mtbやロードバイクなどのスポーツ自転車では、クランクの外し方が分からないという声をよく聞きます。
確かに、最初は複雑かもしれないという情報も入り、戸惑うかもしれませんが、覚えてしまえば何てことはありません。
そこで今回は、mtbを例に挙げ、クランクの外し方や交換時の注意点を確認していきましょう。
mtbのクランクとBBの種類
mtbのクランクの外し方を確認する前に、クランクはBB(ボトムブラケット)とセットで考える必要があります。
また、BBはフレームに装着されますから、フレームのBBシェルの形状も関わってきます。
この辺りが全て連動しているので、まずはクランクやBBの種類を確認しておきます。
昔ながらの自転車に多く見られるのは、BBによって支持されているシャフト(軸)に、左右両側のクランクを嵌合(かんごう)するタイプです。
「コッタレスクランク」などと呼ばれますが、これが一般的でした。
BBは、フレームのBBシェルに金属製のカップを挿入し、そこにスチール製のボールべアリングを配する「カップ&コーン」ベアリングが採用されています。
そのベアリングをケースに内蔵させた「カードリッジ式」が、コッタレスクランクとの組み合わせが現在の主流です。
ただ、嵌合部分が多いので、やや剛性面に不安があります。
そのためか、現在のスポーツ自転車では、あまり採用されていません。
現在のスポーツ自転車の主流は「2ピースクランク」で、右側のクランクとシャフトが一体化しているものです。
右側のクランクから出ている軸を、左側のクランクで支持するので、固定力が強く、剛性も高くなります。
BBは旧来の回転体の役目ではなく、軸受けとしての役目が主になります。
mtbのクランク交換をお店で行うと?
今回は、mtbのクランクの種類ごとに外し方をご紹介していきますが、先に作業をお店に頼んだ場合の工賃を確認しておきます。
後述しますが、クランクを自力で外すには、専用の工具が必要になります。
その価格と比べて、どちらにするか決めていただければと思います。
大手サイクルチェーンでは取り外しというよりは、クランクの交換になります。
料金は、片側で1,000円~1,500円が相場のようです。
また、BBの交換は1,500円~2,000円といったところですので、同時に行うと工賃に2,500円~3,500円です。
これに、新しいBBとクランク代が加わるので、結構な額になります。
クランクの交換は、頻繁に起こるような作業ではないので、お店に任せても良いかもしれません。
しかし、クランクを外してBBをメンテナンスすることは、定期的に行う作業ですので、できるのに越したことはないです。
mtbのコッタレスクランクの外し方
それでは、mtbのクランクの外し方をご紹介していきます。
まずは、コッタレスクランクですが、専用工具が必要です。
「コッタレス抜き」で検索していただくと、画像付きで確認できます。
私が知る限り、他の工具では代用できません。
ですが、1本1,000円もしませんので、必ず用意してください。
あとは、モンキースパナがあれば、クランクは外せます。
BBも交換するなら、BB用の工具も必要になるので、これに関しては後述します。
では、手順を説明します。
まず、専用工具の空洞になっているほうを、クランクの固定ボルトにセットして、モンキーで外します。
ここは正ネジなので、左に回すと緩みます。
ボルトを外したら、専用工具の反対側にネジ切りがしてあるので、これをクランクにねじ込んでいきます。
突き当たるまでは手で回し、止まったらモンキースパナで、ゆっくりと回していきます。
専用工具をねじ込むことによって、シャフトからクランクが、押し出されるように外れていきます。
これを両側行えば、コッタレスクランクは外れます。
クランクを外したら、BBもついでに交換するか、メンテナンスをしたほうが良いです。
次項では、そのBBの外し方をご紹介します。
mtbのコッタレスクランク対応BBの外し方
先述したように、mtbのコッタレスクランクと組み合わされているBBは、「カップ&コーン」方式か「カードリッジ」式かのどちらかです。
それによって外し方が違いますので、順を追ってご説明します。
まずカップ&コーン式ですが、先端のロックリングを外すのに、「引掛けスパナ」が欲しいです。
「引掛けスパナ」で検索すると、格安のものが多くヒットしますが、ロックリングにはサイズがありますので、合うサイズのものを購入してください。
左側から外していきますが、ここは正ネジですので、左に回して外します。
次はカップを外しますが、左側はモンキーで左回り、しかし右側は「逆ネジ」なので右回りで外します。
これで、カップ&コーン方式のBBは、全て取り外せます。
次に、カートリッジ式BBの取り外し方に移ります。
カードリッジ式のBBの脱着には「BBツール」という工具が必要ですが、これも1,000円しないくらいなので用意しましょう。
カートリッジ式のBBの外し方は、至って簡単です。
BBツールを差し込んで左側は左回り、右側は逆ネジのため、右回りに回せば外れます。
シマノ「ホロ―テックⅡ」クランクとBBの外し方
前項までは、mtbのコッタレスクランクと、それに付随するBBの外し方をご説明しました。
ここからは、「2ピースクランク」の外し方をご紹介します。
今回は代表的な、シマノの「ホロ―テックⅡ」のクランクとBBの外し方を確認します。
こちらにも専用工具が必要でして、「シマノクランク取り付け工具(TL-FC16)」と「BBユニット取り付け工具」です。
あとは、5mmの六角レンチを用意してください。
それでは手順をご紹介します。
まず、六角レンチで左クランクの上部にある2つのボルトを交互に緩めます。
(ボルトは緩めるだけで外さない)
次に、固定ボルトにクランク取り付け工具を装着し、左回りで外します。
ボルトが外れたら、上部にある脱落用の爪を上げてロックを解除して、左クランクを抜き取ります。
右クランクは左クランクに支持されているので、その時点で抜けるようになります。
あとはBBですが、BBユニット取り付け工具で左側は左回り、右側はここも逆ネジですので、右に回して外します。
mtbのクランクは自力で外す
ここまで、数種類のmtbクランクの外し方をご紹介しました。
いずれも専用工具があれば、作業自体はさほど難しいものではないと思います。
ただし、長年使用しているものですと、ナットがきつく締めこまれ過ぎていたり、ロックリングが噛みこまれてしまって外れないケースがあります。
潤滑油を挿してみたり、無理やり叩き出したりしているインプレも見かけますが、その場合は、自転車屋さんにお願いしましょう。
また、先述したお店に頼む場合の工賃と、自力で行う工具代の比較ですが、いずれのクランクも専用工具が2~3本必要です。
そのため、同等程度と見て良いでしょう。
後のメンテナンスのことを考えれば、工具はこれっきりではないので、私個人としては自力で行うことをおすすめします。
クランクは大きな負荷が掛かる部分なので、BBともども定期的なメンテナンスが必要になります。
その都度、自転車屋さんに依頼するのであれば、専用工具を購入したほうが、長期的に見ればコスパが高いということになりますからね。
クランクを外すのは難しくありません
今回は、mtbのクランクの外し方をご紹介しました。
ひと口にクランクと言っても、様々な種類があり、それぞれ違った外し方があります。
また、クランクはBBと仕様を合わせる必要がありますので、必ずセットで考えるようにしてください。
作業に関しては、さほど難しくないので、尻込みせずに挑戦してみてください。