ロードバイクに慣れないうちは倒してしまったり、ビンディングペダルを装着しているのを忘れてしまい、降車時に立ちごけすることがあります。
その際に、傷が付いたり、フレーム塗装が剥がれたりすることがあります。
小さいものでも、放っておくと、後々厄介なことになりますので、対処が必要です。
部分的な補修も必要ですが、フレーム塗装をやり直すという手もあります。
そこで今回は、フレーム塗装の補修方法をご紹介していきます。
ロードバイクの傷やフレーム塗装の剥がれを放置してはいけない
ロードバイクは「走る芸術品」とまで言われ、同じ自転車でもママチャリなどの大衆車とは、一線を画すものです。
それだけに繊細な扱いが要求されますし、傷やフレーム塗装の剥がれなどは、極力抑えたいものです。
美観を損ねるという意味もありますが、塗装にはフレームを守るコーティング剤の役目もあります。
そのため、傷が付いたり剥がれたりすると、そこから水が入り、アルミなどの金属フレームを錆びつかせてしまいます。
また、カーボンフレームは水に弱いので、傷から侵入した水分によって、繊維が破断してしまうこともあります。
さらには、表面上の傷だけと考えていたら、中のフレームにまでクラック(亀裂)が入っていたり、チューブ内にクラックが入ってしまうケースもあります。
とにかく、ロードバイクにおいては、傷やフレーム塗装の剥がれは、見逃してはいけないものなのです。
ロードバイクで傷が付いたりフレーム塗装が剥がれる状況
ロードバイクには、傷が付いてしまう状況が、ママチャリに比べると多いということもあります。
ギア比が高く、車輪が高回転するので、小石や金属片などの小さな飛来物でも、凄い勢いでフレームに当たります。
また、スタンドが付いていませんので(標準装備ではない)、自立できず、ついうっかり倒してしまうことがあります。
駐輪場などで倒れた場合は、横の自転車のギアやスポークで、傷やフレーム塗装が剥がれてしまいます。
さらには、ロードバイク特有のビンディングペダルの影響もあります。
靴とペダルが、スキーやスノーボードのように金具で固定されているものですが、これを忘れて、そのまま降車しようとして転倒してしまいます。
この場合は、車体以上に身体のほうが心配ですが…
このように、様々なリスクがあるので、傷や塗装の剥がれは避けられないとも言えます。
ロードバイクのフレーム塗装の修復
それでは、ロードバイクの傷やフレーム塗装の修復方法をご紹介します。
最も一般的なのは、紙やすりやコンパウンド剤で削ってしまうことです。
また、フレーム塗装の剥がれに関しては、自動車用のタッチペンが使用できます。
しかし、アルミフレームなら良いですが、カーボンは削るのに、少なからず抵抗がある人もいるでしょう。
さらにタッチペンは、完全に傷の部分をフラットにしないと、色ムラが出ます。
また、そもそも合う色が見付からないこともあります。
その場合は、【QUIXX(クイックス)】という修復剤を試してみてください。
これはコンパウンドとは違い、傷や塗装剥がれの周囲の塗料を伸ばして広げるようにして、馴染ませていきます。
元の塗料を活かすので色を問いませんし、深い傷にも対応しています。
メーカーが、カーボンフレームへの使用を保証しているのも心強いですね。
世界的に有名なドイツの自動車メーカーが、純正の修復剤として採用しているので、安心感もあります。
1本2,000円ほどしますが、仕上がりを考えれば、決して高いものではないと思います。
ロードバイクのフレーム塗装をやり直す
前項でご紹介した修復方法は、あくまで部分的な補修です。
長年、ロードバイクに乗っていれば、傷やフレーム塗装の剥がれは、無数に確認できるはずです。
そこで、ここからは、もっと大掛かりに、フレームの再塗装を考えてみましょう。
先述した部分的な補修は、さすがに元通りというわけにはいきません。
どうしても色ムラが出てしまったり、不均等な塗付部分があって、凸凹してしまいます。
そうなれば、いっそのこと、一旦リセットして、塗装をやり直してしまうということを考えるわけです。
ちなみに、フレーム塗装のやり直しをお店に頼んだ場合の費用ですが、最も安くて2万円ほど、上は20万円掛かったという報告もあります。
どこまで行うかにもよりますが、塗料の種類・溶剤剥離の有無・上塗りの回数・ロゴ付けなどでも、金額が変わってきます。
また、再塗装はフレームを分解する必要がありますので、分解と再組み付けの料金も加算されます。
この後、自力で再塗装を行うための手順や注意事項を説明しますが、誰もが上手くいく作業とは限りません。
個人的な話ですが、私は不器用を自負しており、悲惨な結末が目に見えているので、自分ではやりません。
そのため、美観を損ねず、新車同様に生まれ変わらせたいのであれば、プロに頼むのがベストです。
無料で見積もりを取れる業者もあるので、興味のある人は一度、見積もってもらうと良いでしょう。
ロードバイクのフレーム塗装方法①下準備
ここから、フレーム塗装を自力で行う手順と注意事項をご紹介します。
塗装をする前に、ロードバイクをフレームだけに分解します。
全て自力で行う前提ですから、組み付けのことを考えて、バラす手順を写真や動画に収めておきましょう
。
まずは、元の塗料を剥離していきますが、剥離剤が使えるのは、アルミやクロモリといった金属フレームだけです。
カーボンフレームは剥離剤を使うと、繊維を固めている樹脂まで溶かしてしまうので、使用できません。
そのため、根気強くヤスリで削っていく必要があります。
電動のヤスリとサンドぺーパーを併用した人のブログを見ましたが、約10時間掛かっていました。
これがお店に頼むかどうかの、ひとつの分岐点になりそうです。
金属のフレームも塗装を剥離したら、サビや傷をなめすために、サンドペーパーを掛けてください。
ここでしっかりと平らにしておかないと、きれいに仕上げることができません。
カーボンフレームは、パテなどで削りキズを修復したほうが、きれいに仕上がります。
その後、脱脂剤を使ってフレーム表面をくまなく拭き上げたら、「プラサフ」という下塗り塗料を塗っていきます。
一気に塗るのではなく、数回に分けて重ね塗りしたほうが良いので、スプレータイプのものが扱いやすいでしょう。
全体的にグレーになれば、、塗装前の下地は完了です。
ロードバイクのフレーム塗装方法②塗料の吹付け~完成
ロードバイクのフレーム塗装を行っています。
下塗りまで終わったら、いよいよ再塗装に入ります。
まず、塗料が付かないように、フォークコラムやロゴマークなどを、マスキングテープで隠します。
使用する塗料は、ラッカーでもウレタンでもどちらでも構わないので、スプレータイプのものを用意します。
フレームから15cmくらい離して、塗料が垂れないように、薄目に吹き付けていきます。
そして、塗料が乾く前に、ウレタンのクリアラッカーを塗布して仕上げます。
最後に、塗りムラやブツブツがあるところを、コンパウンドでなめすと、きれいに仕上がります。
フレーム塗装の方法を、ざっとご紹介しましたが、最大の山は塗装を剥がすことです。
特にカーボンフレームは、気が遠くなる作業です。
塗料を何色使うかにもよりますが、全て自力で行って、材料費は約1万円というところです。
もちろん、お店に頼むよりは、はるかに安上がりですので、挑戦してみるのも良いと思います。
再塗装は慎重に
今回は、ロードバイクのフレーム塗装の補修を考えてみました。
部分的な補修は、ロードバイクの寿命を伸ばす上で非常に大切ですので、定期的にチェックして行うようにしてください。
再塗装は分解、再組み付けも伴いますので、後から途方に暮れないように、十分に下準備してから行うことをおすすめします。