ロードバイクのシフトレバーといってもメーカーは様々あります。
様々あるとはいっても、ほとんどの方が大手3社のシフトレバーをお使いだと思います。
今回は、変速に必要なシフトレバーについて扱い方や構造を見てきましょう。
ロードバイク各メーカーのシフトレバー
まずは、シフトレバーのことをおさらいしていきましょう。
シフトというのは、変速装置のギアの組み合わせを変えることです。
その操作を行うのがシフトレバーになります。
このシフトレバーですが、自転車の種類により構造は様々です。
ロードバイクの変速は、昔(シマノのデュラエースでいうとST-7700時代)はダウンチューブについているダブルレバーで変速していたこともあります。
また、クロスバイクやMTBでは、グリップシフターやラピッドファイヤーといった種類があります。
ですが、現在のロードバイクの多くは各社揃って手元で変速出来るようになっています。
これを相称で、「デュアルコントロールレバー」と呼びます。
*以下シフトレバーと呼びます。
このデュアルコントロールレバーはシフトとブレーキ操作を1つのパーツで行うことが出来るものです。
その点では各社共通なのですが、多くの違いがあります。
それは変速の仕方や構造、ワイヤーの巻取り量など様々です。
それでは、それぞれのメーカーについて見ていきましょう。
ロードバイクの変速といえばシマノ!
まずは、最大手のシマノです。
シマノのコンポーネントは、ロードバイク世界最高峰のレース、ツール・ド・フランス全体を見ても、70%以上のチームが採用しているほど信頼性の高いものです。
そんなシマノのシフトレバーは、シマノトータルインテグレーションレバー、通称STIと呼ばれています。
メカニズムと操作性、信頼性において、世界最高といっても過言ではないでしょう。
それほど、シマノの変速機は優れています。
1分1秒、それよりもっと小さな秒数を争うプロの世界で、採用されている面から見ても、その優れた性能がうかがい知ることが出来ます。
プロでも機械式のほうが好きで使っている有名スプリンターもいますが、プロの世界ではデュラエースDi2という電動コンポーネントが多く採用されています。
Di2のシフトにはサテライトスイッチと、スプリンタースイッチがあります。
サテライトスイッチは、ヒルクライムの際に上ハンドルを持つことが多いですが、その際にわざわざSTIの持ち手まで手を動かさなくても変速可能なように、上ハンドルにスイッチが取り付いた構造になっています。
スプリンタースイッチはその名の通り、スプリントの場面で下ハンドルを握った際に変速が出来るというものです。
このように使う場面に合わせて変速が出来るのは大変ありがたいことですね。
シマノのシフトの構造
では、構造なども含めてシマノのシフトレバー(STIレバー)についてもう少し詳しく触れていきましょう。
シマノのシフトレバーでは内部のラチェットをカチカチと巻き上げ、内側の黒いリリースレバーを操作すると逆転防止用の爪が外れて1段ずつ動くようになっています。
また、構造上ブレーキをかけながらシフトダウンが行えるのも特徴です。
デュラエースのクラスだとレバーの操作角度はほんの少し動かすだけで、巻き上げたりすることが出来るようになっています。
ロードバイクで行うロードレースでは高速カーブもありますし、この点は重要な要素となり得ます。
シクロクロスのように、オフロードを走りながら頻繁に変速するような場面にも重宝するでしょう。
ちなみにこのSTIレバーですが、左右位置を簡単に調整することも出来ます。
ブラケットカバー上部を剥がし、レバー正面側から見えると5mmのアーレンキーで回せるボルトが見つかります。
それの締め具合で角度調整が出来る構造になっています。
しかし、分解ともなると複雑ですし、ブラックボックスになっている箇所もありますので難しいです。
作業に慣れた方であれば、ディーラーズマニュアルと展開図を確認しながら行ってみてください。
作業に必要な道具はありますが、これにトライしようとしている方はそれなりに整備経験がおありでしょうし、特殊な工具が必要なわけではないので問題ないかと思います。
あとは交換するためのバーテープなどももちろん必要になってきます。
また、ワイヤー類も用意しておきましょう。
カンパニョーロのシフトと構造
次は、ロードバイクのコンポーネントとしては、シマノの次に利用者の多いカンパニョーロについて見ていきましょう。
カンパニョーロのシフトレバーは、「エルゴパワー」と呼ばれます。
このエルゴパワーですが、シマノのSTIレバーと違って構造はとても簡単です。
ダブルレバーをブラケットに入れ、巻取りとリリース方向のラチェット付きレバーを2本取り付けたという単純な構造になっています。
シマノのSTIレバーのようにブラックボックス的なものは特にありません。
ただ、この単純構造のおかげでブラケットのサイズが小さくなっています。
そのおかげで欧米人のように手が大きくない日本人にとっては、エルゴパワーのほうが合っている場合もあります。
さらに、ウルトラシフトというものがあり、トップ側だと5段、ロー側だと3段一気に動かすことが出来ます。
急な下りから登り返しがあるようなコースの場合は有用です。
また、シフトダウンはブラケットの横に出ているレバーを操作し、シフトアップはブレーキレバー内側についているレバーを操作します。
さて、分解方法ですが、これについては公式にYoutubeの動画があります。
単純な構造であるために、分解組み立てについては、多少の知識と経験、工具があれば行うことが出来ます。
念のためにリターンスプリングなどを用意しておくといいでしょう。
スラムのシフトと構造
最後にご紹介しますのは、最近電動コンポーネントで無線方式を採用し話題になった「スラム」です。
スラムのシフトレバーは、ダブルタップレバーと呼ばれるものです。
このダブルタップレバーですが、構造的にはシマノのSTIを簡略化したようなものになります。
このダブルタップは、先ほどご紹介した2つのメーカーと違い、レバーが1つしかなく、それだけでシフトアップとシフトダウンを行います。
レバーを内側に軽く倒すとシフトアップします。
それよりさらに押し込むことでレバーの爪がラチェットリングに直接接触し、ワイヤーを巻取り、シフトダウンします。
ちなみにタッチは重いです。
というのも、この巻取りに関してはシマノの特許が絡んでおり、カンパニョーロも含めてタッチが重くなっています。
ただ、シフトレバーが1本しかないため、シフトレバーにさえ指が届けば好きなように変速出来ます。
ですので、直感的で分かりやすく、ロードバイクに乗るのが初めてでも比較的簡単に馴染めるでしょう。
さて、分解方法ですが、こちらもカンパニョーロ同様にメンテナンスはしやすいです。
シマノは特許の絡みでブラックボックス化しているところがありますが、それがないため構造は比較的簡単になっています。
特殊な工具も必要ありませんので、ある程度の整備経験があれば整備可能です。
ロードバイク3社コンポーネントのシフトレバーで優劣なのは?
さて、ここまでロードバイクの3社コンポーネントついてシフトレバーの構造や操作方法についてご紹介してきました。
では、ここまでご紹介してきたものについて、メリットデメリットや優劣について見ていきましょう。
まず、大事な変速性能、これはシマノの一強で、他メーカーでは太刀打ち出来ません。
シマノは昔、重かったのですが現行はそんなことはなく、最上位グレードで比べると、シマノST-R9100が230g、カンパニョーロSuperRecordが342g、スラムREDが280gとシマノが最も軽いです。
では、シマノのデメリットは何かと聞かれると、ブラケットが大きいところです。
この点は、他メーカーのほうが小さく持ちやすいです。
次に変速性能が優れているのはカンパニョーロです。
カンパニョーロはブラケットが小さく握りやすい、ウルトラシフトがあるというメリットがありますが、デメリットもあります。
先ほどの重量面もそうですが、レバーのリーチアジャストがついてないのはカンパニョーロだけであり、調整が出来ないのはデメリットでしかありません。
また、ウルトラトルクはデメリットの1つにもなり、勢いで二段階変速してしまうこともありますし、シフトタッチが重いです。
最後に変速性能で劣るスラムですが、メリットは見た目ですね。
シンプルでスッキリしています。
デメリットは変速性能が落ちてしまうこと、それからレバーが折れたという報告も聞きますから、耐久性に難があることでしょう。
自分に合ったシフトの方法を探そう!
さて、大手3社のシフトの特徴についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
それぞれにメリットデメリットがありますので、自分に合った方法を探すのも1つの楽しみ方でもあります。
自分が何を重視しているのか今一度考えてみて、今と違うものを取り付けて楽しんでみてもいいのではないでしょうか。