかは判別できます。
異音がどこから出ているかが分かりましたら、次はその対処法です。
早速対処法についてご説明します。
ベアリングの異音の対処法!クランク&ハブ
自転車発進時で、ベアリングに異常があると分かった場合、まずしなければならないことがあります。
それがベアリングのグリスアップ、もしくはベアリング自体の交換です。
この二つ修理を行う場合、グリスか新しいベアリングのどちらかを必ず用意してください。
グリスはホームセンターで販売されているもので構いません。
また、ベアリングは近くの自転車屋さんで購入できます。
この二つはクランクでも、ハブでも使用するものです。
次は、クランクの場合とハブの場合に必要な道具をご紹介します。
まずは、クランクのべアリングの場合です。
必要な道具は、「プラスドライバー、六角レンチ、磁石付きのマイナスドライバー、コッタレススパナ、モンキーレンチ、フックスパナ、コッタレス抜き工具」の7点です。
※シマノ製、ボトムブラケット取り付け工具が必要になる場合もあります。
ハブの場合は、ハブスパナとモンキーレンチです。
いくつかは自転車専門の工具になります。
ですので、お持ちでない場合はご購入ください。
では、クランクのベアリングについてご説明します。
まず、リテーナーの状態を見てみないと、グリスアップか交換かは判断できません。
ですので、クランクを外していく必要があります。
ただ、この場合、ギア側のクランクは外すのが面倒な為、ギアのない側からクランクを外すことにします。
クランクを外す際、初めに、フックスパナでロックリングを外します。
次に、クランクのダストキャップを、5㎜の六角レンチを使用して外します。
それから、コッタレススパナを使用し、ダストキャップの中のフィキシング・ボルトを緩めます。
通常のフィキシング・ボルトは、頭が15㎜の規格で作られていますが、14㎜や16mmのものもありますので、専用スパナを使用してください。
ボルトが抜けましたら、内側にある厚いワッシャも、一緒に取り出します。
※このワッシャはない場合もあります。
また、このワッシャを取り出し忘れますと、いくらコッタレス抜き工具をセットして、エキストラクターを回してもクランクが抜けてきませんので、注意が必要です。
コッタレス抜き工具をセットする前に、エキストラクター部が、ちゃんと引っ込んだ状態になっているかを、しっかりと確認してください。
コッタレス抜き工具のエキストラクター部が飛び出していますと、工具本体がキチンとねじ込まれません。
これに気づかずエキストラクターを回しますと、クランクのネジ山がとんで壊れてしまいます。
必ず確認しましょう。
クランクのネジ穴に、コッタレス抜き工具を底までしっかりとねじ込みます。
ネジの掛かりが中途半端ですと、エキストラクターを回したときに、ネジ山がとんで壊れますので、こちらもご注意ください。
そして、モンキーレンチでエキストラクターを回していきますと、シャフトが押し出されて、クランクが抜けてきます。
ある程度回しますと、スパナの手応えがなくなりますので、クランクを手前に引くことでシャフトから外れます。
次に、ここでワンを外しておかなければなりません。
ワンは、通常はスパナで外れます。
しかし、スポーツタイプの場合、非常に特殊な工具を使用している場合があります。
これは、シマノ製のボトムブラッケット取り付け工具を使用してください。
このシマノ製のボトムブラケット取り付け工具は二種類ある為、どちらが適切か自転車によって違います。
スポーツタイプの自転車などには、付いている可能性がありますので、どちらもご購入いただくと、対応可能になります。
次に、ギア側のクランクを外すのですが、ここはダストキャップとフィキシング・ボルトを外して、中のシャフトを向こう側に押し出すだけで大丈夫です。
シャフトを押し出すと、リテーナーも一緒に付いてきます。
ただ、ここでリテーナーが一緒に付いてこない場合があります。
その場合は、中でベアリングがばらけている場合がありますので、中を確認し、磁石付きのマイナスドライバーでベアリングの玉を一つ一つ取り出してください。
このとき、ベアリングが錆びていたり、傷があれば、リテーナーごと交換をしてください。
また、バラバラの場合は部品全てを交換する必要があります。
グリスアップをする場合は、シャフトに付いているリテーナーにグリスを塗り込んでください。
作業が終わったら、逆手順でシャフトとリテーナーを入れていきます。
また、リテーナーですが、ベアリング側が内側です。
平らな方を内側にすると壊れますので、ご確認ください。
これで、クランクのベアリングについては以上です。
ここからはハブのベアリングについてのご説明になります。
ハブのベアリングをまず確認する為に、ホイールを外して、ホイールを寝かせます。
次に、ハブの玉押しの部分を、ハブスパナで固定し、モンキーレンチでロックナットを緩めましょう。
モンキーレンチでの作業は角を舐めることがありますので、ご注意ください。
次に、ハブには微調整が可能なように、回り止めの舌つきワッシャが使われており、シャフトの溝に合わせてセットされています。
このワッシャを、溝に沿って引き抜かないと、玉押しはうまく外れてくれません。
必ず沿って抜くようにしてください。
その後、玉押しをハブスパナで回し、外れたらシャフトを抜いて、中のワンとベアリングを取り出します。
このとき、ベアリングに錆びや傷があれば、交換になります。
また、グリスアップするとときは、ワンに残った古いグリスを、タオル等で拭き取ってから新しいグリスを塗っていきます。
クランク部分と違い、リテーナーがないので、ハブのベアリングは少し入れにくいですが、そのときはグリスを手に塗り、その粘着性を使用しながらベアリングを入れていってください。
自転車の発進時の異音!チェーンのたるみ!
自転車の発進時に、チェーンからカタカタと異音がする場合があります。
あるいは、チェーンカバーにチェーンが当たり、当たり方にもよるのですがジャラジャラと異音がする場合もあります。
この二つの場合は、チェーンのたるみから出る異音です。
まず簡単に、チェーンを引っ張る必要があります。
ただ、ご注意願いたいのは、変速機がある場合はチェーンがたるんでいるのが通常ということです。
この場合は、異音がしても触らないでください。
これは、変速でチェーンの回る大きさを変えなければならない為です。
一番小さいギアと大きいギアのをチェーンは移動しなければならない為、たるんでいるのがベストなのです。
ですので、この異音は、変速機のない自転車のみの話になります。
また、音だけでは少し判別しにくいかもしれません。
特徴としてチェーンがたるんでいると、チェーンが外れることが多くなります。
ですので、異音がしていて、「チェーンが外れることが多いな」と思ったときなどは、まず間違いなくチェーンを引っ張らないといけないとお考えください。
では、これからチェーンを引っ張る方法をご説明します。
チェーンのたるみから出る自転車の異音!チェーンを引っ張る方法
自転車の発進時に、異音がする異常としては少し分かりにくい異音です。
しかし、発進時の違和感や、段差を走ったときに、いつもとは違う音がしますので、それが異音と考えてください。
では、チェーンの引っ張り方についてご説明します。
チェーンを引っ張る道具としては、8mmか9mmのスパナ、メガネレンチが必要です。
また、インパクトドライバーをお持ちでしたら、8mmか9mmのスパナの替わりに使用できます。
もちろん、ヘッドに8mmか9mmの工具が必要です。
この道具を揃えたら、まず後輪を外さなければなりません。
メガネレンチで、後輪のナットを緩めるだけで構いません。
完全に外してしまう訳ではなく、ホイールがガタガタとする状態にとどめておきます。
この状態のとき、両足スタンドの自転車はやりやすいです。
ですが、片足スタンドの自転車の場合は非常に不安定になります。
その場合は、自転車立てをご購入されるのが一番です。
自転車立ては、チェーン張り以外でも使用が可能ですので、ご自分で頻繁に修理を行いたいという方は、ご購入を考えてみてください。
後輪のナットを緩めた後、注目して欲しいのは自転車の車体のエンドです。
ここに、チェーン引きがあります。
おおよそT字になっていて、先端が後輪のハブに付けられる穴が付いています。
特徴的な部品ですので、後輪のナットを緩めるとすぐに分かります。
この部品は、自転車によりますが、車体エンドのギア側だけに付いている自転車と、車体エンドの両側に付いている自転車があります。
チェーンを引っ張る為と、後輪の位置をセットする為に必要な部品ですが、チェーンを引っ張る際は、ギア側だけでも大丈夫です。
ただ、両側に付いている場合は、両側とも触らなければいけません。
ですが、とりあえずはギア側のチェーン引きにご注目ください。
チェーン引きは8mmか9mmのスパナがあれば調整可能です。
両側にチェーン引きがある場合は、両側のチェーンの引きを緩めておいてください。
ナットを左側に回せば、チェーン引きは緩みます。
同じように、右側に回せばチェーン引きを締められます。
このチェーン引きを締めれば、チェーンを引っ張ることができます。
ですので、ここを締めてチェーンのたるみを調整していくという形になります。
何度かナットを回して、チェーンの張り具合を確認しながら締めていってください。
締めながら、チェーンを回して張り具合を確認すると一番やりやすいです。
ただ、このチェーンを引きを締めすぎると、チェーンが全く動かなくなります。
ガチガチにしすぎて、チェーンに遊びがなくなってしまう為、上手くチェーンが回ってくれません。
また、チェーン引きで、チェーンを引っ張りすぎると後輪が僅かに傾きます。
これは、タイヤの部分が車体に当たることが考えられます。
ですので、タイヤが当たらない程度に、引っ張るということを覚えておいてください。
タイヤの位置調整は、ギアのない側の車体とタイヤの間に指を入れながら、タイヤの位置を調整するのが、最もやりやすい方法です。
そうすれば、タイヤと車体の隙間が指一本分できるようになります。
もちろん、ゆっくり行って、目視でタイヤの位置を確認しても構いません。
また、両側にチェーン引きがある場合は、左右のチェーン引きを締めながらタイヤの位置を調整することが可能です。
チェーンのたるみは、チェーン引き以外で修正しようとしないでください。
例えば、チェーンを切ってたるみを取ろうと考えるかもしれません。
チェーンを切ること自体には多少の意味はありますが、これは根本的な解決になりません。
むしろ、チェーンが外れやすくなることもありますので、チェーンが気になる場合は、交換した方が無難です。
自転車の発進時の異音!ブレーキ調整
自転車の発進時の異音として、最後に挙げておくのは、ブレーキが当たっている場合になります。
これは、車輪が回る度に、シューシューというブレーキが擦れる異音がします。
ですので、これは割と分かりやすい異音です。
後輪の場合でしたら、自転車を降りてペダルを回してみてください。
すると、それだけで確認できます。
それか、ブレーキレバーを引いていただいても構いません。
引きしろが1cm未満ですと、引っ張りすぎている可能性があります。
また、前輪のブレーキが当たっている場合は、前輪を地面から浮かせて、前輪を回してみてください。
ずっとブレーキが当たっているか、たまに当たっているかで対処は違いますが、異音がしているかは判別できます。
それから、ブレーキの異音を三つ紹介しましたが、対処方法としては二つになります。
次は、その対処方法をご紹介します。
ブレーキの異音を消す方法!ブレーキ調整と振れ取り
自転車の発進時に、ブレーキから異音がする場合、二つの可能性があります。
一つは、ブレーキワイヤーを引っ張りすぎている可能性です。
もう一つは、車輪に振れがある場合です。
まず、ブレーキワイヤーを引っ張りすぎている可能性の方から、対処方法をご紹介します。
必要な工具は8mmのスパナ、もしくはインパクトドライバーです。
もちろん、インパクトドライバーは8mmのヘッドに取り換える必要があります。
道具が揃いましたら、まずブレーキワイヤーを緩める必要があります。
前輪のキャリパーブレーキも、後輪のブレーキ(種類が色々ありますが、基本的な対処方法は同じです)も、インナーケーブルを止めている部品がありますので、まずそこに注目します。
ブレーキ止めネジという、ネジの根元にワイヤーのインナーケーブルを挿入できる穴があるネジです。
まず、このネジを緩めてください。
すると、ブレーキが緩みます。
次は、ワイヤーブレーキを引っ張りながら、ブレーキ止めネジを締めていきます。
このときに、あまり引っ張りすぎないことを意識してみてください。
一度締めると、次はブレーキレバーを引いてみてください。
先ほど記載しましたが、前輪ブレーキも後輪ブレーキも、引きしろは1cmくらいが適切です。
ご確認ください。
次に、振れ取りについてご説明します。
必要な工具は、ニップル回しです。
前輪ブレーキの一箇所だけが、ブレーキシューに当たっている場合というのは、車輪が振れている場合です。
これは、前輪を宙に浮かせて回してみると、車輪のどの部分がブレーキシューに当たっているか、おおよそ判断がつきます。
ですので、まず回してみてどこが振れているのか、おおよその目星をつけてください。
当たっている箇所が分かれば、その箇所をどちらの方向に引っ張りたいかを確認してください。
例えば、右に引っ張りたい場合は、右側のスポークのニップルを締めてください。
しかし、ニップル一箇所だけで調整するのは危険です。
スポークが張りすぎて折れてしまう可能性があります。
ですので、隣の二箇所を調整します。
このスポークは左側のスポークになりますので、緩めることで右に引っ張ることができます。
また、振れ取りを行う場合、スポーツタイプの自転車であれば、振れ取りをご購入ください。
1mm単位の調整が必要になりますので、必ず振れ取り台が必要です。
振れ取り台は、台に車輪をセットし、センサーをリムに少し当てると、振れがある場合にセンサーから音が出る様になっています。
そして、その振れのある場所を割り出します。
スポーツタイプの自転車の場合は、音が出なくなるまで何度も、調整を行ってください。
自転車の異音は異常のサイン!必ず確認をしてください
自転車の発進時に異音がする場合は必ず、何かが自転車に起こっています。
ですので、絶対に何が起こっているのかを確認してください。
また、異音というのが分かりくいという方はもいるかもしれません。
そういった方は、基本的に何がか擦れる音だと意識してみてください。
それは鉄だったりブレーキシューだったり色々ではあります。
ですので、「これは何かが擦れるているのじゃないか?」と疑問に思った瞬間が、異常の起こっている瞬間になります。
異音が出ているとき、自転車のご確認をしてみてください。