シマノといえば、シティサイクル~ロードバイク等の競技用自転車までコンポーネント(コンポ)類のパーツにおいて幅広く使用されています。
このコンポで、重要視されているのは、ギア比です。
そのギア比の重要性について、今回はスポーツ自転車(ロード・クロスバイク、シクロクロス、グラベルロード、マウンテンバイク)に焦点をあてていきます。
そして、ギア交換のメリット・デメリットと必要性があるのか、についてもご説明していきます。
スポーツ自転車のコンポの主なギア構成
それでは、まず最初にそれぞれのスポーツバイクのコンポのギア構成についてご説明していきましょう。
◯クロスバイク
クロスバイクは、街乗りや通勤通学用がメインです。
そのため、長距離を快適に速く、というよりは様々な場面で快適に走れるようにするために、フロントに3枚のギアがついていることが多いです。
平地であっても山であっても多数のギアを使用することが出来るので、無理なく走行することが出来ます。
◯ロードバイク
ロードバイクは、主に舗装路の競技用自転車です。
この競技の場には、平地だけでなくアップダウンやヒルクライム、ダウンヒル等全て含まれています。
そのため、様々な用途に対応するためにシマノのギアは簡単にギア交換が出来、種類も用意されています。
フロントは軽量化のため、フロントがギア3枚のものもありますが基本的に2枚です。
◯シクロクロス、グラベルロード
シクロクロス、グラベルロードは、厳密には違いますが似たようなポジションになり、競技用自転車です。
こちらはグラベル(荒れた道)やダートを含み、レースでは自転車を担ぐこともあります。
ただ、ロードバイクのように斜度がキツイところはなく、平地もそこまで速度を出せないため、フロントは2枚のものが多いです。
この点だけ見ると、ロードバイクとの違いは無いように感じますが、その違いはギア比にあります。
◯マウンテンバイク
マウンテンバイクは、その名の通り山を走るための競技用自転車です。
レースの種類は、様々でクロスカントリーやトレッキング、ダウンヒルもあります。
そのため、ダウンヒル専用となるとフロントが1枚になりますが、クロスカントリーやトレッキングだとフロントが3枚になります。
リアのギアは走るステージにより違いますが、歯数が大きいものを使うことが多いです。
スポーツ自転車のシマノ製コンポのギア比 その1
では、各種類の自転車に使用されているシマノのギア及びギア比はどれくらいのものなのでしょうか。
◯クロスバイクのギア比
まずはクロスバイクですが、ギアはマウンテンバイク用コンポとロードバイク用コンポのどちらも使用されることがあります。
そのうち、マウンテンバイク用コンポを使用する自転車が多く、グレードはアセラ、アルタス、ターニーが主に使用されることが多いです。
アセラ、アルタスは、9速コンポもありますが、クロスバイクに使用されているのは主にリア8速仕様です。
ターニーは、リア7速です。
いずれもリアのトップは11や12T、ローは最大で32Tまであり、内訳は様々です。
フロントはいずれも3段で、アウターは42~48T、ミドルは32~38T、インナーは22~28Tがあります。
この構成で最もギア比が高いのは、アウター48Tでリア11Tのギア比4.36になります。
逆に低いのは、アウター22Tでリア30Tのギア比0.73となります。
こうなるとたくさん回さなければいけませんが、力をかけずにクランクを回すことが出来ます。
◯ロードバイクのギア比
ロードバイクのコンポは、デュラエース、アルテグラ、105、ティアグラ、ソラ、クラリス、ターニーA070が使用されています。
これらもグレードにより差があり、8~11速となります。
リアのトップは11~14T、ローは最大で34Tまであります。
フロントはアウターが50~53T、インナーが34~39Tです。
ギア比が最も高いのはフロント53Tのリア11Tでギア比4.82になります。
逆に低いのはフロント34Tでリア34Tのギア比1.00となります。
このようにギアの歯数でギア比も大きく変わりますので、ギア交換で様々な用途に使用出来ます。
スポーツ自転車のシマノ製コンポのギア比 その2
◯シクロクロス、グラベルロードのギア比
シクロクロス、グラベルロードのシマノ製のコンポについて見ていきます。
専用コンポは11速からなくなり、アルテグラからフロントはアウター46T、インナー36Tのものがシクロクロス用として販売されています。
リアの歯数に関してはロードバイクと同様です。
ギア比が最も高いのはフロント46Tのリア11Tでギア比4.18となります。
逆に低いのはフロント36Tのリア34Tで、ギア比1.06となります。
◯マウンテンバイクのギア比
マウンテンバイクのコンポは、XTR、デオーレXT、SLX、デオーレ、アリビオ、アセラ、アルタス、ターニーになります。
クロスカントリーやトレッキング、ダウンヒルまでカバーしようとすると上位グレードをおすすめします。
ということで、今回はデオーレ以上のグレードに主眼をおいて見ていきます。
また、ダウンヒルやトレッキングはそれ専用のコンポがありますが、今回は幅広く使用されるクロスカントリー用でご紹介していきます。
デオーレ以上ですと、10~11速仕様となり、リアの歯数は最小で11T、最大で46Tまであります。
フロントは2段か3段となっており、2段の場合、フロントのアウターが34~38T、インナーが24~28Tです。
3段ですとアウターが40T、ミドルが30T、インナーが22Tとなります。
ギア比が最も高いのは、アウター40Tでリア11Tのギア比3.64となります。
逆に低いのは、アウター22Tでリア46Tのギア比0.48となります。
このように自転車の用途によってギア比は変更出来るので、ギア交換でさらに幅広く対応出来るようになります。
スポーツ自転車のギア交換をするメリット
では、それぞれのスポーツ自転車のギア交換をすることによるメリットはなにがあるのでしょう。
最も大きなメリットは、走るステージによって最適なギアを自分で選択で出来ることです。
例えば、ロードバイクのレースでクリテリウムというほぼ平地のコースを〇周走るというものがあります。
この場合、リア34Tなんて使用しません。
リアのギアが11速のときの内訳にもよりますが、11-34Tの場合、各ギアの歯数差が大きく変速ショックが大きくなり体力の消耗につながります。
これが11-23Tの場合ですと、歯数差が小さいため変速ショックによるロスが小さくなり、体力の温存が出来ます。
逆にロングライドをする場合はどうでしょうか。
日本でロングライドをしようとすると、山や峠はつきものです。
この時、11-23Tがついていると、いくらフロントをインナーにしたところで大きく軽くなることはありません。
ここでリアを30Tや34Tにすれば、体力を温存して遠くまで走ることが出来ます。
このように、走るステージによって必要なギアは全く違いますので、その時々で自分に必要なギアを選択出来ることが大きなメリットになります。
シマノ製コンポの場合、同じ系列のコンポであればギア以外を交換する必要がないため、気軽にギア交換出来ます。
スポーツ自転車でギア交換をするデメリット
では、逆にスポーツ自転車でギア交換をすることによるデメリットはなにがあるのでしょう。
強いて挙げるなら、1点目に初期投資としてある程度の費用が必要ということです。
例えばですが、シマノのマウンテンバイク用コンポの最上級XTRのリアのギアですと2万円程必要です。
これがフロントギアになりますと4万円程になります。
自分の欲しいグレードや必要な歯数にもよりますので、当然もっと安価なものもありますが、それでも3~5千円程は必要になります。
それに加えて工具も必要になりますので、プラス数千円は必要になります。
2点目は交換する手間が必要ということです。
交換自体はそう難しいものではありません。
ただ、どうしても緩める際や締め込む際に、一定のトルクは必要です。
締め込むトルクが弱いと走行中に外れる恐れもあります。
お店に交換を依頼すればその心配は減りますが、交換費用として出費が発生します。
一回だけで済めばいいですが、走るステージによってギア交換のたびにお店に依頼するとなると相当大きな出費になってしまいます。
これらがデメリットになります。
シマノ製にかぎらず、ギア交換の必要性とは
では、そもそもなぜスポーツ自転車のギア交換をする必要があるのでしょうか。
これはメリットの項目にも書いています『体力の温存』という点にもつながってきます。
人間誰しも同じではなく、自分にあった回転数というものがあります。
ある人の例えを例にすると、トルク(回転力)タイプで、ある程度のトルクをかけて平地も山も走るので70rpmを基準にして走ります。
この人が90rpmで走ることになると、いらない力がどうしても加わってしまい、ロスが増えてしまいます。
結果、体力の消耗につながります。
別の人は回転数で走るタイプで、平地も山も90rpmを基準にして走ります。
この人に必要なのは歯数の大きなものですが、小さなものしかついていないと山をトルクをかけて走らなければいけません。
そうなるとトルクをかけた分、心肺にかかる負担が大きくなり体力の消耗につながります。
アマチュアでもプロでも、人それぞれのタイプがあり、必要な歯数は違ってきます。
シマノは様々な歯数のものを用意してくれています。
リアだけに着目しますが、ロード用コンポでいえばトップが11Tのものあれば14Tもありますし、ローは23~34Tまであります。
マウンテンバイク用コンポでも、トップは11Tですが、リアが34T~46Tまであります。
また、同じような歯数でも、グレードによって構成も変わってきます。
このように様々なギアがありますので、自分に合ったギアを見つけて走りやすい環境にすることが、より自転車を楽しむために大切になってくるのです。
ギア交換をしてもっと自転車を楽しもう
ここまでギア交換についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
最大手のシマノだけあって、様々なギアを用意してくれているので、自分の用途にあったギア交換をするのも自転車に乗る楽しさの一つだと思います。
自分に合ったものを選んで、走る楽しさをもっと味わっていきましょう。