イタリアの老舗「ビアンキ」は、多くのスポーツ自転車を扱う人気の自転車メーカーです。
ロードバイクやMTBなどはプロライダーのレース機材として採用されている一方で、クロスバイクなどのホビーユーザー向けのバイクも豊富です。
また、近年はスポーツ自転車界にディスクブレーキが台頭していますが、ビアンキにも搭載モデルが増えてきました。
そこで今回は、ビアンキのディスクブレーキ搭載モデルについて考えてみましょう。
ディスクブレーキのメリット
ディスクブレーキは自動車の前輪に使われるほどのブレーキで、強い制動力と天候や路面状況に左右されない安定性が特徴です。
そのため、コースが起伏に富み、荒れた路面を走行するMTBでは主流のブレーキになっています。
また、路面と遠い場所でブレーキングを行うので、泥づまりを起こさないことからもMTBに適しています。
さらに、最近は軽い力でブレーキを引いても強い制動が得られることから、ドロップハンドルのロードバイクにも採用されることが多くなってきました。
キャリパーブレーキですと、手の小さな人や女性は、本来のブラケット部分からでは強いブレーキが掛けにくいこともあります。
その点でディスクブレーキは、キャリパーブレーキのフルブレーキと同じ制動力を、指一本で実現出来ると言われています。
そして、2017年ロードレースのUCIワールドツアーにおいてディスクロードが再解禁され、ツール・ド・フランスで早くもステージ優勝を飾りました。
この結果は、今後の一般ユーザーの市場に影響を及ぼし、今後ディスクロードが増えていくでしょう。
そんな中ビアンキでは、クロスバイクにまでディスクブレーキモデルが投入されています。
ビアンキのクロスバイクは大きく仕様が変わった!
ビアンキの2018年モデルのクロスバイクは、【CAMALEONTE(カメレオンテ)】と【ROMA(ローマ)】の2種類になります。
カメレオンテには、日本で販売されているビアンキのバイクの中で、唯一の電動アシスト付きの【CAMALEONTE E】も含まれます。
しかし、カメレオンテは2018年よりVブレーキ仕様が1機種のみとなりました。
2017年には4機種あり、ディスクブレーキモデルまで展開していましたので、かなりのスケールダウンとなりました。
一方、ローマシリーズは2017年に引き続き4機種ラインナップされています。
2017年モデルは最上位機種の【ROMA】のみがディスクブレーキ搭載車でしたが、2018年には下位モデルの【2】【3】もディスクブレーキモデルとなりました。
Vブレーキモデルの【4】も継続販売となり、ローマシリーズは反対にスケールアップした形です。
これは、スピード化の波が押し寄せてきている証拠であり、どちらかと言うとMTBに近いカメレオンテがあおりを食らったということでしょう。
ビアンキのクロスバイクでMTB寄りなのはこちら
ビアンキのクロスバイクは前項でお話したように、2017年から2018年にかけて大きな仕様変更がありました。
MTB寄りの性格であるカメレオンテを縮小し、ロードバイク寄りのローマをグレードアップしてきました。
あくまでも個人的見解ですが、この仕様はいささか疑問に感じます。
カメレオンテは実物や写真を見ればハッキリ分かりますが、肉厚で太いチューブを使用しており、いかにも頑丈でパワーに溢れています。
だからこそ電動アシスト付きのフレームに選ばれたのであり、街乗り車としてのオールマイティさを兼ね備えています。
さらに、ワイドレシオなギア構成も32cという太めのタイヤも、組み合わせれているパーツは明らかにMTB寄りです。
そのため、むしろこちらの方がディスクブレーキの必要性を感じますが、カメレオンテは通常のVブレーキ仕様のみとなりました。
私は個人的にはクロスバイクにディスクブレーキは不要と考えているので、カメレオンテのVブレーキに関しては何の違和感もありません。
しかし、ローマにディスクブレーキモデルを増やしたにも関わらず、カメレオンテからは消滅させるというアンバランスさに疑問を感じるということです。
スピード系クロスバイクにディスクブレーキはどうか?
ビアンキのクロスバイク【ローマ】シリーズは、2018年モデルでディスクブレーキ搭載車が増えることになりました。
Vブレーキ仕様の「ローマ4」を除く3機種にディスクブレーキが搭載されることになり、これらは全てロードバイク用のフルコンポになります。
ローマは細身のチューブでヘッドチューブが長めと、スピード系クロスバイクのジオメトリです。
しかも、フロント2速のロードバイク仕様で、タイヤもカメレオンテよりは細めです。(28c)
スペックからローマが目指す理想形は、スピードが出せるクロスバイクだろうと推測できます。
その意味で、制動力の強いディスクブレーキを採用することは理解できます。
しかし、どう仕様を変更してもローマシリーズのスペックでは、ロードバイクほどのスピードは出せません。
私の経験からも言えますが、ロードバイクは確かに雨の日の下り坂などでは、キャリパーブレーキだと不安なこともあります。
しかし、キャリパーよりも制動力の強いVブレーキで、ましてクロスバイクであれば制動力に不安を感じることは考えづらいです。
また、クロスバイクでドロドロの泥道や山林道を行くような、MTB的な走りを積極的にするでしょうか?
そのため、どう考えても個人的には、クロスバイクにディスクブレーキの必要性が見出せません。
ディスクブレーキモデルとノーマルモデルの価格差を考える
ローマシリーズは、ロードバイク用のコンポが採用されていますが、クロスバイクですとコンポのグレードで走りにさほどの違いはありません。
シマノのものでいえば、デュラエースエースやアルテグラなら話は別ですが、中~下位グレードであれば大差はありません。
それでいて、ハイエンドモデルの【ROMA】とローエンドの【ROMA4】には、価格にして4.8万円もの差があります。
タイヤは同じものですし、ホイールはビアンキの手組みなので詳しくは分かりませんが、グレードは大差ないでしょう。
そのため、フレームは同じものですから、この差はディスクブレーキとコンポの分と考えられます。
それならローマ4を選び、差額でタイヤやホイールのグレードを上げた方が数段コスパが高いと言えます。
ただし、ホイールは「エンド幅」の問題があり、ロードバイク用を使用するには工夫が必要です。
また、ビアンキは車体の重量が公表されていませんが、ディスクブレーキの分だけ重くなっているのは確実です。
そこもスポーティな走りを追求しているローマに、ディスクブレーキを搭載する矛盾と言わざるを得ません。
否定的な意見ばかり並べているようですが、スポーツ自転車は高価です。
後悔のない選択をしていただくための、参考になればと思います。
ビアンキのディスクブレーキ車ならMTBも視野に入れる
ここまでの話の中でお伝えしたかったのは、ビアンキのディスクブレーキモデルのクロスバイクは、必要条件を少々超えてしまっているということです。
その点で、「カメレオンテ1」や「ローマ4」は、機能面や価格的にも必要十分なクロスバイクと言えます。
もし通勤・通学など生活の足としての用途がメインであるなら、カメレオンテやローマ4がおすすめです。
しかし、普段から泥道や砂利道を積極的に走り、休日には自転車で山登りなどもしてみたい人には、ディスクブレーキモデルも悪くありません。
ただ、それならばMTBという選択肢もあります。
ビアンキのMTBの中には、ローマシリーズよりも安価な機種があります。
その中にはディスクブレーキ搭載車もありますので、より本格的にオフロードを走りたい人にはMTBがおすすめです。
クロスバイクにこだわらない選択を
今回はビアンキのクロスバイクについて考えてみました。
ディスクブレーキの賛否については分かれるところですが、用途によっては宝の持ち腐れになってしまいますので、慎重に考えていただきたいです。
また、ビアンキはロードバイクやMTBに低価格帯でもコスパの高い機種が多いので、そこまで選択肢を広げても良いかと思います。