ロードバイク初心者の方が、最初にいじるべき箇所はホイールだと、よく言われます。
これはホイール交換が、最も走りの違いを感じられるカスタマイズだからという意見が多いです。
しかし、ホイールは高価ですし、ロードバイク用は種類も多いので、最初の交換ではかなり迷われると思います。
そこで今回は、初めてのホイール交換にあたって、どんなホイールを選ぶのかを考えてみます。
ロードバイクの初心者モデルでホイールはコストダウンの対象
ロードバイクの完成車を最初に購入するときは、各メーカーが初心者向けとしているモデルを購入する場合が多いです。
基本的な性能が著しく低いわけではありませんが、前傾姿勢が抑えられていたり、軽めのギアが多いなど、入門編としての考慮はされています。
また、価格も最低線になってくるので、パーツのコストダウンは否めません。
特にロードバイクのパーツの中でも高額な部類である、ホイールやコンポは、その対象になります。
最初の内は慣れていないこともありますし、ママチャリなどの実用車に比べれば、遥かに走りの質が良いので、欠点には気が付きません。
しかし、徐々に慣れてくると、周りの声も聞こえ始め、知識が増えてきます。
そして、少しずつ疑問を持つようになります。
そこで、走りを改善したいという質問をすると、大方は「ホイール交換」という答えが返ってきます。
一体どうしてなのでしょうか?
次項では、初心者の方の最初のカスタマイズが、なぜホイール交換と言われるのかを考えてみます。
ロードバイクの初心者がホイール交換を勧められる理由
ロードバイクのホイールは「軽さが正義」と言わんばかりで、軽い=高品質と考えて差し支えありません。
ロードバイクは様々な抵抗との戦いですが、中でも80%以上は空気抵抗です。
また、空気抵抗の内、90%は乗り手=人間に掛かるものと言われています。
ロードバイクは前傾の乗車姿勢になるように設計され、さらに深い前傾が取れるドロップハンドルを採用しています。
これは、少しでも風が身体に当たる面積を減らし、空気抵抗を小さくしようとしているからです。
しかし、それにも限界があります。
また、体重60kgの人がいきなり30kgになれるわけでもないので、パーツに掛かる空気抵抗の低減も、考えなくてはいけません。
そして、パーツの中で、最も多く空気抵抗を受けるのがホイールです。
パーツの中で最も面積が大きいですし、重量もありますから、当然と言えるかもしれません。
そのため、ホイールメーカーは軽量にしたり、空気抵抗を受けにくいスポークの組み方をして、企業努力をすることになります。
そのため、競争が激しくなり、いつしか群雄割拠になっていったということです。
このように、ホイールはロードバイクの走りに、大きな影響を与える部分なのです。
その結果、初心者の最初のカスタマイズは、ホイール交換という流れができているのです。
初心者の最初のホイール交換はアルミリム
ロードバイクのホイールは軽量=高品質・高価格なので、初心者向けの完成車には、当たり前のように重いホイールが採用されています。
前後輪合計で、2,000gを超える通称「鉄下駄」も珍しくなく、軽量ホイールとの走りの差は歴然です。
ホイールの重量で、走りに関係するのは、外周部分である「リム」の重量です。
リムが軽くなれば、漕ぎ出しや登り坂が楽になりますし、加速しやすいホイールになります。
また、円状の物質は、外周よりも中央部分が重ければ転がりが増します。
そのため、中央にあるハブよりもリムが軽量になれば、よく転がるホイールになります。
軽量ホイールの代表格は、リムの素材がカーボンのものです。
金属ではないカーボンは、重量面では圧倒的優位に立ちますので、軽さを求めるのであれば、必然的にカーボンに行き着きます。
しかし、フレームもそうですが、カーボンリムのホイールはとにかく高価で、最安値のものが10万円後半という相場です。
最初のホイール交換で、さすがに20万円も30万円もするカーボンリムは、どう考えても無謀です。
ですから、まずはアルミリムのホイールから考えていくことになります。
ロードバイクのホイール交換はミドルグレード以上がおすすめ
ロードバイクの最初のホイール交換で、何と言っても悲しいのは、交換の効果をそれほど感じないことです。
ホイールは、決して安い買いものではありませんので、後悔することが多いです。
そのため、最初の交換であろうとも、ミドルグレード以上のホイールをおすすめします。
価格は5~7万円くらいのゾーンで、重量は1,400g後半~1,500g中盤といったところです。
このグレードのメリットは、上位グレードの技術が踏襲されている点で、必然的にコスパが高くなります。
初心者の方だけでなく、中級~上級者の方まで、幅広いファン層を持つ各メーカーの主力ホイールが並んでいます。
この上のグレードになってきますと、アルミリムでも10万円を超えてきます。
コスパで選ぶなら、ミドルグレードが良いでしょう。
ロードバイクには剛性の高低がとても重要
ロードバイクのホイール交換時に大切なのは、初心者を脱却して、自分がこの先どういう走りをしたいのかを考えることです。
ホイールは、同じ程度の価格でも性質の違いがあるので、自分に合ったものを選んで欲しいと思います。
その性質を決める上で、重量と共に大きなカギを握っているのが「剛性」です。
剛性は、物質の変形しない度合いのことで、高低で表現されます。
変形しずらいものは剛性が高い、変形しやすいものは剛性が低いとなります。
ホイールは、上から乗り手の加重があるので、多かれ少なかれ変形します。
ホイールにはペダルを漕いだ力が伝わってきますが、変形が少ないと、力をストレートに動力に変換することができます。
そのため、変形が少ない=剛性が高いホイールは反応が良く、加速力に優れます。
一方、剛性が低いホイールは、変形しますので、その分パワーをロスしやすくなります。
しかし、変形するということは同時にクッション性があるということなので、衝撃吸収性に優れ、乗り心地は良くなります。
反対に、剛性が高いホイールはクッション性がなく硬いので、地面からの振動がビシビシ伝わり、乗り心地は良くありません。
このように、ホイールにおいて剛性は、走りや乗り心地に関わる、とても重要な要素なのです。
最初のホイール交換にはこれ!
それでは最後に、ロードバイクの初心者モデルからのホイール交換時に、おすすめのホイールをご紹介します。
今回は、ストレートに定番のホイールをご紹介します。
まず、乗り心地を重視したい人におすすめなのがこちらです。
【シマノ:WH-RS500 TUBELESS CLINCHER(チューブレスクリンチャー)】
日本が世界に誇るパーツメーカー、シマノのアルミリムホイールです。
コンポとは違いますが、「アルテグラ」グレードになります。
シマノのホイールは全体的に剛性が低めで、柔らかい感じの乗り心地が特徴です。
チューブレスタイヤ対応で、実売価格4~5万円は、コスパの高さが抜群です。
次は、これからレースを目指す人におすすめのホイールです。
【FULCRUM(フルクラム):RACING 3(レーシング3)】
このグレードの中では、硬いホイールとして有名なのが、レーシング3です。
私も履いたことがあるホイールですが、本当に反応が良く、漕いだら漕いだだけ前に進んでいく感覚が面白いです。
最初は、硬さが少し気になるかもしれませんが、慣れてくれば、かえってちょうど良いと思える剛性だと思います。
価格は5~6万円といったところですが、海外の通販サイトでは4万円台のところもあります。
【CAMPAGNOLO(カンパニョーロ):ZONDA(ゾンダ)】
販売本数を調べたわけではありませんが、このグレードの人気No.1は、おそらく、このゾンダでしょう。
カンパニョーロは、フルクラムの親会社でもあるので、レーシング3とよく比較されています。
その比較でも、よく使われている表現ですが、ゾンダは硬すぎず柔らかすぎない、オールラウンドに対応するホイールと言われます。
レース本番用の決戦ホイールではないですが、街乗りからロングライド、レースの練習用に至るまで幅広い用途で使えます。
価格は、レーシング3と、ほぼ同額です。
ホイール交換は妥協しないほうが良い
今回は、ロードバイクの最初のホイール交換を考えてみました。
ホイール交換は初心者からの脱却であり、グレードアップの第一歩です。
それだけに、劇的な変化が欲しいので、ある程度までグレードを上げ、妥協しないほうが賢明です。
今回ご紹介したホイールは定番ですが、ほんの一部に過ぎません。
自分であれこれ探してみるのも楽しいので、ぜひ自分に合ったホイールを見つけてください。