自転車は見た目も大事な物で、汚れが目立っていたり塗装が剥げていたりすると、性能的には問題なくてもガタが来ている様に見えます。
特に塗装が剥がれていると、見た目も相当残念ですが、そこから水分が入り錆びてしまう事もあります。
そこで今回は、自転車の古くなった塗装の剥離や再塗装について考えてみましょう。
自転車の塗装剥離から再塗装までの道のり
まずは、自転車の塗装をやり直す手順を大まかに説明します。
塗装するのは、自転車本体(フレーム)だけですので、付属しているパーツ類を外していかなければなりません。
主には車輪ですが、ロードバイクなどのスポーツバイクは、レバー1つで簡単に取り外す事が出来ます。
しかし、ママチャリはボルトで固定されていますし、特に後輪は付属している物を順番に外す必要があります。
また、カゴや泥除けなども外しますので、非常に大掛かりで手間の掛かる作業です。
そして、分解した物は当然ですが元通りに組み直さなければならないのですが、これが分解以上に困難です。
何も考えずにただ分解してしまうと、まず自力で組み直すのは無理と言っても過言ではありません。
その為分解する際は、全体像と各パーツの構造を画像や動画に残しておく必要があります。
自転車を分解したら元の塗装の剥離になりますが、剥離剤が使用できるかどうかで作業にかかる手間が大きく変わります。
アルミや鉄などの金属フレームは剥離剤が使えますが、カーボンフレームには溶剤は使えません。
剥離の次は塗装ですが、フレームについている脂分を落としてから、塗装の乗りを良くする下地処理を行います。
ここまで進めて、ようやく新しい塗装を施す準備が整います。
自転車の塗装の剥離や再塗装をお店に頼むと?
前項でお話したように自転車の再塗装には、分解と元の塗装の剥離が不可欠になります。
特にママチャリは、分解と再組み立てを自力で行うのが難しいので、自転車屋さんにお願いするのもひとつの手です。
工賃がどれくらいになるかは、経験も無く情報も少ないので分かりかねますが、確実な方法ではあります。
また、剥離と塗装を板金屋さんなどに頼むと、平均でも3万円前後は掛かるようです。
板金屋さんは自転車の分解や組み立ては出来ませんので、分解した状態で持ち込まなくてはいけませんから、その分の費用も乗ります。
その為、自転車の再塗装をお店に依頼する場合は、約3万円+分解・再組立て費用という事になります。
しかし、この費用ですと、そこそこ高いレベルのママチャリが買えてしまうので、スポーツバイクはまだしもママチャリでは現実味が無いですね。
そうなると、やはり自力で行う事を考えなくてはなりません。
金属フレームの自転車には剥離剤が使える
今回は、自転車の塗装の剥離と再塗装がテーマなので、分解に関しては別記事を参照して頂けると幸いです。
それでは、まず塗装の剥離から説明していきますが、今回は剥離剤を使いますので対象は金属フレームになります。
その為、カーボンフレームに乗っている方は絶対に参考にしないで下さい。
また、金属フレームでもフロントフォークやシートポストがカーボン製の場合がありますので、くれぐれも注意して下さい。
まず剥離をする前に、汚れや油脂分を除く為に家庭用の洗剤でフレームを洗います。
塗装を剥がしてしまうのになぜ洗浄するのかというと、ワックスなどの油脂分が無い方が剥離剤が上手く浸透するからです。
洗浄が終わったら剥離剤を塗りますが、かなり強力な剥離剤を紹介しておきます。
【デイトナ(DAYTONA):塗装剥がし剤 400ml 96350】
私も使用しましたが、よほどの厚塗り部分以外は、スルスル剥がれていきますのでおすすめです。
その分とても強力なので、使用する際はゴム手袋着用が必須です。
また、臭いが強烈ですので屋外で行った方が賢明です。
刷毛で全体的に伸ばす様にすると、塗ったそばから塗装が浮き上がってくると思いますが、一応10分ほど浸透を待ちます。
その後、刷毛でも木べらでもよいので軽くこすると面白い様に塗装が剥がれます。
自転車の塗装をきれいに仕上げる為の下準備
塗装を剥離したら、次はフレームの表面に付いたサビや傷をなめす為に、サンドペーパーなどでヤスリ掛けをしていきます。
電動のヤスリを使っている例も紹介されていますが、一般的なご家庭には無いでしょうから紙やすりで十分です。
少し荒めの番手の物でも大丈夫ですから、200や300番の物で良いと思います。
ここでしっかりと表面を平らにしておかないと、きれいに仕上げる事が出来ませんので、地道な作業ですがじっくりと行って下さい。
ヤスリ掛けをしたら「ペイント薄め液」や「シリコンオフ」などの脱脂剤で表面を磨きます。
これも塗装の乗りを良くする為には重要な事なので、必ず行って下さい。
おすすめはこちらです。
【SOFT99 ( ソフト99 ) 99工房 シリコンオフ 09170】
そして、塗装前に行う最後の下準備は、下地作りです。
塗装の食い付きを良くするのと、さび止めに「プラサフ」という下塗り剤を吹き付けます。
【Holts(ホルツ) :プラサフスプレー P-3 プライマーグレー】
こちらはカー用品ですが、自転車にももちろん使えます。
スプレーはあまり至近距離から吹くと液だれを起こしたり、ダマになったりしますので15~20㎝程離れた位置から吹きます。
吹き付けが終わったら、陰干しで2時間程度乾かして下さい。
本塗装の注意事項
剥離と下塗りまで行ったら、自転車の塗装は本塗りを残すのみです。
使用する塗料はラッカー系が塗りムラが出にくいですし、強度面でも優れているのでおすすめです。
塗装の途中に塗料が無くなるのも具合が悪いので、3本くらいは用意しましょう。
また、艶消し系の色であれば不要ですが、光沢のある色にするには「クリア」というコーティング剤も必要です。
吹き付けはプラサフ同様に少し離れた位置から行い、全体的に薄目に2,3回繰り返し行っていきます。
あとは乾燥ですが、あまり早く再組み付け作業を始めると塗装の剥がれが気になりますので、余裕がある場合は万全を期して一晩置きましょう。
この後は、最難関である再組立てです。
くどいようですが、分解前に必ず画像や動画に収めておく事を忘れないで下さい。
自転車の再塗装は時間に余裕を持って行う
今回は自転車の塗装の剥離と再塗装に付いて考えてきましたが、話が多岐に渡りましたので、最後にもう一度まとめておきます。
塗装はフレームに対して行いますので、自転車の分解が必要になります。
パーツの構成やワイヤーの取り回しは再組立ての時に分からなくなりますので、画像や動画に収めておきます。
金属製のフレームであれば塗装の剥離に剥離剤が使えますが、カーボンフレームでは絶対に使ってはいけません。
また、剥離剤は強力で体に付くと危険ですので、作業をする時は長袖の服を着てゴム手袋を着用して下さい。
さらに、臭いが強烈なので屋外での作業が賢明です。
塗装の剥離が終わったら、荒めの番手の紙やすりで表面をなめし、脱脂剤で磨きあげます。
一見すると地味で無意味に映る作業かもしれませんが、これが塗装の仕上がりに大きく影響しますので必ず行います。
あとは、プラサフスプレーで下塗りを行い、十分に乾燥させてから本塗りを行います。
少なくとも半日は掛かる作業ですし、塗装を乾かす時間を考えれば一日仕事となります。
きれいに仕上げるには地道な作業が必要です
今回は、自転車の再塗装をテーマにお話しました。
きれいに仕上げる為には、本塗りに至るまでの過程が何より大切で、地道に細かい作業をしていかなくてはなりません。
また、自転車の分解と再組立ては想像以上に困難ですので、しっかりとした覚悟を持って行う様にして下さい。