ロードバイクを始めとして、自転車のタイヤサイズは規格が乱立しているので、かなりややこしい状態です。
ただ、あまり難しく考え過ぎず、覚えてしまえば何てことはありません。
そこで今回は、自転車のタイヤサイズの見方を確認しましょう。
自転車のタイヤサイズは乱立している
ロードバイクなどの自転車のタイヤサイズは規格が統一されていませんので、理解するまでは、少しややこしく感じると思います。
自動車やオートバイは規格が統一されており、大きさや幅はもちろん、偏平率も一目瞭然です。
しかし、自転車は種類によって規格がまちまちですし、表記されている単位が違います。
そのため、見方によっては、同じものでも全く別物に見えてしまいます。
採用されてきた国が違い、歴史があるので、簡単には変えられないという背景があり、現代まで全て生き残っているので乱立しています。
タイヤを選ぶ際には、タイヤサイズの見方が分かれば良いのですが、サイズを考える上では、まず規格を理解する必要があります。
その規格によって、サイズ表記の仕方や単位が変わってきますので、次項で説明します。
ロードバイクとMTBのタイヤは根本の規格が違う
まず、タイヤサイズの見方に繋がる、規格についてお話します。
タイヤは車輪(ホイール)にはまることで、その体を成すものですから、ホイールとのはめ合せが重要です。
ホイールにはめる部分のことを「ビード」と言いますが、この形が違うことが、規格の違いになります。
自転車全体の80%以上は、イギリスやフランスで古くから採用されていた、WO(ワイヤードオン)という規格です。
残りの20%程度が、アメリカで採用されていた、HE(フックドエッジ)になります。
また、WOの中で、イギリス規格とフランス規格に分類されてもいます。
WOはイギリス規格がママチャリなどの軽快車、フランス規格がロードバイクやクロスバイクに採用されています。
HEは、主にMTBやミニベロに採用されています。
後述しますが、タイヤサイズは2つの規格共に、タイヤの外径×幅で表記されます。
なお、WOとHEは先述しているようにビードの形が違うので、仮に同じサイズが表記してあったとしても、全く互換性はありません。
ロードバイクやママチャリのタイヤサイズの見方
では、それぞれの規格のタイヤサイズの見方について説明していきます。
まず、WOのイギリス規格ですが、タイヤ外径と幅を「インチ」で表記しています。
幅は整数で表せないものもありますので、イギリス規格では分数を用います。
例えば、ママチャリ用のタイヤで【26×1-3/8】という表記がされていた場合の見方は、外径26インチで幅が1-3/8インチのタイヤサイズということになります。
ここで「1インチって何センチ?」という疑問があるかもしれません。
もっともな疑問だと思うのですが、インチをセンチやミリに換算すると余計にややこしくなるのが、自転車のタイヤの厄介なところです。
そのため、WOのイギリス規格は、インチ表記と覚えてしまってください。
次に、WOのフランス規格は、外径と幅を「ミリメートル」で表記します。
さらに、ホイールのタイヤをはめ合せる部分である「リム」の規格を表す、A・B・Cのアルファベットが付きます。
ロードバイク用のタイヤで【700×25c】という表記は、外径700mm・幅25mmで、C規格のリムに適合するタイヤという意味です。
MTBなどに採用されているHEはインチ表記ですが、幅が小数点になり、【27.5×1.75】のような表記になります。
統一タイヤサイズ表記「ETRTO」の見方
タイヤサイズの見方を説明しましたが、まだ分かりにくい部分があるかと思います。
とにかく、自分が乗っている自転車のタイヤサイズが、どの表記になっているのかを覚えてしまえば、間違うことは少ないです。
しかし、スポーツ自転車が普及していますので、ロードバイクでMTB用のタイヤを使用したいなど、ニーズが多様化してきていることも事実です。
そうなると、サイズ表記の単位が違うために互換性が分かりにくいですね。
そこで、主に互換性を見れる、統一規格が誕生しました。
「ETRTO」と呼ばれる規格ですが、タイヤの幅と、ホイールのリムにはまる部分のビードの直径を、ミリ表記で統一したものです。
ビード径が同じならば、互換性があるということなので、WOとHEの同一規格内であれば、使用が可能ということになります。
例えば、WOのイギリス規格「26×1-3/8」は、ETRTOでは「35(幅)-590(ビード径)」と表記されます。
ロードバイクの「700×25c」はETRTOでは「25-622」なので、ビード径が違うこの2つのタイヤには、互換性がないことが分かります。
ロードバイクのタイヤサイズの見方
ロードバイクのタイヤは、外径が700mmに、リム規格がcに、ほぼ統一されています。
稀に、女性専用車など、フレームサイズが小さいもので、650cなどのホイールを採用していることもあります。
しかし、先述のようにWOのフランス規格は、ロードバイクとクロスバイクのみの規格なので、ミリ表記されていれば適合すると考えて大丈夫です。
ロードバイクのタイヤサイズでは、むしろ幅(太さ)が重要です。
ビード径はホイールを交換しなければ変えられませんが、幅は自由に選択できます。
そのため、ロードバイクのタイヤサイズの見方は、幅だけを確認するのが正解ということになります。
タイヤサイズを気にするのは、タイヤの交換時だと思いますが、今履いているタイヤの太さを変えようとする際には、注意が必要です。
現状より細くする分には問題ありませんが、太くするには制約があります。
現在は太めのタイヤが主流になりつつありますが、旧来のフレームは20c~25cのタイヤをはめることを想定しています。
そのため、28c以上のタイヤはフレームに干渉してしまって、入らない可能性があります。
もし、ロードバイクを購入後、最初の交換で28c以上を装着したい場合は、自転車屋さんで確認してもらったほうが賢明です。
ロードバイク「風」な自転車のタイヤサイズに要注意
スポーツ自転車は種類が多岐に渡っており、見た目はロードバイクとあまり変わらなくても、スペックが違う別カテゴリ―に属するものもあります。
自転車で旅行をする目的で開発されている、「ランドナー」や「ツーリングバイク」などが、その例です。
このタイプは、スピードよりも機能性や安定感が重視されます。
車高を低くするために、ロードバイクよりも、ひと回り小さめの650mmのタイヤが採用されている機種が多いです。
また、リムの規格がAやBも混在してくるので、余計にややこしくなります。
自分の自転車がランドナータイプにも関わらず、700cのタイヤを購入してしまい、いざはめようとしたら大きさが違ったというのは、よくある話です。
こういった間違いを防ぐためにも、タイヤサイズは独自の表記とETRTOの両方がタイヤに刻印されていますので、交換する前に必ず確認するようにしてください。
サイズの見方としては、ETRTOでビード径を確認し、独自表記でリムの規格を確認すれば、ほぼ間違いないでしょう。
タイヤサイズの表記は深く考え過ぎない
今回は、自転車のタイヤサイズの見方についてお話しました。
サイズ表記については、あれこれ考えずに暗記してしまうくらいで良いと思います。
また、互換性はETRTOで確認すれば良いですが、その際はビードの形状である、WOとHEに十分に注意してください。