イタリアのスポーツ自転車メーカー・ジオスですが、近年は、やや街乗り車を多く、ラインナップさせている印象です。
そうなると、ミニベロのラインナップも気になるところですね。
また、ミニベロはタイヤ(ホイール)に注意すべき点があります。
そこで今回は、ジオスのミニベロを確認しながら、タイヤについても確認していきます。
ジオスはどんなメーカー?
ジオスですが、近年は日本代理店である「ジョブインターナショナル」が、企画を行っています。
つまり、日本でのジオスは、名義だけをジョブインターナショナルに貸している状態になっているということです。
それによって、日本人が乗りやすいエンドユーザー向けの街乗り車が増えているようですし、メイド・イン・台湾車が多くなっています。
昔のジオスを知る人からは「誇りを捨てたのか?」や、「質実剛健さを失った、ただのオシャレ自転車」などと揶揄されることもあるようです。
また、ある著書の偏った論評で、ジオスとは関係ないところで、大きくブランドイメージが傷ついた経緯もあります。
確かに今のジオスは、コンポは「シマノ」、タイヤは「ヴィットリア」のような、悪く言えば大衆迎合を狙った部分もあります。
しかし、それはどこのメーカーでも多かれ少なかれあることですし、今や台湾や中国で生産していないメーカーのほうが少ないくらいです。
ただ、レース機材をどんどん投入するようなメーカーでは、なくなったかもしれません。
しかし、その分ミニベロやクロスバイクが充実したのなら、そこを評価しても良いのではないでしょうか。
ミニベロはタイヤサイズが小さい自転車
ミニベロはフランス語で「小さな自転車」という意味で、日本では小径車と呼ばれます。
文字通り、車輪やタイヤの小さな自転車で、20インチが主力です。
スポーツ自転車のカテゴリーに入りますが、ママチャリの延長上にあるような機種も多く、様々な用途に対応します。
さすがに車輪が小さいので、スピードや高速巡航性ではロードバイクやクロスバイクには譲りますが、漕ぎ出しの軽さや、小回り性で一歩リードというところです。
ジオスのミニベロにもラインナップされていますが、ドロップハンドルを装着したミニベロロードもあります。
用途が多様化される中で、十分にホビーライダーのツーリングなら、こなせるでしょう。
ミニベロで市場の評価が高いメーカーは、ジオスと同じイタリアの老舗「ビアンキ」、スイスの「ブルーノ」、折りたたみ自転車専業メーカーの「ダホン」辺りです。
その他にも、安いミニベロを多く扱う「ルイガノ」や「ドッペルギャンガー」なども、入門機として人気が高いようです。
ジオスのミニベロ①
では、ジオスのミニベロを見ていきましょう。
ジオスのミニベロは、2017年のラインナップでは6種類あります。
ドロップハンドルのミニベロロード3種に、フラットバーハンドル3種です。
まずは、一番人気の【MIGNON(ミグノン)】からご紹介します。
安定感のあるジオメトリに、大きめの外径451のホイールとタイヤで、ママチャリとスポーツ自転車のバランスを上手く取っているイメージです。
ジオスのコンセプトでは、スポーツ自転車の入門編としての位置付けです。
リア8速で、シフターにシマノのラピッドファイヤー式を採用しており、確かにスポーツ自転車を購入したんだなと思わせてくれます。
約6万円ですので、コスパに優れているとまでは言い切れませんが、価格相応の良い1台ですね。
次は、ジオスのミニベロの中では、ハイエンドモデルになる【PANTO(パント)】です。
ドロップハンドルに、ロードバイク用のシマノ・ティアグラのフルコンポです。
フロント2速はコンパクトではなくノーマルクランクで、リアもクロスレシオなギア構成(11-25T)になっています。
タイヤさえ20インチじゃなければ、ロードバイクそのものです。
クロモリフレームにカーボンフォーク採用ですから、贅沢なミニベロと考えてください。
ジオスのミニベロ②
ジオスのミニベロ紹介を続けます。
次は、【FELUCA(フェルーカ)】です。
パントの廉価版という位置付けになりますが、メインコンポにシマノ・ソラのニューモデルである、R3000番を配しています。
パント同様、クロモリフレームで耐久性は保証されています。
10万円以下でミニベロロードを探している方には、コスパ的にもおすすめの1台です。
そして、ジオスのミニベロの中で、ひときわ異彩を放つのが、【FELUCA PISTA(フェルーカ ピスタ)】です。
こちらは変速機のない、シングルスピード車です。
パントを参考にしたジオメトリですが、ヘッドアングルが立ち気味になっており、乗りやすさも加味されています。
フロントのチェーンリングが48T、リアのスプロケが16Tのギア比3.0は、標準的なシングルスピード車に近付けられています。
ホイールのリムハイトが高いことも加味すると、急勾配な坂道や漕ぎ出しに、若干重さを感じるギア比だとは思います。
しかし、ミニベロでもスピードが欲しいとなれば、選択肢に入ってくる1台です。
その意味では、タイヤをもうワンサイズ細くしても良いかもしれません。(1-1/8から1インチに替える)
ミニベロはタイヤの規格に要注意
さて、ここまでジオスのミニベロをご紹介してきました。
ジオスのミニベロの特徴のひとつに、スポーツ自転車色が強いということがあります。
ドロップハンドルにロードバイク用のコンポと、分かりやすい特徴に加えて、タイヤの外径が大きいことが挙げられます。
ジオスのミニベロのサイズは全て20インチですが、ホイールは20インチでも、大きい方のサイズが採用されています。
自転車のタイヤは規格が乱立していて、単位が統一されていません。
ロードバイクの700cは、タイヤの外径が700ミリという意味なので、ミリ表記です。
一方、ミニベロやmtbは、タイヤの外径をインチで表記しています。
これでは互換性が分かりずらいということで、【ETRTO】という統一規格が制定されました。
ホイールのリムの内側にタイヤがはまりますが、ここを「ビード」と呼びます。
このビード径が合えば、タイヤをホイールにはめられる、いわゆる互換性があるということで、ビード径で表記を統一したのがETRTOです。
しかし、20インチの場合は、ビード径「406」と「451」の2つのETRTOが存在します。
「20インチ」は、ホイールにタイヤをはめたときに、タイヤの一番外側の直径がおおよそ20インチになるという考え方です。
そのため、「406サイズを19インチとは言えないが、451を21インチとも言えない、結局両方とも20インチにしちゃえ」的な決め方です。
しかし、この2つのサイズは単純にビード径で45mmの違いがありますし、タイヤ外径にすれば50mm以上差が出ることもあります。
また、根本的にリムのビードの形が違い、互換性は全くありませんので、451規格のホイールに406規格のタイヤは装着できません。
タイヤ外径の大きいミニベロならジオス!
ミニベロのホイールとタイヤには、異なる規格があるということでしたが、ジオスのミニベロは全て「451」規格です。
タイヤの外径は大きいほどに、スピードに乗ってからの維持がしやすくなります。
また、451規格のホイールは細いタイヤを履くことが前提ですので、安定感というよりは、スピードに寄っている規格です。
そのため、スポーツ自転車色の強いジオスのミニベロは、451が採用されているわけです。
しかし、タイヤの外径が大きいと漕ぎ出しに力を擁しますし、小回りも利かなくなるので、ミニベロの軽快さが失われている部分もあります。
しかし、それはあくまで406規格との比較上のことであり、ロードバイクに比べれば、軽快なのは言うまでもありません。
それでも、もう少し軽快さが欲しいと考えている方は、いらっしゃると思います。
その場合、もし今のミニベロが451規格であれば、ホイールごと406規格に交換しなければなりません。
先述したように、互換性がないので、タイヤを406にするだけでは使用できません。
ミニベロの完組ホイールを製造しているメーカーは少なく、自力で見つけるのも難しいので、この場合はショップに相談したほうが賢明です。
ジオスのミニベロはスピード寄り
今回はジオスのミニベロと、ミニベロのタイヤ(ホイール)の規格についてお話しました。
ジオスのミニベロは、スポーツ自転車の入門機的な位置付けで、機能性よりは走行性重視のタイプが多いです。
そのため、タイヤの外径も大きくなり、巡航性がアップしいています。
本格的な山登りなどは厳しいかもしれませんが、平地のツーリングであれば、長時間走行にも対応できるはずです。