シマノのロードバイク用コンポの【デュラエース】はハイエンドモデル、【アルテグラ】はセカンドモデルです。
簡単に言えば、1位と2位の関係ですが、様々な面において、デュラエースの大差圧勝です。
クランクなどは価格で倍以上、重量も結構な差があります。
なぜ、ここまでの差が出るのか、今回はデュラエースとアルテグラの関係を探っていきましょう。
デュラエースやアルテグラはシマノ製
ロードバイク用のコンポは、クランクやディレイラーなど「ドライブトレイン」と呼ばれる駆動系のパーツと、ブレーキの総称です。
シマノのロードバイク用コンポには、グレードがあります。
グレードが上がるため、リアの変速段数が多くなり、全体的に軽量化され、価格が上がっていくという図式です。
8速:【Claris(クラリス)R2000】
9速:【SORA(ソラ)R3000】
10速:【Tiagra(ティアグラ)4700】
11速:【105(イチマルゴ)5800】
【ULTEGURA(アルテグラ)R8000】
【DURA-ACE(デュラエース)R9100】
モデル名の横の数字は、最新の品番です。
ハイエンドのデュラエースとローエンドのクラリスでは、総重量にして1000g以上の差があり、価格差は約20万円です。
デュラエースとアルテグラには機械式の変速に加え、電動変速のモデルもありますので、価格がさらに跳ね上がります。
今回のテーマであるクランクは、価格にしてコンポ全体の1/4程度を占める重要なパーツです。
デュラエースの技術はアルテグラによって拡散される
シマノのロードバイク用コンポは、モデルチェンジを繰り返して、今日に至ります。
その中でも、フラッグシップモデルとして、全体をリードする存在がデュラエースです。
全世界のロードレーサーから常に革新的な技術を求められる存在で、それに応えてきた実績があります。
ただ、プロ仕様になると、どうしてもエンドユーザーであるホビーライダーには、手が届きにくい価格になってしまいます。
フルコンポですと20万円以上になりますし、搭載されている完成車も50万円以下のものを、私は見たことがないです。
そこで、このデュラエースの技術を幅広い層に広げる役割を担っているのが、セカンドグレードのアルテグラです。
近年では、デュラエースがモデルチェンジした翌年に、技術を踏襲する形で、アルテグラもモデルチェンジするという流れができています。
現在のR8000モデルは、2017年にモデルチェンジを果たしましたが、フルコンポで約9万円と、デュラエースの半値以下で揃えることが可能です。
デュラエースなら5万円前後のクランクも、アルテグラなら半値程度ですから、やはり手が出しやすいレベルではあります。
ロードバイクでクランクに求められる要素
使用する用途によっても違いますが、クランクに求められる要素は「少ない力でもスルスル回せるような軽さ」。
そして、踏んだ力をロスさせない高い「剛性」にあります。
もちろん、これはデュラエースですから、レースが前提の話です。
インプレなどでも、デュラエースの踏み心地の軽さは伝わってきます。
それでいて、しっかりと踏み込めている感覚がある剛性の高さは、素晴らしいです。
ヒルクライムやタイムトライアルで勝ちたいなら、明らかにアルテグラよりデュラエースの方が有利でしょう。
また、よく比較して見てみると、細かいバリ取りなどに精度の差は感じます。
そのため、丁寧に作りこまれているところは、デュラエースの方が数段上です。
しかし、私のような平坦メインでレースに出る予定も願望もない人が、デュラエースに手を出すと、おそらく硬すぎて己の貧脚を嘆く羽目になります。
レースが前提のデュラエースのクランクは、やはり、かなり高剛性になっています。
脚力自慢のレーサーは、これぐらいの硬さがないと、しなってしまうので、当然のことです。
こういった意味でも、デュラエースのクランクは、ホビーライダーには不相応と感じてしまいます。
コスパならアルテグラのクランクに軍配が上がる
アルテグラのクランクと、デュラエースのクランクの重量差は、約80gです。
ロードレースの世界では、数グラムの単位で軽量化を図るものなので、この差も小さくはありません。
しかし、趣味で普通に乗っている分には、この差が、そこまで大きいものとは思えません。
ましてアルテグラは、先述したようにデュラエースの技術が踏襲されていますので、素材や仕上げは違っても、性能面は近いはずです。
それでいて、クランクも倍の価格、フルコンポで10万円以上の価格差は、デュラエースに少しブランドイメージが乗っかり過ぎている感じです。
アルテグラは幅広いユーザーに向けられているので、クランクの剛性が適度で回しやすいという人もいます。
デュラエースの特別感が強すぎるだけで、アルテグラも他メーカーの同グレードのクランクに比べれば、遥かに高性能です。
コスパを考えるならアルテグラのクランクが良いですし、デュラエースとの差額を他のパーツに回すのが賢明でしょう。
シマノのクランクのレベル
シマノの現在のクランクは、デュラエース・アルテグラだけでなく、ローエンドのクラリスに至るまで、チェーンリングにアームを4点で支持する「4アームクランク」を採用しています。
チェーンリングで剛性を高くしたため、旧来の5点止めから、アームを1本省いた4アームにしています。
このことで、デュラエースのクランクは重量が50g以上軽量化され、現在の600g前後になりました。
しかもデュラエースの最新モデルR9100では、アームの幅を広げているにも関わらず、剛性がさらに高くなっていると聞いています。
個人的には、硬めのクランクがさらに硬くなって、余計に遠のいてしまったと思いました。
しかし、この技術力の高さは、シマノならではです。
他メーカーがカーボンクランクを製造・販売する中で、シマノは頑なまでに手を出しません。
そこにも、剛性を保ちながら極限まで軽量化できるという、シマノの自信が表れているように思います。
BBをデュラエースに
ロード乗りの間でよく聞かれる、「どこか一部分でもデュラエースを導入したい」ということは、私も常々そう思っています。
しかし、それがクランクやSTIレバーとなると、コスト的に厳しいところです。
また、ディレイラーやスプロケでは、コスパが疑問です。
そこで、提案したいのがクランクとは切っても切り離せない存在、BB(ボトムブラケット)のデュラエース化です。
現在のシマノのホロ―テックⅡクランクの評価が高いのは、BBにも、その一因があると言われています。
俗に「ギア1枚軽くなる」と表現されますが、さすがにそこまでは大げさでも、走りの違いは実感できます。
しかも、価格が4000円前後で、アルテグラグレードと比較しても、1000円くらいしか変わりません。
そのため、デュラエースを選ぶお得感が強いです。
言葉は悪いですが、正直この価格なら「ダメ元」でも良いですし(ダメなわけじゃないです)、それで劇的な変化を感じ取れるなら、なお良しです。
なお、導入される際はフレームのBBシェルによって、直接圧入のタイプと、ねじ切りタイプがあります。
また、シェル幅もフレームによって違いますので、しっかりと測ってから購入してください。
デュラエースとアルテグラは自分の用途で考えたい
今回はシマノのロード用コンポ、デュラエースとアルテグラについて、主にクランクを中心に比較してみました。
今回は、高レベルのレースで勝ちたいならデュラエース、ホビーライダーにはアルテグラという結論になりますね。
ただし、脚力に自信があり今後レースを目指していくと言うなら、ホビーでもデュラエースを選択したいところです。