今回は、自転車のクランクについてお話します。
自転車のクランクが、交換できると知らない方も、少なからずいらっしゃるかと思います。
また、知っていても、実際に交換したことがある方は、少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、主にママチャリのクランクについて、交換方法や効果などをご紹介します。
自転車のクランクとBBは一心同体
自転車のクランクはペダルの先に付いている、偏平な形の金属の棒です。
このクランクが回転することによってチェーンが動き、後輪を回す動力になります。
なお、自転車は後輪しか自力で動かすことができず、前輪は惰性で動いているだけなので、チェーンも当然後輪にしか繋がっていません。
また、クランクは自転車の骨組み(本体)である「フレーム」に、直接突き刺さっているわけではありません。
ボトムブラケット(BB)という、小さな部品で本体と繋がっています。
多くのママチャリや古いタイプのスポーツ自転車は、このBBに回転軸がついており、その両端にクランクを装着します。
そのため、後ほど交換方法のところで説明しますが、クランクの交換は、このBB抜きには語れないところもあります。
さらに、右側のクランクには、チェーンを掛ける「チェーンリング」という歯車があります。
これは自転車のギアであり、ママチャリはクランクと一体化しているものが多いです。
また、ママチャリは通常1枚しか歯車が付いていませんが、複数のギアを持つスポーツ自転車は、2~3枚装着されているのが一般的です。
自転車のクランク交換を決断するとき
自転車のクランクを、交換すべきだなと思われる状況を、ご紹介します。
「錆びや傷が酷く、劣化が著しい」
交換しましょう。
走っているときに折れたら、大惨事になりかねません。
「漕ぎ出しが重い、坂の上りがきつい」
ギアが重すぎる可能性があるので、クランクのチェーンリングの歯数が少ないものにします。
「漕いでも、漕いでもスピードが出ない」
こちらはギアが軽すぎる可能性なので、歯数の多いものに交換です。
「漕ぐたびに変な音がしたり、ゴリゴリした感覚がある」
BBの劣化が考えられます。
上記のようなときに、クランクの交換を考えてみましょう。
劣化は、言うまでもないですね。
ギアの重い軽いは、クランクだけの話ではありませんが、チェーンリングの歯数を換えるのは効果的です。
また、交換になる可能性が一番高いのは、異音や違和感です。
クランク自体の劣化も考えられますし、BBが原因かもしれません。
ちなみに、ママチャリ用のクランクには、こういうものがあります。
【ブリヂストン:右クランク ギヤ付き 一般軽快車用】参考価格:¥1,200
【ブリヂストン:左クランク 一般軽快車用】参考価格:¥700
かの有名なブリヂストンで、この価格ですから、身構えるほど高価ではありませんので、思い立ったら交換しましょう。
では、次項から交換方法をご紹介します。
自転車(ママチャリ)のクランク交換方法①~外し方
それでは、自転車(ママチャリ)のクランクも交換方法をお話します。
まずは、古いクランクを外すことから始まりますが、専用の工具が必要です。
【シマノ:コッタレスクランク専用工具 [TL-FC10] BB取り外し Y13009010】参考価格:¥1,600
「クランクより高い!」と言われそうですが、これがないと外せないので、仕方ありません。
もう少し安いものもありますが、やはり、安心・安全のシマノ製をおすすめしておきます。
では、左側のクランクから外していきます。
表面に付いているキャップを外すと、中にナットが見えます。
このナットを外すときは、上記の専用工具の、丸く空洞になっている側を使用します。
専用工具をナットに当てたら、モンキーレンチで反時計まわりに回すと、ナットが緩んで外れます。
ここで右に回り込み、右側のクランクも、同じ作業をしてください。
ナットが外れたら、左に戻り、今度は専用工具のネジ切りがしてあるほうを、穴にねじ込みます。
手で回らなくなったら、モンキーレンチを使います。
さらに締めていくと、クランクが回転軸から押し出されていき、やがて外れます。
右側のクランクも、同じ方法で外します。
自転車(ママチャリ)のクランク交換方法②~BBも交換
クランクが外れましたら、そこに残っているのが、ボトムブラケットです。
その自転車史上、初めてのクランク交換であれば、一緒にBBも交換するのが賢明です。
ここでクランクだけ交換して、固くネジを締めこんでしまったら、BBは劣化していく一方ですから、交換しましょう。
BBには、いくつか種類があるので、ご紹介します。
古いタイプのママチャリですと、「カップ&コーンBB」が多いと思います。
これは、回転軸の受けになるカップとベアリングが、直接自転車本体にネジこまれているタイプです。
トラブルがあったときに部品の交換ができますし、微妙な調整ができるので、クランクの漕ぎ具合を自分好みのものにできます。
しかし、定期的にメンテナンスが必要となるので、クランク周りをいじることが少ないであろうママチャリには、適さない仕様になっています。
その点では、基本ノーメンテで使える「カードリッジ式」の方が適しています。
カードリッジ式はベアリングがユニットに内蔵されており、雨風にさらされることがないので、耐久性に優れています。
ただ、部品だけの交換ができませんので、何かあったら交換するしかありません。
しかし、高価なものでもありませんし、BBも同じ自転車で1回交換すれば十分だと思いますので、これがデメリットとは言えません。
ということで、次項ではBBの交換方法をご紹介します。
カートリッジ式BB交換時の注意点
自転車のクランクの交換に伴い、ボトムブラケットの交換も推奨させていただきました。
そして、カードリッジ式BBに交換をするときに確認しなければならないのは、BBがはまる場所である、フレームの穴(BBシェル)の幅と軸の長さです。
フレームのシェル幅は規格で決まっていて、ほとんどの自転車(ママチャリ)は68mmです。
しかし、まれに70mmや73mmもあるので、必ず確認してください。
次に、軸の長さですが、これは自分で任意に選ぶことができます。
しかし、今の長さが適正だと思いますので、基本的に変える必要はないです。
ピッタリのものがないかもしれませんが、できるだけ近いサイズにしてください。
10mm・20mmも違うものにすると、チェーンリングがフレームに干渉したり、チェーンが斜め掛けになってしまいますので、注意が必要です。
【シマノ:ボトムブラケット BB-UN55 BBセット】参考価格:¥1,700~¥3,000(サイズにより)
このモデルは、シェル幅68mmに加え、73mmもあります。
ただし、73mmは軸長の選択肢が、ほとんどありません。
では、交換方法をご紹介していきますが、まずはBBの外し方です。
まず、古いBBを外しますが、カップ&コーンの場合は「引掛けスパナ」という工具で、表面のロックリングを外します。
次にカップを外しますが、本来なら、ここにも専用工具が必要ですが、ここは薄型のモンキースパナで代用します。
しかし、長年の使用でさび付いて固着している場合は、自転車屋さんにお願いすることも覚悟しておいてください。
両側のカップを外したら、軸が抜けますので、軸長を測って、新しいBB購入時の参考にしてください。
カードリッジ式BBの交換方法
最後に、カートリッジ式BBの交換方法をご紹介しますが、交換には、専用工具と固着防止のグリスが必要です。
【バイクハンド:YC-26BB-2 カートリッジBB工具】参考価格:¥1,000
【AZ(エーゼット):BGR-003 自転車用グリス マルチパーパス15g】参考価格:¥300
グリスをBB全体に塗りこんでから、上記の工具を使ってBBを取り付けます。
その際ですが、ネジを締める方向に注意してください。
左側は正ネジなので、左に回して締め込んでいきます。
ところが、右側は逆ねじなので、右に回して締めこみます。
今回、ご紹介した自転車(ママチャリ)のクランク交換には、様々な専用工具が必要となります。
持っていない方も多いと思いますので、用意することになりますが、おそらく全部揃えると3,500~4,000円くらいになります。
これなら、もしかすると、自転車屋さんに頼むほうが、安く上がる可能性があります。
ただ、パーツもそのお店で買わなければ、もっと工賃が高くなったりしますので、確認してから行ってください。
クランクは酷使されています!
今回は、自転車のクランクを交換することを考えてみました。
クランクは、自転車の中で最も酷使されるパーツのひとつです。
そのため、交換が必要な場合も当然、出てくるものです。
また、ボトムブラケット抜きでは、クランクは自転車のパーツとして成立しませんので、交換は同時に行うのが賢明です。
あとは、自力で行うかお店に頼むかですが、作業自体はそこまで難しくないので、あとは費用しだいですね。