【プーリー】という言葉を見て、「何?」と思う人が多いのではないでしょうか。
自転車のパーツには独特の名前が付いているので、ひと目名前を見ただけでは、どこのパーツなのか分からないものも結構あります。
今回は、ロードバイクのプーリーではお馴染みのシマノの製品もご紹介しながら、謎多きプーリーについてお話していきます。
ロードバイクのプーリーとは?
まずは「プーリー」とは何ぞやという話ですが、ロードバイクなどのリアディレイラーに付いている歯車のことです。
リアディレイラーには2つのプーリーがあり、上側に付いているのが変速をするための「ガイドプーリー」。
下に付いているのが、チェーンの張りを調整する「テンションプーリー」です。
リアディレイラーの仕組みは、シフターからのギアチェンジの指示によってワイヤーが巻き取られたり、解除されたりします。
その都度、ガイドプーリーがチェーンを保持しながら左右に動いて、ギアにチェーンを掛け替えていきます。
テンションプーリーは、チェーンのたるみを調整するためにあります。
チェーンは、小さいギアに行くほど長さがいらなくなるので、たるんでしまいます。
しかし、たるんだ状態のまま走っていると、チェーンが外れてしまう可能性があり、危険です。
そのため、たるんだ分のチェーンを巻き取り、常に張った状態にする必要があります。
それを、後ろに引っ張り上げるのが、テンションプーリーの仕事です。
プーリーはリアディレイラーのひとつの部品ですが、単体としても販売しています。
また、グレードごとの互換性もあります。
例えば、シマノであれば、どのディレイラーでもデュラエースのプーリーが使用できることになります。
シマノ・デュラエースのプーリーはシールドベアリング内蔵
シマノのデュラエースグレードのプーリーには、シールドベアリングが内蔵されています。
105グレード以下のプーリーはべアリング構造ですが、自転車に使用されるボールベアリングではないので、ベアリングなしと認識しておいて良いです。
bbやホイールのハブほど、ベアリングの効果が顕著な部分ではないですが、メンテナンスフリーなのは有り難いですね。
私は実際に、105グレードからデュラエースのプーリーに換装して、比較している動画を見たことがあります。
少しチェーンの動きが滑らかになっているのかという感じでしたが、動画の主も言ってましたが、プラシーボ(思い込み)効果もあるかなと。
ロードバイク乗りなら分かると思いますが、確かにデュラエースをパーツの一部にでも使っているという精神的な満足感はあるでしょう。
しかもプーリーだけなら、デュラでも2個セットで3,000円前後ですからね。
ロードバイクの抵抗軽減にプーリーも貢献している
シマノ・デュラエースのプーリーは、ボールベアリンングになっているので、105以下のプーリーより理論上は
、回転抵抗が減っています。
ロードバイクは、様々な抵抗との戦いです。
もちろん、抵抗で一番大きいのは空気抵抗ですが、その中でも、乗り手に掛かる抵抗が90%と言われています。
しかし、前傾姿勢にも限度があります。
だからといって、60kgの人が30kgに減量できるわけがないので、人間をどうにかするのは、ある程度の所で限界がきます。
だからこそ、少しでも機材の軽量化を図り、空気抵抗を減らす努力が行われるのです。
コンポの軽量化、ホイールの交換によるスピードアップ、タイヤを細くしてみるなど様々です。
その意味で言えば、プーリーだって、わずかかもしれませんが、貢献はしています。
リアディレイラーを良いものにしようと思っても、デュラエースは2万円以上します。
ちょっと良いタイヤが、4~5本買えてしまいます。
だったら、3,000円でプーリーを換えて、チェーンが滑らかに動くようになるなら、素晴らしいことじゃないのかと思います。
シマノのプーリーは耐久性と変速性能に長けている
シマノのプーリーは、樹脂製です。
他のメーカーではアルミ製のものが多いですが、シマノは昔から樹脂にこだわっています。
ロードバイクのプーリーは常にチェーンと接触し回転しているので、アルミのプーリーでは削れてしまうのです。
耐久性にこだわって、樹脂製にしているのだとすれば、嬉しい配慮と言えますね。
また、シマノは回転軸方向に1mm程度のガタがあります。
ガタというと、ベアリングの調整不足などが浮かび、あまり良い印象がないですが、クリアランスと言い替えることもできます。
これがあることで、滑らかな変速ができるということですし、これはシマノの特許ですので、他のメーカーではマネできない変速性能なのです。
他メーカーのプーリーにはセラミック製などもあるので、回転性能は上がるかもしれませんが、変速性能は少し落ちるのが、この理由だと聞きました。
シマノのプーリーから異音がする場合の対処法
プーリーに限ったことではないですが、ロードバイクには「異音」が付きものです。
ブレーキやクランク周り、ホイールからは異音とは言えませんがラチェット音、色々なところから音がします。
シマノ製のプーリーも、いくつかの報告が上がっています。
インプレを見ていると、ある一定の重いギア(軽いギア)に入れると「カタカタ」という音がするというのが多いですね。
これはワイヤーの調整不足や、ディレイラーの位置決めができていない可能性があります。
ただ、そこまでしなくても応急処置が紹介されており、私も行ったことがあります。
クランクを回しながら、アジャスターのつまみを緩めていくことで、異音が直ったという報告がありました。
もちろん、本格的な調整をしなければいけませんし、次項でお話しますがプーリーの分解くらいは簡単なので、上記のことはあくまでも応急処置レベルです。
また、一概には言えませんが、私が見た異音の報告では、ほとんどが105グレード以下のリアディレイラーでした。
そういったことも関係しているのか、某質問サイトでは大体の回答が「デュラエースに換えれば良い、プーリーは安いんだから」となります。
少々強引ですが、分かる気もします。
ロードバイクのプーリーのメンテナンス
確かに、シールドベアリングを使用しているシマノ・デュラエースのプーリーは耐久性にも優れていますし、変速性能も先述通り、良いものです。
だからといって、デュラエース以外のグレードでも異音がしたから、即交換はどうでしょうか?
一度くらい、分解・清掃してからでも良いんじゃないでしょうか。
そこでここでは、ノーメンテであるデュラエース以外のプーリーの分解・清掃方法をご紹介します。
まず、プーリーを外しますが、3mmのアーレンキーを用意してください。
ギアをフロントインナー、リアトップに入れてテンションを緩めます。
2つのプーリーを外したら、パーツクリーナーで、本体をきれいにします。
分解に工具は要りませんので、ボルトを取り外せば、バラバラになります。
アルテグラグレードは、テンションプーリーのみシールドベアリングなので、それだけは分解しないでください。
金属のカップ・ブッシュベアリング・ボルトそれぞれを、パーツクリーナーで洗浄します。
特に、構造上、ボルトが回転軸の役割を果たしているようなので、忘れずにきれいにしてください。
最後にグリスアップですが、ロードバイクのプーリーではしないという人もいますが、私はしました。
回転体なので、しておくのに越したことはないと思います。
適度にグリスを充填したら、ボルトを戻してワッシャーを被せます。
戻すときには、ガイドプーリーとテンションプーリーを、上下逆にしてしまう間違いが多いので、注意してください。
また、テンションプーリーは回転方向を示す矢印が刻印されているので、向きを間違えないようにしてください。
ガイドプーリーは左右対称ですので、指定する向きはありません。
プーリーにも注目して!
プーリーはリアディレイラーの一部分にすぎませんので、ディレイラーが正常に稼働している分には見向きもされないでしょう。
しかし、チェーンをギアまで運び、テンションも調整してくれる、極めて大切な部分です。
そのため、グレードを上げるのもひとつの手ですし、一度メンテナンスをしてみていただきたいですね。