ママチャリなどの一般的な自転車は、タイヤの大きさが自転車そのもののサイズとして扱われていますので、大きさを把握しやすいです。
しかし、ロードバイクはタイヤの大きさが、現在ほぼ統一されていますので、タイヤでサイズを表すことはしません。
そのため、初めてロードバイクを購入するときは、タイヤの大きさが分からないことがあります。
そこで今回は、ロードバイクのタイヤのサイズについて確認していきます。
タイヤのサイズは種類が多い!
自転車のタイヤは、多くのサイズがあります。
私は見たことがありませんが、小さいものになると6インチからあるそうで、実に合計40種類以上存在します。
そうは言っても、ミニベロは20インチ前後、ママチャリは24~26インチなど、自転車の種類によって採用しているゾーンがある程度決まっています。
「○○インチ」とは、タイヤの外径を表しており、タイヤの大きさが分かります。
タイヤのサイズには、大きさと共に、幅(太さ)が表記されています。
例えば、26×1-3/8と表記してあるタイヤは、外径が26インチで、1-3/8インチ幅のタイヤということになります。
しかし、現在この表記が採用されているのはママチャリやミニベロで、他の自転車は、また表記の仕方が異なります。
MTBは同じインチ表記ですが、タイヤ幅を分数ではなく、小数点で表記します。
そして、ロードバイク用ですが、外径・幅ともにミリで表記し、タイヤがはまる部分であるホイールのリムの規格を表す記号が付きます。
ロードバイクのタイヤの外径は、現在700mmにほぼ統一されていますので、サイズ表記の先頭の数字は700となります。
例えば、700×25cという表記の場合は、700cのリム規格に適合する、25mm幅のタイヤという意味です。
タイヤサイズの救世主
自転車のタイヤサイズの表記がややこしくなっているのは、インチ表記であるイギリス規格と、ミリ表記のフランス規格が共に、譲らず存在するためです。
しかし、これですと、タイヤの互換性が表記だけでは判別できません。
そこで生まれたのが、統一規格の「ETRTO」です。
ETRTOは互換性を分かりやすくする規格のため、タイヤのリムにはまる部分である「ビード」の直径を、ミリ表記で統一しています。
ホイールのリム径と言い替えることもでき、ETRTOのサイズが同じなら、リムにはめ込むことができるというわけです。
ETRTOは先に幅を表記しますので、先ほど例に挙げた700×25cは、25-622となります。
そのため、ロードバイクにおいてはETRTOが622mmのタイヤであれば、どんなものでも適合することになります。
現在、市販されているタイヤは旧表記に加えて、ETRTO表記が義務付けられていますので、互換性が心配な場合はETRTOで確認するのが最善です。
ただし、主にMTBとそれ以外の自転車は、リムの形状が違うので、互換性がありません。
製品名にHE(フックドエッジ)という言葉があったらMTB用、WO(ワイヤードオン)と表記されていたら、それ以外と覚えておいてください。
ロードバイク風の自転車のタイヤサイズに注意
現状で「ロードバイク」のタイヤサイズは、700c限定と考えて差し支えありません。
なぜ、ここでロードバイクにわざわざ「」をしたかというと、ロードバイク風の自転車でタイヤサイズが異なるものがあるからです。
ロードバイク「風」という言い方も失礼な話ですが、昔は日本でも流行った旅行用の自転車「ランドナー」は、見た目はロードバイクとあまり変わりません。
しかし、スペックを確認するとSTIレバーを採用していなかったり、ハンドルの形状が違ったりします。
そして、ランドナーはタイヤも700cよりは小さい650規格のものが採用されており、太めのタイヤに対応するため、ロードバイクにはないリム規格のA・Bが採用されています。
ランドナーは荷物の積み下ろしを行うので、背を低くするために、小さめの650口径が採用されています。
また、悪路を走ることが想定されるので、太いタイヤに対応するリム規格が必要となります。
650Aや650Bというタイヤは、ランドナータイヤでありETRTOが異なりますので、ロードバイクのホイールには適合しません。
ロードバイクのタイヤが太めに!
ロードバイクのタイヤサイズは700c限定なので、ホイールを交換しない限り、大きさ(径)を変えることはできません。
しかし、幅(太さ)はバリエーションがあり、フレームとのクリアランスの問題はありますが、基本的には自由に選べます。
ロードバイクのタイヤ幅は23c(23mm)が主流でしたが、近年は25cが主流になっています。
この理由を詳しく話すと、1記事書けてしまうので、要約します。
自転車のタイヤは、上から乗り手の体重が掛かるので変形します。
また、タイヤは唯一地面に接している部分なので摩擦が起きますし、風を正面から受けますので、空気抵抗があります。
このような要素を、まとめて「転がり抵抗」と言いますが、これらは自転車が前に進むのを阻む要素です。
そのため、転がり抵抗が高いとスピードが出なかったり、パワーをロスするので、ペダルを漕いでも漕いでも前に進まない歯がゆい状況になります。
そして、25cのタイヤが23cよりも同じ条件下(体重や空気圧)では、転がり抵抗が低いことが判明したので、主流が25cになったという話です。
ロードバイクのタイヤの太さがもたらすもの
ロードバイクのタイヤにおいて、転がり抵抗は大切な要素ですが、タイヤの太さは乗り心地にも影響します。
タイヤは太ければ、チューブに多くの空気が充填できるため、クッション性が増して、衝撃を吸収しやすくなります。
また、グリップ力が強くなり、路面追従性が良くなるので、安定感が増します。
こういったことからも、太いタイヤになると柔らかめのフィット感になるので、乗り心地が良いと表現されるようになります。
さらに、先ほどのサイズ23cと25cの話からすると、転がり抵抗の低い25cのほうが巡航性が良いです。
そのため、平坦な舗装路をひたすら走るようなツーリングにも、太めのタイヤが向きます。
ただし、あまり太くなると、空気圧が低くなり変形率が大きくなるので、28cくらいまでが限度というところです。
そして、タイヤが同じ太さでも適正範囲であれば、空気圧を調整することで、乗り心地を変化させることができます。
空気圧が高ければ、タイヤがガチガチになって硬めの乗り心地になりますし、低ければ柔らかめになります。
ロードバイクのタイヤの太さは用途で決める
ロードバイクのタイヤの主流は現在25cですが、ホイール側がリム幅を広げる傾向にあるので、今後ますます太くなっていくと推測されています。
「ワイドリム化」という言葉を目にしたことのある方も多いと思いますが、人気ホイールがこぞってワイドリムに舵を切っています。
ロードバイクの機材はプロレースを中心に市場が動くので、レースで25cのタイヤが主流になれば、ホイールをそれに合わせるのが当然の流れとなります。
長距離走行を想定されたエンデュランスモデルでは、25cはもちろん、28cのタイヤを標準装備している完成車も少なくありません。
そういった完成車では、その上のサイズの32cまで可能なクリアランスを確保しているものもあり、太めのタイヤにシフトしていく風潮が、はっきりと見られます。
しかし、タイヤの太さは自分がロードバイクをどう使っていくか=用途で決めればいいことであり、世間の風潮に流される必要はありません。
綺麗な路面で一瞬の加速力で勝負するスプリントレースなどでは、まだまだ23cのほうが圧倒的有利とするレーサーも多いです。
レースに限りませんが、自分の用途に合ったタイヤの太さを選んでいただきたいと思います。
自分に合ったセッティングをする
タイヤは唯一地面と接触している部分なので、物理的な問題が色々と絡んできて、難しさに拍車を掛けています。
しかし、乗ってみて、これがベストと思えば良いのであって、個々人で適性の太さが違うのは当たり前のことです。
目安の太さを頭に入れておきながら、空気圧なども変えて、セッティングしていきましょう。