自転車、特にスポーツバイクはクランクを取り外すシーンが結構あります。
交換はもちろんですが、BBのメンテナンスでも外さなくてはいけません。
専用工具が必要だったり、ちょっとしたコツが必要だったりするので、難しいイメージがあるかもしれません。
そこで今回は、スポーツバイクのクランクについてお話していきます。
スポーツバイクのクランクは交換したくなる!
スポーツバイクのクランクは、コンポのひとつのパーツとして扱われています。
コンポと言えば「シマノ」ですが、シマノのロードバイク用では、軸一体型の「2ピースクランク」が主流です。
右のクランクから生えている軸を、左のクランクで支持する形で取り付けられます。
右クランクには、アームの先にフロントギアであるチェーンリングが付属しています。
一般的にロードバイクなら2枚、MTBやクロスバイクは3枚の歯車が装着されています。
クランクは、コンポの中でも高額な部類に入るので、完成車ではコストダウンの対象にされがちです。
例えば、他の駆動系のパーツが「世界の」シマノ製であっても、クランクだけが違うメーカーなことは、もはや常識レベルです。
また、フレームのBB(ボトムブラケット)シェルや、BBの種類と一対で考えなくてはならないため、互換性の問題で使えるクランクが決まることもあります。
そういった理由もあり、経年劣化や破損以外の理由でも、グレードアップとして交換の需要が高いパーツです。
ただ、専用の工具が必要ですし、メーカーによって外し方が違ったりするので、ハードルが高いと思われているようです。
スポーツバイクはクランクの長さが重要
クランクの交換は、BBの確認や専用工具の用意など、こと前準備が必要です。
そのほかにも、どんなクランクが良いのかも、考えなくてはいけません。
まず、しっかりと回転運動をしなくてはいけないので、見逃してはならないのがアームの長さです。
これは、規格なので、あらかじめ決まっているとも言えます。
ママチャリは165mm、スポーツバイクは170mmが一般的です。
クランクアームは、短ければ小さな円を描くようになり、ペダルを回しやすくなるので、漕ぎ出しが軽くなります。
一方、長くなると今度は大きな円を描くので、それだけ強い力が加わり、スピードが出ます。
しかし、漕ぎ心地が重くなりますので、ストップ&ゴーなどが多い街中では、スタート時に苦労することになります。
ママチャリは高速で巡航することは少ないですし、ペダリングやケイデンスという概念がありませんので、165mmが最適ですし、あまり選択肢もありません。
しかし、スポーツバイクはアームの長さが購入時に選べます。
選べますというよりは、それだけサイズが用意されているということですね。
アームの長さは、身長の1/10が最適と言われた時代もありますが、今はどちらかと言えば、股下の長さで決めるのが主流です。
日本人男性の平均は78cmと言われており、165mmのアームが適正とされます。
したがって、それよりも股下が長い人は、170mm以上の物を選ぶことになります。
乗車姿勢やチェーンラインの問題もあるので、一概には決められませんが、一応の目安としてクランク選びの参考にしてください。
ホロ―テックⅡ対応クランク脱着に必要な工具
それでは、ここからは、クランクの外し方を説明していきます。
まずは、軸がクランクから生えている、一体型クランクの外し方です。
シマノのロードバイク用コンポは、この方式が多く、購入時に「ホロ―テックⅡ」対応となっていれば間違いなく、一体型の2ピースクランクです。
必要な工具は専用の取り付け(外し)工具と、アーレンキ―(六角レンチ)、モンキースパナです。
外し方は非常に簡単で、左側のクランクの固定ボルトをアーレンキー(5mm)で、左右交互に緩めます。
緩めたら、クランクの先に専用工具を取り付けて、クランク固定ボルトを外します。
クランクの上部に、脱着防止の爪が付いている場合がありますので、マイナスドライバーなどで上げて、解除しておきます。
左のクランクアームが外れたら、右側も外れます。
専用工具は【シマノ:クランク取付工具 TL-FC16】(参考価格:¥300)を使用します。
しかし、ショッピングサイトによっては、抱き合わせ商品扱いで、単品では購入できないので注意してください。
ホロ―テックⅡ以外のクランクを抜くための工具
シマノのホロ―テックⅡ対応のクランクから、同じホロ―テックⅡのクランクに交換するなら、BBは現状維持で問題ありません。
しかし、特にロードバイクのエントリーモデルやクロスバイクは、シマノ製のクランクではない可能性の方が高いです。
そのため、別メーカーのクランクをシマノ製に替えるということになります。
そうなると、軸一体型のクランクと違い、回転軸がBBの方に付属しているので、BBも交換する必要があります。
また、クランクの外し方も異なりますので、ここからはホロ―テックⅡ以外のクランクの外し方に加えて、BBの外し方も説明します。
用意する工具は、「コッタレス抜き」・モンキーレンチ・BB交換に使う「BBツール」です。
コッタレス抜きは別名クランク抜きとも言われ、BBの軸にがっちりとはまり込んでいるクランクを、手前に引き出すための工具です。
【シマノ:コッタレスクランク専用工具 [TL-FC10]】参考価格:¥1,600
特に、純正にこだわる必要もありませんが、安心のシマノ製をおすすめしておきます。
専用工具によるスポーツバイクのクランクの脱着方法
では、回転軸が付属していないクランクの外し方を説明します。
まず、左のクランクに付いているナットを外しますが、先ほどの工具「コッタレス抜き」の片方が、ナット抜きのツールです。
ナットにツールを噛ませたら、モンキーレンチで反時計回りに回すと、ナットが外れます。
右のクランクも同様に、反時計回りに回して外します。
これで、左右のナットが外れましたので、ここからクランクを外します。
このときは、バイクのチェーンのテンションが緩んでいた方が良いので、フロントをローに入れ、チェーンを内側に落としておきましょう。
コッタレス抜きのネジが切ってある方をクランクにねじ込み、締める方向に回していきます。
これで、内部で軸が押されるので、クランクが手前に引き出されるわけです。
しばらくしたら、クランクが外れますので、反対側も同じ手順で外します。
これで、フレームにはBBだけが残った状態になりました。
軸が付属しているBBの外し方
最後にBBの外し方を説明しますが、BBに軸が付属しているタイプは、ママチャリでは、まだまだ主流です。
それなので、スポーツバイクユーザーさん以外も、参考にしていただければと思います。
専用の工具は、こちらです。
【グランジ:BBツール】参考価格:¥900
BBは、必ず自転車左側から外してください。
BBツールを差し込み、モンキーレンチで反時計回りに回していくと、キャップが外れます。
自転車右側に回り込み、BBツールを差し込んだら、ここだけは「時計回り」に回して緩めてください。
これで、BBが外れます。
BBは時間が経っていると固着して、外れにくい場合もありますので、機会があれば、事前に点検しておくと良いかもしれません。
あとはBBの交換ですが、ホロ―テックⅡ専用のBBにする必要がありますので、クランクとセットで購入した方が間違いが少ないです。
スポーツバイクのクランクを外してみましょう
今回は、自転車のクランクの外し方についてお話しました。
どうでしょう、意外と簡単かもしれないと思っていただけたでしょうか?
手順さえ間違えなければ、スムーズに行くはずが、サビや固着が少し気になるところです。
どうしても外れない場合は、お店に持って行って外してもらってください。