長く乗ってきた愛用の自転車。
まだまだ乗り続けていきたいけれど、ちょっと飽きたかも?
そう感じるようになったら、思い切って、自分の好きな色に再塗装してみるのはどうでしょうか。
自分で塗装する、というとなんだか大変そうなイメージがありますが、焦らず、ちゃんと手順を踏んでいけば、決して難しい作業ではありません。
是非挑戦してみませんか?
自転車を自分で塗装する際の基本
自転車を自分で好みの色に再塗装する、と聞くと「難しいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には、決められた手順を守っていけば、それほど難しい作業ではないのです。
今回は、できる限り簡単な方法で、自転車を再塗装する方法をご紹介していきます。
自転車のフレームの素材によって細かな違いはありますが、作業手順としては以下の流れになります。
・下地処理
・下塗り
・本塗り
・仕上げ
次に、必要な材料ですが、次の通りです。
・耐水ペーパー(320番~2000番までの各種)
・コンパウンド(研磨剤)
・缶スプレー(プラサフ)
・缶スプレー(自動車用)
・缶スプレー(クリアー)
いずれも、ホームセンターや、自動車修理用品に行けば簡単に入手できるものです。
いきなり缶スプレーで塗装しようと考える方もいるかもしれませんが、それはおすすめできません。
塗ってはみたものの、思っていたような発色にならなかったり、耐久性がなかったりして、すぐに塗料がはがれくる可能性が高いのです。
せっかく、手間をかけて自分で塗装するのですから、きれいな状態を長くキープしたいものです。
そこで重要となるのが、下地処理です。
専門家の中には、塗装は下地処理の良し悪しで決まる、という方もいるほどです。
早く完成させたいあまり、この作業をいい加減にやってしまうと、後々に後悔することになるので、しっかり時間をかけて行うようにしましょう。
それでは、実際の作業方法について、クロモリフレームを例にして見ていくことにしましょう。
自分で自転車を再塗装(下地処理)
自分で自転車を塗装する場合、現在の塗装を耐水ペーパーなどで、一度全部落としてしまうのがベストですが、正直かなり手間も時間もかかる作業です。
プロの方は、塗装剥離剤を使用して、完全に元の塗装を落としたりしますが、剥離剤は強力で取り扱いにも注意が必要なので、あえて行わなくても良いでしょう。
要は、新しく上から塗る塗料が、しっかり食いつくように処理できれば良いのです。
まず、下地処理の前に自転車からタイヤや、ペダルなどを外して、フレームとフォークだけの状態にします。
それから入念に中性洗剤を使って、汚れをしっかり落として乾燥させます。
デカールやステッカーについては、デザインナイフやカッターナイフでフレームを傷つけないように削り落とします。
剥がした後の「のり」の跡は、薄めたシンナーを含ませた布でこすれば、きれいに落とせます。
この段階でサビを発見したら、耐水ペーパーを使ってサビ取りしておきます。
下地の金属部分が見えてくるかもしれませんが、気にせずにしっかり落としておきましょう。
自分で自転車を再塗装(下塗り)
下地処理が終わったら、まずはプラサフを使用して自転車に下塗りを行います。
プラサフは、正式にはプライマー・サーフェイサーといいます。
プライマーはその名前のとおり、最初に(primary)に下地として塗るもので、上から塗る塗料を剥がれにくくする役割があります。
サーフェイサーは、塗装面の細かい傷を埋めることで、表面を滑らかにするもので、中塗りと呼ばれ、プライマーの次の段階で使われます。
プラサフは、その両方の性質を1本で兼ね備えたものです。
金属の下地をコーティングすると共に、塗料の食いつきを高める微粒子が表面の細かな傷を埋め、塗料ののりが良くなります。
さらに、プラサフには防サビ効果もあるなど、塗装には欠かせないものです。
それでは、プラサフを塗っていきましょう。
塗る対象から15㎝ほど離してスプレーしていきます。
スプレーは下に向けず、なるべく水平を保つようにします。
最初は、自分で見て「ちょっと薄いかな?」と思うぐらいの濃さで大丈夫です。
10分ほど乾燥させてから、再度スプレー、さらに10分乾燥させてからまたスプレー、と塗り重ねていきます。
プラサフを塗り終わったら、完全に乾燥するのを待って、表面を320番の耐水ペーパーをかけておきます。
こうしておけば、本塗りの際に、塗料の食いつきが格段に良くなります。
自分で自転車を再塗装(本塗り)
それではいよいよ、本塗りに入ります。
塗料は、自動車用の缶スプレーを使用します。
自動車用だけあって、耐候性も良く、色数も豊富なので、自分のお気に入りのカラーが手に入るでしょう。
ただ、ビギナーが自分で塗装するのであれば、ラメやマイカ(雲母)が入ったものはあまりおすすめしません。
塗装する面積が広い自動車ではきれいに見えても、面積の狭い自転車ではまだらが目立つなど、素人がチャレンジするのには難易度が高いので、避けた方が賢明です。
また、マット(つや消し)なカラーは、塗装のアラが比較的目立ちにくいといわれているので、好みに合えば使ってみても良いでしょう。
基本的な塗り方はプラサフの時と同じで、15㎝ほど離して、薄くスプレーしていきます。
この時、最初に形状の入り組んだところ(フレームパイプの結合部など)から先にスプレーしていった方がきれいに仕上がります。
2~3回重ね塗りするようにして仕上げていきます。
自分で自転車を再塗装(仕上げ)
本塗りが乾燥したら、最後の仕上げ、クリアー塗装を行います。
クリアー塗料は、本塗り塗料の保護とつや出しの役割があります。
もし、自転車にデカールやステッカーを貼りたいのであれば、クリアー塗装の前に行いましょう。
そうすることでデカールやステッカーの保護にもなりますし、つやが統一されてきれいな仕上がりになります。
クリアー塗装も、同じく缶スプレーなので、塗り方はプラサフや本塗りと同じです。
クリアー塗装の場合、やや厚めに塗る方が仕上がりはきれいになります。
ただし、液だれには要注意です。
また、クリアー塗装を行う際、塗料の粒子が目立つ、いわゆる「ゆず肌」になってしまうことがあります。
この場合には、まずクリアー塗装が十分乾燥しているのを確認して、1200番から2000番の目の細かい耐水ペーパーを使って研磨していきます。
耐水ペーパーで磨くことによって、表面が滑らかになっていきますが、あまり磨きすぎるとエッジが丸まって、ぼんやりした仕上がりになってしまうので気をつけましょう。
耐水ペーパーの研磨の後は、コンパウンドで仕上げ磨きを行います。
自分で見て、「ちょっとつやが物足らないかな?」と思ったら、再度クリアーを吹いてから、耐水ペーパーとコンパウンドによる磨きを繰り返します。
アルミフレームを自分で塗装する場合は?
これまではクロモリフレームの自転車を自分で塗装する方法についてご紹介してきました。
アルミフレームの自転車についても、基本の流れは同じですが、いくつかクロモリフレームとは異なる注意点があります。
まず、下塗りにはプラサフではなく、メタルプライマーという非鉄金属の下地剤を使用します。
プラサフは鉄用なので、アルミフレームに使用しても、うまく塗料がのりません。
また、元々アルミ自体には、クロモリよりも塗装がのりにくいという特徴があるので、乾燥にはしっかり時間を取ることも忘れないでください。
また、クロモリに比べてアルミは柔らかい素材なので、耐水ペーパーやコンパウンドで磨く際にも、あまり力を入れないようにしましょう。
なお、アルミフレームの場合は、一般的にクロモリフレームに比べて耐久年数が短いといわれています。
さらにアルミには、金属疲労が表面化しないまま進行し、ある時点を超えると一気に破断してクラックが入ってしまうという傾向が見られます。
このため、あまり古いものや、練習やレースで酷使したようなフレームの場合、せっかく手間をかけて自分で塗装しても、長く乗れない可能性もあります。
アルミフレームを再塗装する際には、そういったリスクがあることも気を付けておきたいところです。
オリジナルカラーで塗装して自分らしい1台に
いかがでしたでしょうか。
DIYでの再塗装は、それほどハードルが高くないことがわかっていただけたかと思います。
ところで、市販されている自転車のカラーリング、意外にバリエーションが少ないと思ったことはないでしょうか。
どうしても、人気が集まるのは無難な色になってしまうので、メーカーとしてもあまりたくさんのカラーを用意できないようです。
しかし、自分で再塗装すれば、カラーリングは思いのまま、通常のラインナップにはないようなカラーリングも可能です。