105のチェーンリング交換に必要な知識!交換してより快適に

105は、シマノロードコンポーネントの3番目のグレードに当たります。

最近11速化を果たし、フィットネスやファンライドの人から、初級レーサーまで、幅広い層に人気の主力機種です。

11速化に伴い、クランクアームの形状も、上位機種のデュラエースとアルテグラと同じく、5本アームから4本アームへと進化しました。

今回は、人気の105コンポーネントのチェーンリングの交換について解説します。

105のチェーンリング交換には何が必要?

まず最初は、工具の事からお話します。

一言に105と言っても、時代によって、クランクへの取り付け方法や、クランク軸のBBとの取り付け方法も違っています。

したがって、使用する工具も違う物が必要です。

今回は、現行11速の105 5800シリーズに絞ってご説明します。

チェーンリングを交換するには、クランクをBBから外す必要があります。
なぜなら、チェーンリングを固定しているチェーンリングボルトは、クランクの裏側に付いているからです。

取り外す際には、下記の工具が必要になります。

・マイナスドライバー
・プラスチックか、ゴムのハンマー
・5ミリのヘキサゴンレンチ
・T30のトルクスレンチ
・TL-FC16というクランクボルト取り外し工具

ヘキサゴンレンチとは、6角レンチの事です。

トルクスレンチとは、正面から見て星形に見える物で、サイズがT30ということです。
一般的な工具セットにも入っている物です。

TL-FC16は、シマノの専用工具なので別途調達が必要です。

チェーンリングのサイズを変えないで、新しいものに交換する場合は、上記の物を用意しましょう。

そして、チェーンリングのサイズを変える場合は、フロントディレーラーの位置を調整する必要があります。

チェーンの長さも変更が必要になってくる場合があります。

そのため、チェーンリングのサイズを変える時は、

・チェーンカッター
・新しいチェーン

こちらも用意しましょう。

105のチェーンリングの種類は?

今では、11速の105コンポーネントには、3つの組み合わせのチェーンリングセットがあります。

1つは、53×39Tのチェーンリングに165ミリ、170ミリ、172.5ミリ、175ミリという4種類のクランクの組み合わせから選ぶものです。

2つ目は、52×36Tのチェーンリングに、前述の4種類のクランクの組み合わせを選ぶものです。

3つ目は、50×34Tのチェーンリングに、前述の4種類のクランクの組み合わせを選ぶものです。

いずれのセットも、クランクのチェーンリングをつける位置の規格が同じです。

このことにより、チェーンリングのサイズを変える場合でも、クランクを交換しないで、チェーンリングだけを交換出来る仕組みになっています。

105は、完成車の入門モデルで、装着率が高いモデルです。
そして、一般的に50×34Tで170ミリのセットがついたものが多いです。

フレームサイズが460でも480でも500でも、同じセットがついてくるのは、購入者にとっては理不尽な話です。

しかし、それが完成車のシステムです。
なので、脚力や体格に合せて交換する必要があります。

105チェーンリングの組み合わせには意味がある?

過去の105のモデルには、このクランクにこのサイズのチェーンリングは装着出来ない、ということもありました。

それが、PCD130とPCD110の、2種類のクランクアーム径の問題でした。
セットでなく、チェーンリングだけとか、クランクだけ交換したいという人もいるでしょう。

現在では、モデルがPCD110に統一され、どのサイズのチェーンリングも装着出来るようになり、クランクアーム径の問題もありません。

しかし、それは、どの組み合わせでも使用出来るという訳ではありません。

どのクランクにも、チェーンリングのサイズを選ばず装着は出来ます。
ですが、その組み合わせは決まっているのです。

例えば、53×39Tのインナーだけ36とか34にするのは、フロントディレイラーのキャパシティーを超えてしまうので、きちんと変速しません。

キャパシティは、アウターギア数からインナーギア数を引いた数です。

そして、105のフロントディレイラーのキャパは16Tです。
それに53×36Tの組み合わせにしようとすると、キャパは17Tですので、キャパの範囲を超えてしまいます。

また、53×34Tのキャパは19Tで、これも範囲外となります。

では、範囲内の52×39Tのキャパが13Tや、50×36Tのキャパが14T、または50×39Tのキャパが11Tは、組み合わせることが出来るのでしょうか。

実は、これでも正常に変速しません。

その理由は、チェーンの流れをスムースにする為に、チェーンリングの裏側には、溝やピンが付いていて、販売されている組み合わせで使用した時にのみ機能が発揮されるよう、緻密に設計されているからです。

そのため、正規の組み合わせ以外の使い方では、変速がうまくいきません。

特に、インナーからアウターに変速するときに、空回りしたり時間がかかったりします。

チェーンリングのサイズを交換するときは、正規の組み合わせで交換しましょう。

105チェーンリングには交換時期がある?

チェーンリングのサイズ、つまり歯数が自分の脚力に合わなくて交換する場合は良いです。
しかし、自分の脚力に合った場合、そのまま永遠に使用出来るのでしょうか。

この場合も永遠に使用出来る訳ではありません。

チェーリングも消耗品です。
歯先が摩耗したら交換が必要になります。

それでは、何を目安に、交換時期を把握すればいいのでしょうか?

目安となるのは、まずは、走行距離数です。

これには、いろいろな説がありますが、10000キロ以上20000キロ以下で交換したほうがいいと言われています。

しかし、車のオイル交換のように、何キロ走ったら交換というものでもありません。
それに、グレードによっても部品の材質が違います。

また、「デュラエースは○○キロ」「105は○○キロ」のように決まっているわけではありません。

勿論それは、走り方や、使用条件などにも左右されます。

チェーンのメンテナンスによっても大きく変わり、チェーンが伸びたまま使ったり、汚れたまま使うことが多いと、チェーンリングは摩耗しやすくなります。

また、雨天に走ることが多かったり、高負荷で速い速度で走ることが多いと、摩耗しやすいです。

そして、アウターを多く使うか、インナーを多く使うかによっても変わります。

いつも速度を出して速く走る人や、レースに出る人は、アウターの使用頻度が多くなるため、アウターを摩耗しやすくなります。

逆に、ゆっくり走る人や、ヒルクライムをメインにする人は、インナーの使用頻度が多くなってしまうため、インナーが摩耗しやすいです。

インナーはアウターに比べて、刃先が深く出来ているので、歯飛びしにくいですが、アウターもインナーも歯先の形が大きく変わってしまったら交換です。

このように使用頻度や使い方によっても、交換時期は異なるため、1年に1回はチェックする癖をつけましょう。

105チェーンリングの交換で分解の手順

前述のように、105はデュラエース・アルテグラと同じく、PCD110の4本アームクランクですので、チェーンリング交換の時は、クランクセットをBBから取り外す必要があります。

まず、左クランクボルト2本を5ミリ6角レンチで緩め、脱落防止の爪をマイナスドライバーで引っ掛けて起こします。

次に、専用工具の「TL-FC16」で、反時計回りにクランクボルトを緩め取外します。
そして、左クランクを引き抜きます。

そのあと、左側からクランク軸をゴムハンマーで軽く叩き、右クランクを引き抜きます。

この際、チェーンが嵌っていると、引っ掛かってクランクを抜きにくいので、チェーンをBB側に外しておくといいでしょう。

そして、右クランクの内側には、4本のチェーリングボルトがあります。
T30トルクスレンチを使って、チェーリングボルトを緩め外します。

その際、ギアの歯に手が当たって怪我をしないように、ウエス等でギアを包んで下さい。

外したボルトは小さいので、なくさないように、皿か何か容器に入れておきましょう。
マグネットトレーがあれば便利です。

めったに分解しない部分なので、外した部品は必ず洗浄整備します。

105チェーンリングの交換、組み立ての手順

交換するチェーンリングを取り付けていきます。

まず、取り付け位置を間違えないように合わせます。
アウターは、105と歯数の表記が見えるほうが表で、クランクの反対側になるように合わせます。

インナーは、表記がある方を裏側に、クランクの反対側になるように合せて下さい。

そして、チェーンリングボルトをトルクスレンチで、均等に徐々に締めていきます。

車のホイールのボルトを締める要領と一緒で、対角線になるような順番で絞めると、均等に締められると思います。

この時の指定トルクは、12~14N.mということで、かなり強めに締めなければなりません。
外す時と同様で、怪我予防の為、ウエスで包んで行って下さい。

次に、クランクボルトにグリースを塗り、BB軸に取付けます。
しっかりと奥まで挿し込んだら、チェーンを取り付けてください。

そして、左クランクを右クランクと反対側になる位置に取り付けます。

その後、TL-FC16を使用して、クランクボルトを取り付けます。
締め付けトルクは、0.5~1.5N.mなので、手で絞めつけるぐらいでいいです。

ここで、左右のクランクを握り、前後左右に揺すってみて、ガタがないかを確認します。

さらに、脱落防止の爪を挿し込み、クランクボルトを締めていきます。
2本あるので、交互に均等になるように、12~14N.mの締め付けトルクで、締め付けてください。

チェーンリングを単に新しいものと交換した場合は、フロントディレイラーの変速確認をして終わりです。

しかし、チェーンリングのサイズを変更した場合、フロントディレイラーの位置を調整する必要があります。

チェーンリングのサイズを大きくした場合は、位置を高くし、小さくした場合は低くします。

その時、フロントディレイラーの外側のガイドプレートと、チェーンリングの歯の一番高い所との隙間が、1~3ミリになるように調整します。

また、チェーンリングのサイズを変えた場合、チェーンについても、長さの調整が必要になる場合があります。

次に車体を水平な地面に置いた状態で、チェーンの掛ける位置を、フロントがアウターでリアがローにします。
その時、リアディレイラーのプーリーが、地面に垂直になるように長さを調整します。

もしも、スプロケットに28T以上の大きさのローギアがある場合は、その長さから、さらに2コマ分長くしなければなりません。

チェーリングのサイズを変える場合は、チェーンの交換時期と合わせて実施すれば、ロスの少ない作業になるでしょう。

105チェーンリングを交換して何が変わる?

チェーンリングを新しいものに変えた時、どういう効果が期待出来るでしょうか。

まず、単に新しいものに変えただけでも、スムーズな動力伝達と変速が実現するでしょう。

次に、チェーンリングのサイズを大きくした場合、これまで使っていたスプロケットの常用使用範囲がロー側にスライドします。

小さくした場合は、逆に、トップ側にスライドします。

チェーンリングを交換するときは、スプロケットとの相性を考慮して、105以外の上位機種も選択肢に入れながら交換して下さい。